健康経営に取り組み始めたものの、「その効果をどう測ればいいのか分からない」と悩む総務・人事のご担当者は多いはずです。施策はやっているのに、成果を数字で説明できない。そんなもどかしさに、この記事で答えていきます。
効果測定の指標の選び方から、実際の測定手順、つまずきやすいポイントまで、専門用語をかみくだいて整理しました。健康経営優良法人の認定を9年連続でいただいている当センターの実務目線でお伝えします。
この記事でわかること
- 健康経営の効果測定で使う代表的な指標の種類
- 効果測定を進める基本の3ステップ
- ストレスチェックのデータを効果測定に活かすコツ
結論から先に:健康経営の効果測定とは、施策の前後で「健康指標」「生産性指標」「経営指標」の3つを数値で比べ、改善度を確かめる取り組みです。まず目的とKPIを1つ決め、毎年同じ方法で測り続けることが成果を可視化する近道になります。
健康経営の効果測定とは?なぜ必要なのか
健康経営の効果測定とは、健康づくり施策の成果を数値で確かめることです。健康状態・生産性・経営成果への結びつきを、指標で見えるようにします。感覚ではなく、数字で語れる状態へ。
なぜ測定が要るのか。理由はシンプルです。効果が見えなければ、施策を続ける根拠も、改善する方向も定まりません。経営層への説明も、翌年の予算取りも、数字がなければ通りにくいのが現実ですよね。
経済産業省は2016年度に健康経営優良法人認定制度を創設しました。取り組みの「見える化」を後押しする制度です。当センターも2016年から9年連続で同認定をいただき、測定と改善を毎年積み重ねてきました。測定は認定申請の土台にもなります。
相談者健康イベントはやっているのですが、効果があるのか正直わかりません…。何から測ればいいですか?



まずは1つでかまいません。すでに社内にあるデータ、たとえば健康診断やストレスチェックの結果から測り始めると、負担なくスタートできますよ。
健康経営の効果測定で使う指標には何がある?
健康経営の指標は、大きく「健康指標」「生産性指標」「経営指標」の3つに分けると整理しやすくなります。自社の目的に近いものを、この中から選びます。まずは1つ、絞り込みから。
いきなり全部を追う必要はありません。実務では、すでに社内にあるデータで測れる指標から始めるのが続けるコツです。代表的な指標を表にまとめました。
| 指標の種類 | 具体例 | 主なデータ元 |
|---|---|---|
| 健康指標 | 健診の有所見率・適正体重者率・喫煙率・高ストレス者率 | 健康診断・ストレスチェック |
| 生産性指標 | アブセンティーズム・プレゼンティーズム・ワークエンゲージメント | アンケート・勤怠データ |
| 経営指標 | 離職率・受検率・休職者数・残業時間 | 人事・労務データ |
ここで2つの言葉を押さえます。アブセンティーズムとは、心身の不調で欠勤・休職している状態のことです。プレゼンティーズムとは、出勤していても不調で本来の力を出せない状態を指します。どちらも生産性の損失として近年重視されています。


私自身、担当者の方とお話しして感じるのは、「離職率」や「受検率」のように毎年とっている数字こそ最初の指標に向くという点です。新しく測る手間がなく、経年の比較もしやすいからです。
健康経営の効果測定はどうやる?基本の3ステップ
健康経営の効果測定は、「目的とKPIを決める」「データを集めて測る」「評価して改善する」の3ステップで進めます。この順番を守ると、初めてでも迷いにくくなります。
KPIとは、目標の達成度をはかる中間指標のことです。たとえば「3年で喫煙率を10ポイント下げる」のように、数値と期限をセットで決めます。具体的な進め方を見ていきましょう。
「離職を減らしたい」など解決したい課題を1つに絞ります。その課題に直結する指標をKPIにし、現状値・目標値・期限を書き出します。欲張らず、まずは1〜2個まで。
健康診断やストレスチェック、勤怠など社内データを集めます。施策の前後で、同じ条件・同じ計算式で測ることが大切です。測定方法を毎年変えると、比較ができなくなってしまいます。
目標値と実績値を比べ、達成度と要因を振り返ります。うまくいった施策は続け、効果の薄い施策は入れ替えます。この振り返りを健康経営度調査や優良法人の申請にもそのまま使えます。
3ステップを1年サイクルで回すと、翌年からは比較データがそろい、成果の説明がぐっと楽になります。最初の1年は「型を作る年」と割り切ってください。
ストレスチェックのデータを効果測定に活かす方法
