
1.調査票の選定と「職業性ストレス簡易調査票」の構造
ストレスチェックで最も一般的に使用されるのは、厚生労働省推奨の職業性ストレス簡易調査票(57項目)です。この調査票は、単に「疲れているか」を問うものではなく、以下の3つの多角的な視点から構成されています。
- A領域:仕事のストレス要因 業務の量・質、自律性、対人関係など。
- B領域:心身の反応 活気、イライラ、疲労感、不安、抑うつ、身体症状。
- C領域:周囲のサポート 上司、同僚、家族からの支援。
高ストレス者の判定は、これらの領域を組み合わせて行われます。具体的には、B領域(心身の反応)の点数が著しく高い場合や、A・C領域を合算して「仕事の負担が大きく、かつサポートが少ない」と判断される場合に「高ストレス」と判定されます。判定基準は事業場の実態に合わせて柔軟に設定可能ですが、実施者(医師等)の医学的見地を尊重し、衛生委員会で合意を得ておく必要があります。
なお、厚生労働省より上記調査票を利用する場合の、素点換算表を用いた高ストレス者を選定するための方法が公開されており、大多数の自治体や企業がこちらを用いています。特に独自の基準を設定しない場合はこちらに準じておけば無難であると言えます。
(厚生労働省:素点換算表(職業性ストレス簡易調査票 57 項目を用いる場合)https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/var/rev0/0111/3803/4.pdf)
2.受検促進と結果の通知プロセス
実施事務従事者は、Webシステムや紙の調査票を用いて検査を実施します。受検は義務ではありませんが、事業者は受検を奨励する義務があります。未受検者に対して、プライバシーに配慮した形で督促を行うことも重要です。 検査終了後、結果は実施者から労働者へ直接通知されます。この際、単に「高ストレスです。」と伝えるだけでなく、自分のストレス傾向がわかる「ストレスプロフィール」や、セルフケアのアドバイス、そして「医師による面接指導の申出方法」を併せて提示しなければなりません。
ストレスチェックサポートセンターでは受検方法によって2通りの方法で面接指導の申出書を提示することができます。
・紙受検の場合 個人へ受検結果をお知らせする「ストレスチェック個人結果報告書」に「面接指導申出書」を同封します。申出書の様式は任意のものをご指定いただけます。
・Web受検の場合 受検後即時表示される結果画面に「面接指導申出書」をダウンロードするリンクを表示します。紙受検同様、様式はご指定いただけます。
3.医師による面接指導の運用実務
高ストレス者として判定された労働者から申出があった場合、事業者は医師による面接指導を遅滞なく設定しなければなりません。
- 面接の目的 勤務状況や心理的負担の状況を確認し、メンタルヘルス不調のリスクを評価します。
- 申出の奨励 面接の申出を躊躇する労働者が多いため、事業者は申出によって不利益が生じないことを繰り返し周知する必要があります。
- 費用と時間 面接費用は事業者が負担します。面接時間の給与についても、労働時間として扱うことが望ましいとされています。
4.事後措置の決定と安全配慮義務の履行
面接指導を実施した医師は、その後遅滞なく、事業者に対して「事後措置に関する意見」を提出します。事業者はこの意見に基づき、以下の措置を検討・実施する法的義務を負います(労働安全衛生法第66条の10第6項)。
- 就業場所の変更・作業の転換 物理的な環境ストレスからの隔離。
- 労働時間の短縮・深夜業の回数減少 疲労回復のための時間確保。
- 具体的な配慮 通院への配慮や、ハラスメント要因がある場合の調整。
これらは単なるアドバイスではなく、放置して労働者の健康状態が悪化した場合、事業者は「安全配慮義務違反」に問われるリスクがあります。医師の意見を最大限尊重しつつ、本人と面談を重ねて納得感のある就業調整を行うことが求められます。
5.不利益な取扱いの禁止の徹底
ストレスチェック制度の崩壊を招く最大の要因は、高ストレス判定や面接指導の申出を理由とした不利益な扱いです。解雇、雇止め、退職勧奨はもちろん、不当な降格や、キャリアに不利な形での職種変更などは厳格に禁止されています。これらが一度でも発生すれば、社内の信頼関係は失われ、以降の受検において労働者は「正直に回答しない」という選択をとるようになります。制度を形骸化させないためには、このコンプライアンス遵守が生命線となります。
6.まとめ
第2回となる今回は実施する際に関係する箇所について解説しました。
ストレスチェックサポートセンターで使用している調査項目も、もちろん厚生労働省推奨の職業性ストレス簡易調査票です。また、紙受検とWeb受検の両方で、任意の基準値で高ストレス者を判定することが可能です。医師による面接指導もご提供可能です。無料のお見積もりはこちら、その他お問い合わせはこちらから、どちらもお気軽にご連絡ください。

