出荷量が読めない繁忙期、早番と夜勤のシフト、パートや派遣が入り混じる現場。物流倉庫の労務管理は、正直なところ気を配る範囲が広すぎますよね。
この記事では、物流倉庫でのストレスチェックの進め方を5ステップで整理します。パートや夜勤のスタッフまで受検を届ける工夫、工程別の集団分析の活かし方まで解説します。
この記事でわかること
- 物流倉庫の「50人」の数え方と2028年の義務化拡大のポイント
- 紙とWebを併用したストレスチェックの実施手順5ステップ
- 交替勤務・パート中心の現場で受検率と集団分析を活かす方法
結論から先に:物流倉庫では、パート・アルバイトを含め常時50人以上が働く事業場でストレスチェックが義務です。2028年(令和10年)4月1日からは50人未満の倉庫も対象になります。現場に受検を届けるコツは紙とWebの併用です。
物流倉庫のストレスチェックは義務?【50人の数え方に注意】
ストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場で年1回の実施が義務とされています(労働安全衛生法第66条の10)。
数える単位は会社全体ではなく事業場ごとです。倉庫やセンターを複数持つ会社は、拠点ごとに人数を数えます。
見落としやすいのが人数の数え方です。継続して雇用しているパート・アルバイトも50人に含めます。社員は25人でも、パートを合わせて90人なら実施義務のある事業場です。
一方で、受検の対象者は少し狭くなります。契約期間が1年以上で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の人が対象です。それより勤務時間の短いパートさんにも、希望すれば受けられるように配慮してください。
相談者うちの倉庫は社員が25人だけです。パートを入れると90人になりますが、対象でしょうか?



対象です。パートさんも含めて事業場単位で数えます。まずは実施体制づくりから始めましょう。
さらに、2025年5月には改正労働安全衛生法が公布されました。2028年(令和10年)4月1日からは、50人未満の事業場にも義務が広がります。小さな倉庫や営業所を多く抱える会社ほど、早めの準備が求められます。
倉庫スタッフのストレス要因とは?現場に多い4つの負荷
物流倉庫で働く人には、身体的な負荷・繁忙期の波動・交替勤務・固定された人間関係という4つのストレス要因が重なりやすいです。
重い荷物の反復、夏の暑さと冬の冷え込み。倉庫の負荷はまず体にきます。そこにセールや年末の出荷波動が加わり、残業と応援が続くと心の余裕まで削られていきます。
私たちがこの記事のために関連キーワードを調べたところ、考えさせられました。「倉庫の人間関係はきついですか?」という質問が実際に並んでいます。「倉庫作業で頭おかしくなる原因」という検索も見つかりました(ラッコキーワード・2026年7月時点)。働く本人が、こうした言葉を自分で検索している状況です。
同じメンバーと長時間の立ち仕事で向き合う職場は、人間関係の逃げ場をつくりにくい環境です。だからこそ、不調が表に出る前に数字で気づく仕組みが役に立ちます。
物流倉庫でのストレスチェック実施手順【5ステップ】
実施の流れは、体制づくりから労働基準監督署への報告まで5つのステップで進めます。厚生労働省が推奨する57項目の調査票を使えば、設問づくりに迷いません。
実施者(医師・保健師など)と実施事務従事者を決めます。実施事務従事者とは、名簿の管理や連絡役を担う社内の担当者のことです。実施方法は衛生委員会で審議し、規程として全員に周知します。
紙かWebか、併用かを決めます。現場スタッフが業務用PCを持たない倉庫では、紙とスマートフォンの併用が現実的です。朝礼や休憩室の掲示で、夜勤帯まで漏れなく案内します。
国が推奨する57項目の職業性ストレス簡易調査票などで実施します。結果は実施者から本人へ直接通知されます。本人の同意なく会社は結果を見られません。
高ストレスと判定された人から申出があれば、医師による面接指導を行います。申出からおおむね1か月以内の実施が求められます。申出しやすい雰囲気づくりまでが会社の仕事です。
工程や時間帯ごとの集団分析で、職場環境の改善につなげます。50人以上の事業場は、実施状況を労働基準監督署へ報告することが求められます。
制度の詳細は、厚生労働省のストレスチェック制度ページとe-Gov法令検索(労働安全衛生法)で確認できます。メンタルヘルス対策全般は厚生労働省「こころの耳」も参考になります。
「繁忙期と重なったら体制づくりまで手が回らない」と感じたら、実施ごと外部に任せる方法があります。費用感は無料で確認できます。
受検率をどう上げる?交替勤務・パート中心の現場での工夫
物流倉庫の受検率は、紙とWebの併用と、勤務時間内に受検が完結する導線づくりで上がります。
現場スタッフの多くは業務用のPCやメールアドレスを持ちません。ロッカールームで紙の調査票を配る、休憩室にQRコードを掲示してスマートフォンで受けてもらう。この二本立てなら取りこぼしが減ります。
夜勤や早番のシフトにも、日勤と同じタイミングで案内を届けてください。出入口に回収箱を置くと、休憩時間の中で受検から提出まで済ませられます。
「正直に答えたら評価に響くのでは」という不安への説明も欠かせません。結果を理由にした不利益な取り扱いは法律で禁止されています。案内文にこの一文を入れるだけで、回答の正直さが変わります。
外国人スタッフが多い現場では、母国語で受けられるかどうかも受検率を左右します。当センターは英語・ベトナム語での受検に対応しています。具体的な引き上げ策は受検率を上げる方法とWeb受検の進め方も参考にしてください。
集団分析で「どの工程がきついか」を見える化する
集団分析を工程別・時間帯別に行うと、ピッキングや梱包といった持ち場ごとの負荷の偏りが数値で分かります。
集団分析とは、ストレスチェックの結果を部署などの集団ごとに集計し、職場単位のストレス傾向を把握する方法のことです。入荷、ピッキング、梱包、出荷。同じ倉庫でも、工程によって負荷はまるで違います。
ルールの更新にも注意が必要です。厚生労働省は2026年6月30日に労働安全衛生規則を改正しました。集団分析を個人が特定されない方法で行うことが新たに規定されています。施行は2027年(令和9年)4月1日です。



