高ストレス者に面談を拒否されたら|会社の正しい対応

高ストレス者に面談(面接指導)を拒否されたときに会社が取るべき対応の手順と注意点を示すイメージ

この記事でわかること

  • ✅ 面接指導対象者が面談を拒否する主な理由と、断られたときの考え方
  • ✅ 面談を拒否されたときに会社が取るべき対応の5ステップ
  • ✅ 強制や不利益取扱いなど、やってはいけない対応の線引き

「面接指導対象者宛に面談の案内を出したのに、申出がなかった」

総務や人事のご担当者から、毎年この声をいただきます。すすめ方が悪かったのかと、不安になりますよね。でも、申出がないこと自体は珍しくありません。私たちの経験上、高ストレス者は全体の10%、面接指導申出者はさらにその5%程度です。

大切なのは、断られた後にどう動くかです。この記事を読み終えるころには、次の一手が見えているはずです。


目次

面接指導対象者が面談を拒否するのはなぜか

面接指導対象者が面談を申し出ない背景には、「評価への不安」と「面談への誤解」があります。

面接指導は、本人を守るための仕組みです。それでも、申出をためらう人は少なくありません。まず理由を知ることが、対応の出発点になります。

高ストレス者が面談を拒否する理由と会社が配慮すべき点を示すイメージ

よくある拒否の理由を、現場の声から整理します。

  • 面談を受けると、人事評価で不利になると思っている
  • 面談の内容が、上司に筒抜けになると心配している
  • 「高ストレス者」と知られること自体が怖い
  • 多忙で、面談の時間を取る余裕がない
  • そもそも面談で何をするのか分からず、身構えている

「面談の内容が上司に報告されると思い込み、身構える社員は多い」という趣旨が見て取れます。誤解が拒否を生む構図です。

私がご相談をお受けする中でも、拒否の理由は「面倒だから」ではないことがほとんどです。不安や誤解が、断りという形になって表れます。ここを解きほぐすことが、会社の役割になります。

とくに多いのが、面談を人事評価と結びつけて考えてしまうケースです。「弱音を吐いたと思われたくない」という気持ちが、申出をためらわせます。逆に言えば、評価とは無関係だと伝わるだけで、拒否は大きく減ります。高ストレス者そのものの基礎は、高ストレス者とは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。


そもそも面談は拒否できる?会社が知るべき前提

面接指導対象者の面接指導は本人の申出が前提のため、本人が拒否しても会社が強制することはできません。

ここを誤解したまま進めると、対応を踏み外します。まず制度の前提を、正しく押さえておきましょう。

面接指導は「申出」があってはじめて実施する

ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づく検査です。面接指導対象者と判定された人が医師の面接指導を希望した場合、会社は実施する役割を負います。

逆に言えば、本人からの申出がなければ面接指導は始まりません。会社が無理に受けさせる仕組みではないのです。ここが、一般的な健康診断との大きな違いになります。

申出をするかどうかは、あくまで本人の意思です。拒否は、本人に認められた選択。会社がペナルティを科すことはできません。面接指導の流れ全体は、面接指導の進め方を解説した記事で詳しく説明しています。

会社に開示されるのは「申出があった人」の情報だけ

会社は、本人の同意なしに個別の結果や氏名を知ることができません。誰が面接指導対象者かは、面接指導の申出があってはじめて分かります。

つまり「拒否された」と会社が認識できるのは、申出をめぐるやり取りがあった場面に限られます。結果の取扱いには、徹底した配慮が求められます。プライバシーへの不安が、拒否の一因にもなるためです。

「受ける」「受けない」で何が変わるか

面談を受けるかどうかで、その後の流れは変わります。本人に説明するときの材料として、違いを表に整理します。

項目面談を受ける場合面談を受けない場合
会社の把握申出により面接指導対象者と分かる会社は氏名を把握できない
就業上の措置医師の意見をふまえ検討できる個別の措置は行われない
本人の負担専門家に相談でき安心につながる不調を抱え込む恐れが残る
会社の対応意見聴取と必要な配慮を実施再案内と社外窓口の紹介で配慮

受けないことが、ただちに不利になるわけではありません。ただ、専門家に相談できる機会を逃すのは惜しいところ。この表を見せながら、本人に選んでもらうのも一つの方法です。


面談への不安は、会社の体制づくりで大きく減らせます。「自社の進め方で合っているか確認したい」という方は、お気軽にご相談ください。9年連続で健康経営優良法人に認定された弊社が、運用の整え方からお手伝いします。



面談のメリットをどう周知するか

「不利にならない」と伝えるだけでなく、受けて得られる安心を具体的に示すことが効果的です。

禁止事項を並べるより、前向きな理由を添えるほうが心に届きます。本人に伝えたいメリットを整理します。

  • 医師に相談でき、今の状態を客観的に把握できる
  • 必要なら、残業の削減や業務の調整につなげられる
  • 一人で抱えていた不調を、専門家と一緒に整理できる

面談は、会社のためではなく本人のための時間です。そのことが伝わると、身構えていた人の表情がやわらぐ場面を何度も見てきました。言葉の選び方ひとつで、申出のハードルは下がります。

伝え方に迷ったら、「受けるかどうかはあなたが決めてよい」と前置きしてください。選択権を本人に残すことが、かえって前向きな申出を引き出します。押し付けないことが、いちばんの後押しになります。


