「うちの役員や社長も、ストレスチェックを受けさせるべき?」毎年の実施を任されると、まず対象者の線引きで迷いますよね。本記事では、役員・社長・パート・派遣社員まで、誰が対象になるのかを法律の根拠とともに整理します。
この記事でわかること
- 役員がストレスチェックの対象になるかどうかの判断基準
- 社長・パート・アルバイト・派遣社員の扱いの違い
- 自社で対象者を正しく判定する手順と、2028年義務化の影響
結論から先に:ストレスチェックの対象は「常時使用する労働者」です。取締役などの役員は労働者にあたらないため、原則として法律上の実施義務の対象外となります。ただし部長を兼ねるなど労働者性のある使用人兼務役員は対象です。
ストレスチェックの対象者は誰?基準は「常時使用する労働者」
ストレスチェックの対象者は、事業者が常時使用する労働者です。これは労働安全衛生法第66条の10にもとづく定めで、一般定期健康診断とほぼ同じ考え方を用います。

常時使用する労働者とは、継続して雇用し、一定の労働時間を満たす人を指します。厚生労働省の実施マニュアルでは、次の2つをともに満たす人が対象とされています。
- 期間の定めのない契約で雇用されている人(1年以上の使用予定、契約更新で1年以上見込まれる人を含む)
- 1週間の労働時間が、同じ職場の通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上である人
つまり雇用契約で働く人かどうかが、最初の分かれ目です。この「労働者かどうか」という視点を押さえると、役員や社長の扱いもすっきり整理できます。
役員はストレスチェックの対象になる?
取締役や監査役などの役員は、原則としてストレスチェックの実施義務の対象外です。役員は会社と委任契約を結ぶ立場であり、使用される労働者にはあたらないためです。
役員は、労働者を使用する「事業者側」に位置づけられます。ストレスチェックは事業者が労働者に対して実施する制度のため、事業者側である役員は、法律上は受検義務の対象に含まれません。
注意したい例外:部長や工場長などの役職を兼ねる「使用人兼務役員」は、労働者としての実態があれば対象になります。肩書きではなく、指揮命令を受けて働く実態があるかで判断してください。
相談者役員が対象外なら、受けさせたらダメということですか?



いいえ、受けていただいて問題ありません。義務ではないだけで、任意受検は可能です。私たちが代行でお引き受けする現場でも、希望する役員や社長に一緒に受けてもらう運用はよくあります。
メンタルの不調は役職を問わず起こります。経営層のコンディションは会社全体に影響するため、任意での受検をすすめる会社も増えています。義務の線引きと、健康管理上の配慮は分けて考えてください。
社長・パート・アルバイト・派遣社員はどう扱う?
社長は役員と同じく原則対象外、パートや派遣社員は条件を満たせば対象になります。立場ごとに判断の軸が変わるため、下の表で整理します。