5人の班ごとに集計したら、誰の回答か想像がついてしまいそうで心配です…。



10人未満の集計は、原則として全員の同意が必要です。工程や時間帯を組み合わせて、個人が浮かばない単位を設計しましょう。
私たちがご支援したある物流センターでは、出荷波動の大きい工程だけ量的負担のスコアが突出していました。応援ルールと休憩の取り方を見直すきっかけになり、翌年は数値が改善しています。
分析結果の読み方は集団分析の基本と活用方法で解説しています。高ストレスの判定が出た人への対応は高ストレス者への対応方法にまとめました。
人の入れ替わりが多い倉庫こそ外部委託が現実的
ストレスチェックの外部委託は、名簿管理から実施・結果管理までを任せられ、総務担当者の実務負担を大きく減らせる方法です。
倉庫は入退社が多く、対象者名簿の更新だけでもひと仕事です。紙とWebの併用、英語・ベトナム語対応、繁忙期を避けた日程調整。外部に任せると、こうした細かな設計ごと引き受けてもらえます。
当センターは500〜20,000名規模まで100社以上の実施を代行してきました。翌年も続けていただくリピート率は9割以上です。9年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定され、個人情報はプライバシーマークのもと自社サーバーで管理しています。
準備の時間が読みにくい繁忙期の前でも、最短3日で受検を始められます。委託先を比べる観点は委託先の選び方を参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
物流倉庫のストレスチェックについて、担当者からよく寄せられる質問に答えます。
- 物流倉庫のストレスチェックは何人から義務ですか?
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パート・アルバイトを含め、常時50人以上が働く事業場で年1回の実施が義務です。改正労働安全衛生法により、2028年(令和10年)4月1日からは50人未満の倉庫も対象になります。
- パート・アルバイトもストレスチェックを受けますか?
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契約期間が1年以上で、週の労働時間が正社員の4分の3以上であれば受検の対象です。それより勤務時間の短い方にも、希望すれば受けられる環境づくりが推奨されています。
- 派遣スタッフのストレスチェックはどちらの会社が行いますか?
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実施義務は雇用主である派遣元の会社にあります。職場環境の改善に使う集団分析は、実際に働く派遣先の倉庫でも行うのが望ましい対応です。
- 夜勤のスタッフにはどうやって受検してもらえばいいですか?
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夜勤帯の休憩時間に受けられるよう、紙の調査票やスマートフォンでのWeb受検を用意してください。出勤時の配布や回収箱の設置など、勤務時間内で完結する導線をつくると受検が進みます。
- 倉庫の人間関係のつらさもストレスチェックで分かりますか?
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国が推奨する57項目の調査票には、上司や同僚の支援に関する設問が含まれています。集団分析で班や工程ごとの傾向を見ると、人間関係の負荷が高い集団に気づけます。
- 結果を会社に知られたくないという声には何と答えればいいですか?
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結果は実施者から本人にだけ通知され、本人の同意がない限り会社には提供されません。結果を理由にした不利益な取り扱いも法律で禁止されていると案内してください。
まとめ|倉庫の「しんどさ」を数字にして改善につなげる
物流倉庫のストレスチェックは、義務対応であると同時に、現場の負荷を数字でつかめる数少ない機会です。
- 50人はパートを含め事業場ごとに数える。2028年4月からは50人未満も義務化
- 受検率の鍵は、紙とWebの併用とシフト内で完結する導線
- 工程別・時間帯別の集団分析で、負荷の偏りを職場改善につなげる
繁忙期と人の入れ替わりに追われながら、自社だけで回すのは大変です。実施ごと任せて、担当者の時間を現場のフォローに使う。その選択肢も含めて、まずは気軽に相談してください。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。










