【最終回】集団分析から労基署報告まで!厚労省プログラムを使い倒す実務ガイド(その3)

「その1」で設定を行い、「その2」で受検と判定を終えました。最後に待っているのは、組織としての課題を可視化する「集団分析」と、行政への「実施報告」です。

厚生労働省版のプログラムは、これらの事務作業を自動化し、担当者の負担を大幅に軽減できるよう設計されています。

ストレスチェック実施プログラム初心者向け簡単マニュアル https://stresscheck.mhlw.go.jp/download/beginnermanual.pdf
ストレスチェック実施プログラム操作ガイド
https://stresscheck.mhlw.go.jp/download/sousa_guide.pdf
ストレスチェック実施プログラム実施者用管理ツールマニュアル
https://stresscheck.mhlw.go.jp/download/jisshisha_manual.pdf

目次

1. 集団分析の実施と活用

ストレスチェックは、個人のケアだけでなく「職場のどこにストレスの原因があるか」を突き止めるために行います。

① 集団分析の実行

プログラムの「⑪ 集団分析」画面を開きます。 ここで部署や課などの「職場単位」を選択し、分析を実行します。プログラムは自動的に「仕事のストレス判定図」を作成し、健康リスクを数値化してくれます。

② 「10人未満」の壁(プライバシー保護)

実務上、最も注意が必要なのが集団分析の集計単位です。

厚生労働省の指針:集計単位が10人未満の場合、個人の回答が特定される恐れがあるため、原則として全ての受検者の同意がない限り、結果を事業者に提供することはできません。

厚労省プログラムでは、設定により10人未満の部署を自動的に除外したり、上位組織と合算したりすることが可能です。

2. 職場環境改善へのステップ

分析結果が出たら、それを「出しっぱなし」にせず、実際の改善につなげます。

  • 分析結果の共有:判定図(レーダーチャート等)を用いて、管理職に自部署の強みと弱みをフィードバックします。
  • 具体的な対策:「これから始まる職場環境改善~スタートのための手引き~」などの資料を参考に、残業時間の調整やコミュニケーションの活性化など、具体的なアクションプランを立てます。

3. 労働基準監督署への報告書作成

ストレスチェックの実施後、法律で定められた報告義務への対応が必要です。ここで注意すべきは、報告が必要な事業場の条件です。

① 報告義務があるのは常時50人以上の事業場

労働安全衛生法により、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、年に1回、所轄の労働基準監督署に「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出しなければなりません。

重要:50名未満の事業場の扱い 従業員数が50名未満の事業場については、現在のところストレスチェックの実施自体が「努力義務」であるため、労働基準監督署への報告書提出義務はありません。 自発的に実施した場合でも、報告書の提出は不要です。2028年までに施工される改正法で実施が義務化された後も同様です。

② プログラムでの報告書作成(50人以上の事業場向け)

報告義務がある事業場では、プログラムの「⑫ 労働基準監督署報告書」画面を活用しましょう。 この画面では、その年度の「受検者数」「面接指導実施人数」などが自動集計されます。

電子申請の原則義務化: 2025年1月より、報告書の提出はe-Gov等を利用した電子申請が原則義務化されています。プログラムから出力したデータを活用し、スムーズな申請を行いましょう。

産業医の氏名:報告書には、実施に関与した(または報告を受けた)産業医の氏名を記載する必要があります。実施者とはまた別である点に注意が必要です。多くは自社で契約している産業医の名前を記載することになるでしょう。

4. データの保存義務

実施が終わっても、担当者の仕事は終わりではありません。

労働安全衛生法による規定:ストレスチェックの結果記録、および実施した際の諸記録は、5年間保存しなければなりません。

厚労省プログラムのデータベースには過去のデータも蓄積されますが、PCの故障や買い替えに備え、必ず定期的に「バックアップ」を取るようにしてください。


小規模事業場の今後

現在、50人未満の事業場はストレスチェックの実施が「努力義務」とされていますが、法改正により2028年までに完全義務化される見通しです。 今は義務でない企業であっても、今のうちにこの無料プログラムを導入し、操作に慣れておくことは、将来的な制度対応の大きなアドバンテッジとなります。


全3回にわたり、厚労省プログラムの使い方を解説してきました。 このツールを正しく使えば、コストをかけずに社員のメンタルヘルスを守り、実施義務に対応することができます。まずは一度、デモデータを作成して動かしてみることから始めてみてください。

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