| 立場 | ストレスチェックの対象か | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 代表取締役・社長 | 原則 対象外 | 委任契約の事業者側。任意受検は可能 |
| 取締役・監査役 | 原則 対象外 | 使用人兼務役員で労働者性があれば対象 |
| 正社員 | 対象 | 常時使用する労働者に該当 |
| パート・アルバイト | 条件により対象 | 週の労働時間が通常労働者の4分の3以上なら対象 |
| 派遣社員 | 派遣元で対象 | 実施義務は派遣元。派遣先は受検への配慮が望ましい |
派遣社員は、派遣元の事業者が実施義務を負います。派遣先は、職場環境の集団分析のために受検へ配慮することが望まれますが、実施義務そのものは派遣元にある点を押さえてください。
パートやアルバイトは、労働時間の長さが判断材料です。週の所定労働時間の4分の3以上という基準が軸。契約内容と実際の勤務時間を確認すると、判断を誤りにくくなります。より詳しい受検の進め方は、受検率を上げる工夫の記事もあわせて確認してください。
自社で対象者を正しく判定する手順
対象者の確定は、名簿づくりから始めると漏れが起きにくくなります。次の3ステップで進めてください。
正社員・契約社員・パート・アルバイトまで、雇用契約で働く人を一覧にします。役員は雇用契約かどうかで分けておきます。
契約期間が1年以上の見込みか、週の労働時間が通常労働者の4分の3以上かを確認します。両方を満たす人が対象です。
役員は使用人を兼ねているかを見ます。部長職などで指揮命令下に働く実態があれば、対象に加えます。迷う場合は社会保険労務士に確認すると安心です。
判定の記録を残しておくと、翌年以降の実施がぐっと楽になります。私たちが代行する際も、まずこの名簿と判定基準の確認から着手します。最初の線引きさえ固まれば、あとの運用は驚くほどシンプルです。
2028年の義務化で対象の考え方はどう変わる?
2028年の義務化でも「対象は常時使用する労働者」という基準は変わりません。変わるのは、義務を負う事業場の範囲です。
厚生労働省によると、ストレスチェックは2015年から労働安全衛生法で義務づけられています。従来は50人未満の事業場が当分の間の努力義務でした。2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、令和10年(2028年)4月1日から、50人未満の事業場にも実施が義務化されます。
このとき数える「50人」は、常時使用する労働者の数です。役員は労働者に含めないため、人数カウントにも入りません。小規模な会社ほど、役員と労働者の線引きが人数判定に直結する点に注意。
未実施のままだとどうなる?
義務の対象なのに実施しない場合、労働基準監督署の指導対象となる可能性があります。罰則や未実施リスクの詳細はストレスチェックの罰則を解説した記事で確認してください。
対象者の判定や実施をまるごと任せたいときは
対象者の線引きに迷う会社ほど、外部委託で負担を大きく減らせます。判定・実施・高ストレス者のフォローまで、一貫して任せられるためです。
私たちストレスチェックサポートセンターは、経済産業省の健康経営優良法人に9年連続で認定されています。数名から6,000名規模まで100社以上の実施を支援し、リピート率は9割を超えます。最短3日で受検をスタートでき、英語・ベトナム語にも対応します。
高ストレス者が出たあとの面談対応まで不安な方は、高ストレス者への対応をまとめた記事もあわせてご覧ください。制度の対象判定から事後措置まで、現場の味方として伴走します。
ストレスチェックの対象に関するよくある質問
- ストレスチェックは役員も対象ですか?
-
取締役などの役員は、原則として対象外です。役員は会社と委任契約を結ぶ事業者側の立場で、常時使用する労働者にあたらないためです。ただし部長職を兼ねる使用人兼務役員で労働者性がある場合は対象になります。
- 社長もストレスチェックの対象になりますか?
-
代表取締役である社長は、原則として対象外です。労働者ではなく事業者側にあたるためです。義務ではありませんが、健康管理の観点から希望に応じて任意で受検することは可能です。
- パートやアルバイトも対象ですか?
-
パートやアルバイトは、週の労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上であれば対象です。あわせて1年以上の雇用見込みなど契約期間の要件も確認します。短時間勤務で基準を下回る場合は、実施義務の対象には含まれません。
- 派遣社員は派遣先と派遣元のどちらで受けますか?
-
派遣社員のストレスチェックの実施義務は、派遣元の事業者が負います。派遣先は、職場の集団分析のために受検へ配慮することが望まれますが、実施義務そのものは派遣元にあります。受検結果の個人への通知も派遣元が行います。
- 休職中の従業員も対象に含めますか?
-
長期の休職者は、実施時点で就業していないため、対象から除いて差し支えありません。厚生労働省のマニュアルでも、実施期間中に休職している労働者は実施しなくてもよいとされています。復職後のタイミングで案内するとよいでしょう。
- 役員だけの会社でもストレスチェックは必要ですか?
-
常時使用する労働者がいない、役員だけの会社であれば、ストレスチェックの実施義務は生じません。労働者を1人でも雇用し、人数や労働時間の要件を満たした段階で、実施の準備が求められます。
まとめ:対象は「労働者かどうか」で見極める
ストレスチェックの対象は、常時使用する労働者です。役員や社長は原則対象外、パートや派遣社員は条件で判断します。迷ったときの基準は、ただひとつ「労働者かどうか」。この軸に立ち返ると、判断のぶれが減ります。
2028年には50人未満の事業場にも義務が広がります。対象者の判定から実施、事後対応まで負担を感じたら、早めに外部の力を借りてください。面倒な線引きごと、私たちが一緒に片づけます。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












