従業員50人以上の義務一覧|5つの対応と期限を解説

従業員50人以上の事業場で発生する産業医選任やストレスチェックなど5つの義務と対応期限を示すイメージ

「従業員が50人を超えたら、何をいつまでにやればいいのか」。採用が順調な会社ほど、ある日突然この壁に直面します。兼務の総務担当者にとって、正直かなり面倒な話ですよね。この記事では、発生する義務を一覧で整理し、対応の順番まで具体的に案内します。

この記事でわかること

  • 従業員50人以上で発生する5つの義務の一覧と根拠条文
  • 「常時50人以上」の正しい数え方(パート・事業場単位)
  • 放置した場合の罰則と、担当者の負担を減らす外部委託の使い方

結論から先に:常時50人以上の労働者を使用する事業場では、①産業医の選任、②衛生管理者の選任、③衛生委員会の設置、④ストレスチェックの年1回実施、⑤定期健康診断結果報告書の提出、の5つが労働安全衛生法上の義務になります。選任系の2つは期限が14日以内です。

目次

従業員50人以上になると何が義務になる?【5つの義務一覧】

常時50人以上の労働者を使用する事業場には、労働安全衛生法に基づく5つの対応が求められます。内訳は、産業医の選任・衛生管理者の選任・衛生委員会の設置・ストレスチェックの年1回実施・定期健康診断結果報告書の提出です。

まずは全体像を一覧表で押さえましょう。根拠となる条文と、期限・頻度をあわせて確認できます。

義務根拠条文期限・頻度
① 産業医の選任・届出労働安全衛生法第13条選任事由の発生から14日以内に選任
② 衛生管理者の選任・届出労働安全衛生法第12条選任事由の発生から14日以内に選任
③ 衛生委員会の設置労働安全衛生法第18条毎月1回以上の開催
④ ストレスチェックの実施・報告労働安全衛生法第66条の10年1回の実施と労働基準監督署への報告
⑤ 定期健康診断結果報告書の提出労働安全衛生規則第52条健診実施後、遅滞なく提出
相談者

5つ全部を、いっぺんにですか……?何から手をつければいいのか分かりません。

ストレスチェックサポートセンター

期限が決まっているのは選任系の2つだけです。まず産業医と衛生管理者を14日以内に決め、残りは体制を作りながら順に進めれば大丈夫ですよ。

従業員50人以上の事業場で発生する5つの義務と対応期限の全体像を示す図

「常時50人以上」はどう数える?パートも含む事業場単位の考え方

労働安全衛生法の「常時50人以上」は会社全体ではなく事業場ごとに数え、常態として働いていればパートやアルバイトも人数に含めます

事業場とは、本社・工場・支店・営業所など、場所ごとにひとまとまりの業務が行われる単位のことです。ざっくり言うと「住所が違えば別カウント」です。全社では80人でも、本社40人・工場40人なら、どちらの事業場も義務の対象外になります。

雇用形態は問いません。週数日勤務のパートでも、継続的に在籍していれば「常時使用する労働者」に数えます。繁忙期だけの臨時採用は含めない、という整理です。

社会保険の適用拡大で使われる「51人以上」は、企業単位で被保険者数を数える別の制度です。労働安全衛生法の「事業場単位の50人」とは数え方も基準も異なるため、混同しないでください。

5つの義務の内容と対応のポイント

5つの義務は「人を選ぶ」「会議体を作る」「検査・報告をする」の3グループに分けると理解しやすくなります。それぞれ根拠条文と実務のつまずきどころを見ていきましょう。

① 産業医の選任(14日以内・労基署へ届出)

産業医の選任は、労働安全衛生法第13条に基づき、選任事由の発生から14日以内に行うことが求められます。選任後は遅滞なく、所轄の労働基準監督署へ届出が必要です。

産業医とは、労働者の健康管理について専門的な立場から助言する医師のことです。地域の医師会や健診機関に相談すると、嘱託産業医を紹介してもらえます。探し始めてから契約まで1〜2か月かかる例が多いため、50人が見えた時点で動き始めてください。

