クレーム対応にノルマ、常時モニタリング。コールセンターの現場を支える総務・管理部門の方は、「うちのオペレーターは大丈夫だろうか」と気を揉むことが多いはずです。
この記事では、コールセンターでのストレスチェックの実施手順を5ステップで整理します。シフト勤務でも受検率を上げる工夫や、集団分析を離職防止につなげる方法まで解説します。
この記事でわかること
- コールセンターでメンタルヘルス不調が生じやすい理由
- ストレスチェックの実施手順5ステップと法律上のルール
- シフト勤務・非正規スタッフの受検率を上げ、集団分析で職場を改善する方法
結論から先に:コールセンターのストレスチェック成功の鍵は、シフトに合わせた受検環境づくりとチーム単位の集団分析です。従業員50人以上の事業場は年1回の実施が義務です。2028年(令和10年)4月1日からは50人未満にも義務化されます。
なぜコールセンターはストレスが高い職場なのか?
コールセンターは、クレーム対応・常時モニタリング・数値目標が重なる、メンタルヘルス不調が生じやすい職場です。
オペレーターの仕事は典型的な感情労働にあたります。感情労働とは、自分の感情を抑えて相手に合わせた応対を続ける働き方のことです。理不尽なクレームを受けても、声のトーンを保ち続けることが求められます。
私たちがこの記事のためにキーワード調査をしたところ、率直に驚きました。「コールセンター メンタル やられる」の検索は月210回です(ラッコキーワード・2026年7月時点)。「コールセンター 頭おかしくなる」も月260回検索されています。現場のつらさを、働く本人が毎日検索している状況です。
相談者離職が続いていて、正直どのチームがしんどいのか把握しきれていません…。



その「感覚では分かるけれど数字がない」状態こそ、ストレスチェックの出番です。チーム単位で負荷を見える化できますよ。
だからこそ、ストレスチェックを「年1回の義務」で終わらせるのはもったいない選択です。不調のサインを早めに拾い、離職を防ぐ仕組みとして使えます。
コールセンターのストレスチェック実施手順【5ステップ】
ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づき、体制づくりから労働基準監督署への報告まで5つのステップで進めます。
従業員50人以上の事業場では年1回の実施が義務です。さらに厚生労働省の告知では、50人未満の事業場への義務化は2028年(令和10年)4月1日開始とされています。2025年5月公布の改正労働安全衛生法によるものです。
小規模な拠点を複数持つ会社は、いまのうちに全拠点の体制を整えてください。
実施者(医師・保健師など)と、実施事務従事者を決めます。実施事務従事者とは、名簿管理などの事務を担う社内の担当者のことです。実施方法は衛生委員会で審議し、社内規程として全員に周知します。
Web受検か紙受検か、または併用かを決めます。シフト制のコールセンターでは、休憩時間や待機時間に受けられる方式を選ぶと受検が進みます。
国が推奨する57項目の職業性ストレス簡易調査票などで実施します。結果は実施者から本人に直接通知されます。本人の同意なく会社は結果を見られません。
高ストレスと判定された人から申出があれば、医師による面接指導を行います。申出しやすい雰囲気づくりまでが会社の仕事です。
部署ごとの集団分析で職場環境の改善につなげます。50人以上の事業場は、実施状況を労働基準監督署へ報告することが求められます。
制度の詳細は、厚生労働省のストレスチェック制度ページとe-Gov法令検索(労働安全衛生法)で確認できます。
「体制づくりから自社でやるのは正直きつい」と感じたら、実施ごと外部に任せる方法があります。費用感は無料で確認できます。
受検率をどう上げる?シフト勤務・非正規スタッフへの配慮
コールセンターの受検率は、受検時間の確保と「結果は評価に使われない」という周知をセットで行うと上がります。
オペレーターは着席時間を管理されているため、「いつ受ければいいのか分からない」が最大のつまずきです。SVが受検枠をシフト表に組み込む、休憩室に案内を掲示するなど、受ける時間を会社側が用意してください。Web受検と紙受検の併用なら、PC操作が苦手なスタッフも取りこぼしません。
もう1つの壁が、「正直に答えたら不利になるのでは」という不安です。産業医の野崎拓郎先生も、YouTube動画で次の点を解説しています。実施者は有資格者に限られ、人事権を持つ人は個人結果を扱えないという点です(参照: ストレスチェックを受けることに抵抗がある方へ)。
結果を理由にした不利益な取り扱いも法律で禁止されています。この2点を案内文に明記するだけで、回答の正直さと受検率は変わります。
受検率向上の具体策はストレスチェックの受検率を上げる方法でも詳しく解説しています。
集団分析でチームごとの負荷を「見える化」する
コールセンターの集団分析をチーム単位で行うと、負荷の偏りが数値で見え、経験則に頼らない職場改善ができます。
集団分析とは、結果を部署ごとに集計して職場単位のストレス傾向を把握する分析のことです。受電と発信、窓口の種類、日勤と夜間帯。コールセンターは同じフロアでも負荷の差が大きいため、集団分析との相性が良い職場です。
ルールも新しくなっています。厚生労働省は2026年6月30日に労働安全衛生規則を改正し、集団分析を個人が特定されない方法で行うことを新たに規定しました。施行は2027年(令和9年)4月1日です。小さなチーム単位で分析する際は、個人が推測されない集計単位の設計が求められます。
私たちがご支援したセンターでは、集団分析で特定窓口への負荷の偏りが分かりました。応答スクリプトと人員配置の見直しにつながっています。数字があると、現場への説明も予算取りも一気に進みます。
分析結果の読み方は集団分析の基本と活用方法で解説しています。
高ストレス者が出たら何をすればいい?
高ストレス者から申出があれば、医師による面接指導の実施が事業者に求められます(労働安全衛生法第66条の10)。
気をつけたいのは、判定結果が会社に届くわけではない点です。結果は本人にだけ通知されるため、会社の役割は「申出しやすい環境づくり」に尽きます。面接指導は、申出からおおむね1か月以内の実施が求められます。実施後は医師の意見を聴き、時間外労働の制限などの措置を検討します。