やってはいけない対応|強制と不利益取扱い

面談を理由に従業員を不利に扱うことは、法令で禁止されています。

良かれと思った対応が、かえって会社のリスクになる場面があります。避けるべき対応を、具体的に挙げます。

  • 「業務命令だ」として面談を強制する
  • 拒否を理由に、配置転換や減給などの不利益を与える
  • 本人の同意なく、結果を上司や同僚に伝える
  • 「受けないなら自己責任」と突き放す

面接指導の申出や結果を理由とした不利益取扱いは、禁止されています。強制は、この禁止に触れる恐れがあります。詳しい根拠は、厚生労働省のストレスチェック制度の関連情報で確認できます。

一方で、何もしない放置も避けてください。会社には、従業員の心身に配慮する安全配慮義務があります。対応の記録を残しつつ、できる範囲で手を尽くす。このバランスが求められます。放置した場合のリスクは、ストレスチェック未実施・対応漏れのリスクでも整理しています。


面談を受けてもらいやすい職場の整え方

拒否を減らす最善策は、申出をしやすい雰囲気を平時からつくることです。

断られてから動くより、断られにくい状態を先に整える。これが遠回りに見えて、いちばんの近道になります。

制度の目的を、事前に全員へ伝える

面接指導は、罰でも査定でもありません。本人を守る制度だと、実施前に全社へ説明します。目的が共有されていれば、いざというとき身構えずに済みます。

プライバシーが守られる仕組みを明示する

結果を誰がどう扱うのか、ルールを文書で示します。「上司には伝わらない」と分かるだけで、安心感がまるで変わります。弊社ではプライバシーマークを継続取得し、自社サーバーで個人情報を管理しています。

申出の窓口を、社内外に複数用意する

窓口が1つだと、その担当者に言いづらい人が漏れます。社内と社外、両方の入口を用意してください。選べること自体が、申出のしやすさにつながります。


産業医がいない・対応が難しいときの選択肢

産業医がいなくても、地域の窓口や外部委託で面接指導には対応できます。

従業員50人未満の事業場では、産業医の選任義務がありません。それでも、面接指導の受け皿は用意されています。

地域産業保健センターを使えば、無料で医師の面接指導を受けられる場合があります。外部の専門会社に委託すれば、医師の手配から記録の管理までまとめて任せられます。担当者の負担が、大きく軽くなります。

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、令和10年(2028年)4月1日からは50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。準備を前倒しする会社が増えています。

弊社はストレスチェック実施代行として、100社以上・500〜20,000名規模の導入実績があります。リピート率は9割以上。面接指導の医師手配や高ストレス者対応まで、最短3日で受検をスタートできます。


よくある質問

高ストレス者の面談は強制できますか?

強制はできません。面接指導は本人の申出が前提のため、受けるかどうかは本人が決めます。会社は申出をしやすい環境を整え、案内を尽くす役割を担います。

面談を拒否した従業員に、罰則を与えてよいですか?また、罰則とは具体的に何ですか。

与えてはいけません。申出や面談を理由とした不利益取扱いは、法令で禁止されています。減給・降格・配置転換などのペナルティは避けてください。

拒否された後、会社は何もしなくてよいですか?

放置は避けてください。誤解を解く、再案内する、社外窓口を紹介するなど、できる対応があります。会社が配慮を尽くした記録を残すことも大切です。

面談の内容は、上司に報告されますか?

本人の同意なく、面談の内容がそのまま上司に伝わることはありません。会社が受け取るのは、就業上の措置に必要な範囲の医師の意見です。この点を本人に伝えると、不安がやわらぎます。

産業医がいなくても面接指導はできますか?

対応できます。地域産業保健センターや外部の専門会社を活用してください。50人未満の事業場でも、医師による面接指導の受け皿は用意されています。

拒否されたことは、記録に残すべきですか?

残してください。案内した日付や伝えた内容を記録すると、会社が義務を果たした証拠になります。本人を責める記録ではなく、配慮の記録として整えてください。

面談を受けないままで、本人は大丈夫でしょうか?

断られても、別の支えは用意できます。社外の相談窓口を紹介したり、業務量を見直したりする配慮が有効です。本人の様子に変化があれば、あらためて面談をすすめてください。一度の拒否で終わりにしないことが大切です。

まとめ:拒否されても、会社にできることは残っている

面接指導対象者に面談を拒否されたときの対応を整理します。

  • 拒否の多くは「評価への不安」と「面談への誤解」が原因
  • 面接指導は申出が前提で、会社が強制することはできない
  • 対応は「理由確認→誤解を解く→再案内→社外窓口→記録」の5ステップ
  • 強制や不利益取扱いは禁止。一方で放置も避ける
  • 申出しやすい環境づくりが、拒否を減らす最善策

断られた瞬間に、対応が終わるわけではありません。順番を踏めば、本人が気持ちを変えてくれることもあります。会社の落ち着いた姿勢が、従業員の安心を支えます。

「自社だけで対応しきれるか不安」という方は、お気軽にご相談ください。9年連続で健康経営優良法人に認定された弊社が、面接指導の手配から運用の整備までサポートします。資料やお見積りもご用意します。

この記事の編集・監修体制

編集:ストレスチェックサポートセンター編集部

本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、500〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。

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