② 衛生管理者の選任(資格保有者から14日以内)

衛生管理者は、労働安全衛生法第12条に基づき、こちらも14日以内の選任と労働基準監督署への届出が求められます。

選任できるのは、第一種・第二種衛生管理者免許などの資格を持つ従業員です。社内に有資格者がいなければ、まず受験からのスタートになります。準備期間を含めると、ここが一番時間のかかる関門です。

③ 衛生委員会の設置(毎月1回以上の開催)

衛生委員会は、労働安全衛生法第18条に基づいて設置し、毎月1回以上開催することが求められます。議事録は3年間の保存が必要です。

メンバーは議長(事業の統括管理者)、衛生管理者、産業医、そして労働者の代表です。①②の選任が済んでいないと構成できないため、順番としては選任の後になります。

④ ストレスチェックの年1回実施と労基署への報告

ストレスチェックとは、労働安全衛生法第66条の10に基づく年1回の心理的負担の検査です。2015年12月から、常時50人以上の事業場に義務付けられています。実施後は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を労働基準監督署へ提出します。

実施者になれるのは医師・保健師など一定の資格者に限られます。高ストレスと判定された人から申出があれば、医師による面接指導の実施も必要です。高ストレス者への対応は高ストレス者とは?判定基準と会社の対応で詳しく解説しています。

制度の詳細は厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」と、e-Gov法令検索「労働安全衛生法」で原文を確認できます。

ストレスチェックの体制づくりが間に合わないと感じたら、外部の手を借りる方法があります。まずは費用感だけでも確認してみてください。

⑤ 定期健康診断結果報告書の提出

定期健康診断そのものは、従業員数にかかわらずすべての事業場の義務です。50人以上になると、労働安全衛生規則第52条に基づき、結果の報告義務が加わります。提出先は所轄の労働基準監督署です。

「健診はやっているのに報告を忘れていた」というケースを、私たちは毎年のように見かけます。健診機関から結果が届いたら、そのまま報告書作成までをセットの業務にしてしまうのが確実です。

50人を超えたら何から始める?準備の進め方3ステップ

従業員50人以上の義務対応は、「人数の確認→選任・届出→会議体と検査の運用開始」の3ステップで進めると抜け漏れが出ません。

私たちの窓口にも「気づいたら50人を超えて数か月たっていた」という相談が毎年届きます。慌てて全部を同時にやろうとせず、期限のあるものから片づけましょう。

STEP
事業場ごとの人数を確認する

パート・アルバイトを含めた在籍者数を、事業場(住所)単位で集計します。50人前後で推移している場合は、毎月の確認を習慣にしてください。

STEP
産業医・衛生管理者を選任し届け出る

期限は、選任事由の発生から14日以内。産業医は医師会や健診機関へ、衛生管理者は社内の有資格者の確認から着手します。届出書類は労働基準監督署の窓口と電子申請のどちらでも提出できます。

STEP
衛生委員会を開き、ストレスチェックを計画する

初回の衛生委員会で、ストレスチェックの実施時期・実施体制・健診報告の担当を決めます。実施方法や社内規程は委員会での審議事項です。

義務を怠るとどうなる?罰則と会社のリスク

産業医・衛生管理者の未選任や各種報告書の未提出は、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

ストレスチェックの実施義務そのものには直接の罰則規定がありません。ただし、労働基準監督署への報告を怠れば同条の罰則対象となり得ます。

さらに、未実施のまま従業員がメンタルヘルス不調から労災に至るケースも想定されます。その場合、安全配慮義務違反として損害賠償を問われるおそれがあります。

金額の大小より怖いのは、労働基準監督署の調査対応や企業イメージへの影響です。罰則の全体像はストレスチェックの罰則と未実施リスクにまとめています。

ストレスチェック対応は外部委託で軽くできます

5つの義務のうちストレスチェックは、実務の大半を外部委託できる領域です。調査票の準備から労働基準監督署への報告資料まで、一連の作業を任せられます。

実施者の確保、案内文の配布、未受検者への催促、結果の回収と保管、高ストレス者への通知。ひとつずつは小さな作業でも、兼務の担当者が一人で抱えると数週間分の負担になります。