ストレスチェックの結果は、健康経営の効果測定にそのまま使える貴重なデータです。とくに集団分析と受検率は、職場の状態を毎年同じ基準で比べられる指標になります。
集団分析とは、部署などのまとまりごとにストレスの傾向を見る仕組みのことです。「仕事の量的負担」「上司の支援」といった項目の数値を経年で追えば、職場環境改善の効果が測れます。受検率の推移は、従業員の関心や制度への信頼度をはかる目安。数字が毎年そろう指標です。
活かし方のポイント:高ストレス者率・集団分析の総合健康リスク・受検率の3つを毎年記録すると、健康経営のKPIとしてそのまま報告に使えます。新たな調査を増やさずに測定を始められます。
2025年5月、改正労働安全衛生法が公布されました。令和10年(2028年)4月1日からは、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。今のうちに受検率や集団分析を整えておけば、義務化後もそのまま効果測定に活かせます。集団分析の見方はストレスチェックの集団分析の活用方法でも解説しています。
実際に当センターでご支援した企業でも、受検率を指標に置いた職場ほど改善のPDCAが定着しやすい傾向がありました。数字が動くと、担当者も経営層も手応えを感じやすいのだと実感しています。
効果測定でつまずかないための3つのポイント
効果測定でつまずく原因の多くは、「指標を増やしすぎる」「測り方を毎年変える」「短期で結果を求める」の3つに集約されます。ここを避けるだけで、測定はぐっと続けやすくなります。
注意:健康施策の効果は、離職率や生産性のように現れるまで時間がかかる指標もあります。1年で成果が出なくても、すぐに施策を止めず、2〜3年の推移で判断してください。
- 指標は最初1〜2個に絞る(全部を追わない)
- 測定方法と計算式を毎年そろえる(比較できる形にする)
- 中長期の変化で評価する(単年で判断しない)
もし社内にデータ集計や分析の手が足りないときは、外部の専門機関に測定の土台づくりから任せる方法もあります。担当者が兼務で忙しい中小企業ほど、外部の力を上手に使ってください。
よくある質問(FAQ)
- 健康経営の効果を確認する方法は?
-
健康診断やストレスチェックなど既存データから指標を1つ選び、施策の前後で数値を比べる方法が基本です。同じ計算式で毎年測り、経年の変化を追うと効果を確認できます。
- 健康経営の指標には何がありますか?
-
健康指標(有所見率・喫煙率・高ストレス者率)、生産性指標(プレゼンティーズム・エンゲージメント)、経営指標(離職率・受検率・残業時間)の3種類が代表例です。目的に近いものを選びます。
- KPIの効果測定とは何ですか?
-
KPIとは目標の達成度をはかる中間指標です。効果測定では、設定したKPIの現状値と目標値を比べ、施策がどれだけ目標に近づいたかを数値で評価します。期限もあわせて決めます。
- 健康経営を始める基本のステップは?
-
経営者の方針表明、体制づくり、課題の把握、計画と実行、効果測定と改善、という流れが基本です。効果測定は最後にまとめて行うのではなく、計画段階で指標を決めておくとスムーズです。
- 健康経営でよくある課題の例は?
-
「効果が数値で示せない」「担当者が兼務で手が回らない」「施策がやりっぱなしになる」が代表的な課題です。既存データを使い、指標を絞って測ることで多くは解決に向かいます。
- 令和8年度の健康経営度調査とは何ですか?
-
健康経営度調査とは、経済産業省が毎年実施する取り組み状況の調査で、優良法人認定の基礎になります。効果測定で整理した指標や改善の記録は、この調査票の回答にそのまま活用できます。
まとめ:小さく測り、続けることが成果への近道
健康経営の効果測定は、3種類の指標から自社に合うものを1つ選び、同じ方法で毎年測り続けることが出発点です。特別なツールより、続けられる仕組みが成果を左右します。
まずは手元にある健康診断やストレスチェックのデータから始めてください。受検率や集団分析の数値は、義務化を控えた今こそ整えておく価値があります。ストレスチェックの受検率を上げるコツはストレスチェックの受検率を上げる方法も参考にしてください。
「測定の土台づくりから手伝ってほしい」という場合は、ストレスチェックの実施代行から集団分析まで対応する当センターにご相談ください。9年連続の健康経営優良法人として、貴社の効果測定を伴走してお支えします。厚生労働省のストレスチェック制度の情報もあわせてご確認いただけます。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