面談を申し出ると「あの人は高ストレス」と周りに知られそうで、誰も手を挙げない気がします。



よくあるお悩みです。申出窓口を社外に置き、面談はオンラインにする。そんな人目に触れない導線をつくると申出は増えますよ。
必要なのは、責めない聞き方と早めの声かけ。高ストレス者への対応の全体像は高ストレス者への対応方法と面接指導の流れにまとめています。
運用が回らないときは外部委託も選択肢
ストレスチェックの外部委託は、実施者の確保から結果管理までを任せられ、総務担当者の実務負担を大きく減らせる選択肢です。
コールセンターは人の入れ替わりが多く、対象者名簿の管理だけでも骨が折れます。当センターは500〜20,000名規模まで100社以上の実施を代行してきました。翌年も継続いただくリピート率は9割以上です。9年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定され、個人情報は自社サーバーで管理しています。
外国人オペレーターが在籍するセンターには、英語・ベトナム語での受検にも対応します。Web・紙・併用のいずれも選べて、最短3日で受検を始められます。委託先の比較ポイントはストレスチェック委託先の選び方を参考にしてください。迷ったら、現状の運用の困りごとから相談していただいて大丈夫です。
よくある質問(FAQ)
コールセンターのストレスチェックについて、担当者からよく寄せられる質問に答えます。
- コールセンターのストレスチェックは義務ですか?
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従業員50人以上の事業場では、労働安全衛生法に基づき年1回の実施が義務です。改正労働安全衛生法により、2028年(令和10年)4月1日からは50人未満の事業場も対象になります。
- 派遣スタッフのストレスチェックはどちらの会社が実施しますか?
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実施義務は雇用主である派遣元の会社にあります。一方で、職場環境の改善に使う集団分析は、実際の就業場所である派遣先でも行うことが望ましいとされています。
- ストレスチェックの結果で配置転換など不利な扱いを受けますか?
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結果を理由にした解雇や不当な配置転換などの不利益な取り扱いは、法律で禁止されています。結果は本人の同意がない限り会社に提供されないため、正直に回答して問題ありません。
- コールセンターの離職率が高いのはなぜですか?
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感情を抑えてクレームに応対する感情労働、応対品質の常時モニタリング、数値目標のプレッシャーが重なるためです。ストレスチェックの集団分析で負荷の高いチームを特定すると、離職対策の優先順位を付けられます。
- ストレスチェックを受けたくないスタッフに強制できますか?
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受検を強制することはできません。目的がメンタルヘルス不調の予防であること、結果が評価に使われないことを案内し、受けやすい時間と方法を用意して受検を促してください。
- 仕事のストレスが限界に近いサインには何がありますか?
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眠れない、ミスが急に増える、出勤前に体調が崩れるなどが代表的なサインです。高ストレスの判定が出た人は、医師による面接指導を申し出て早めに対処してください。
まとめ|ストレスチェックを離職防止の武器に
コールセンターのストレスチェックは、法令対応であると同時に、離職とクレーム負荷に向き合うための実用的なツールです。
- 実施は5ステップ。50人未満の拠点も2028年4月から義務化
- 受検率の鍵は、シフトに合わせた受検時間の確保と匿名性の周知
- チーム単位の集団分析で、負荷の偏りを数値で改善につなげる
とはいえ、日々の運営と並行して体制づくりから進めるのは大変です。実施のすべてを任せて、担当者の時間を現場のフォローに使う。その選択肢も含めて、まずは気軽に相談してください。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。