受検率を上げる工夫まで考えると、なおさらです。受検率対策はストレスチェックの受検率を上げる方法も参考にしてください。

私が対応したある製造業のお客様は、初めての50人超えで「何が分からないかも分からない」状態でした。それでも体制の設計から受検開始まで、実務はほぼお任せいただけました。

当センターは数名〜6,000名規模で100社以上の導入実績があります。翌年も継続いただくリピート率は9割以上です。最短3日で受検を開始でき、英語・ベトナム語にも対応しています。運営会社自身も、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」の認定を受けています。

委託先の比較ポイントはストレスチェック委託先の選び方で整理しています。

ストレスチェックの実施を外部委託した場合に総務担当者の手元に残る作業と委託できる作業の比較図

【2028年4月】ストレスチェック義務は50人未満の事業場にも拡大します

2028年(令和10年)4月1日から、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。根拠は、厚生労働省が案内する2025年5月公布の改正労働安全衛生法です。

つまり「50人未満だから対象外」という前提は、あと2年たらずでなくなります。本社は50人以上、支店は50人未満という会社もあるはずです。全社での実施体制を今のうちに設計しておくと、二度手間を防げます。働く人のメンタルヘルス情報は、厚生労働省のポータルサイトこころの耳も役立ちます。

従業員50人以上の義務に関するよくある質問

検索でよく寄せられる疑問をまとめました。

従業員が50人以上の会社には、どのような義務がありますか?

常時50人以上の事業場では5つの義務が発生します。産業医の選任、衛生管理者の選任、衛生委員会の設置、ストレスチェックの年1回実施、定期健康診断結果報告書の提出です。いずれも労働安全衛生法とその規則が根拠になります。

「常時50人以上」にパートやアルバイトは含まれますか?

含まれます。雇用形態にかかわらず、常態として働いている人はすべて人数に数えます。数える単位は会社全体ではなく、本社・工場・支店といった事業場ごとです。

50人以上の会社で必要になる資格はありますか?

衛生管理者の選任に、第一種または第二種衛生管理者免許などの資格保有者が必要です。社内に有資格者がいない場合は、従業員に受験してもらうか、資格を持つ人材の採用を検討することになります。

産業医はパートを含めて50人以上になったら必要ですか?

必要です。パートを含む常時使用する労働者が、事業場単位で50人以上になった時点で対象になります。労働安全衛生法第13条に基づき、14日以内の産業医選任と労働基準監督署への届出が求められます。

ストレスチェックの結果は労働基準監督署に報告が必要ですか?

常時50人以上の事業場は、年1回「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」の提出が必要です。個人の検査結果そのものではなく、実施状況を報告する書類です。

休養室の設置は義務ですか?

はい。常時50人以上、または常時女性30人以上の事業場では設置が求められます。根拠は労働安全衛生規則第618条で、横になって休める休養室・休養所を男女別に設けます。

まとめ:期限のある義務から順に対応しましょう

従業員50人以上で発生する義務は、産業医、衛生管理者、衛生委員会、ストレスチェック、健診報告の5つです。最初の関門は、14日以内という期限のある選任の2つ。ここさえ越えれば、残りは年間サイクルの設計に落とし込めます。

  • 人数はパート込み・事業場単位で毎月確認する
  • 産業医・衛生管理者の選任と届出を最優先で進める
  • ストレスチェックは外部委託で担当者の負担を減らせる

ストレスチェックの進め方に迷ったら、一人で抱え込まずに相談してください。体制づくりの段階から、実務を一緒に片づけていきます。

この記事の編集・監修体制
信頼性の高い情報発信
編集・監修:ストレスチェックサポートセンター編集部

本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。

ストレスチェック支援実績
9年連続
健康経営優良法人に認定
3〜20,000名規模
受検人数を問わず、幅広く支援しております。
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一般企業から自治体まで、多数の支援実績がございます。
運営会社情報

シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。

健康経営優良法人2026 中小規模法人部門 ネクストブライト1000
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