隊員が各現場に散らばり、事務所に顔を出すのは月に数回。そんな警備業でストレスチェックを回すのは、正直ひと苦労ですよね。この記事では、警備業の義務化スケジュールと実施の流れ、分散現場・夜勤でも受検が進む具体的な工夫を解説します。
この記事でわかること
- 警備業でストレスチェックが義務になる条件と2028年からの変更点
- 直行直帰・夜勤シフトの隊員にも受検してもらう方法(紙・Web併用)
- 外部委託で警備会社の担当者の負担がどこまで減るか
結論から先に:警備業も労働安全衛生法に基づくストレスチェックの対象です。隊員が常時50人以上の営業所はすでに実施義務があり、50人未満も2028年(令和10年)4月1日から義務になります。現場が分散していても、紙とWeb(スマホ)の併用受検で実施できます。
警備業にストレスチェックは義務?いつから始まる?
労働者が常時50人以上の警備会社の事業場には、ストレスチェックの実施義務があります(労働安全衛生法第66条の10)。50人未満の事業場も2028年(令和10年)4月1日から義務の対象です。
ストレスチェックとは、働く人の心理的な負担の程度を年1回調べる検査です。2015年から労働安全衛生法で事業者に実施が義務付けられてきました。警備業法の教育計画とは別枠の、すべての業種共通の制度です。
人数は「営業所(事業場)ごと」に数えるのが基本
義務かどうかの判断は、会社全体ではなく事業場(営業所)単位の人数で行うのが基本です。対象には内勤の管制員や事務職員だけでなく、常時働く警備隊員やパート勤務の隊員も含まれます。
相談者隊員はほとんど現場へ直行直帰で、営業所に来るのは月1回の研修くらいです。それでも人数に数えるのでしょうか?



数えます。所属する営業所で継続して雇っていれば、勤務場所が客先の現場でも対象です。直行直帰が多い会社ほど、受検方法の設計が成功のカギになりますよ。
2028年4月から50人未満の営業所にも義務化
根拠は2025年5月に公布された改正労働安全衛生法です。厚生労働省は、令和10年4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックを義務化すると公表しています。地域の警備会社の多くがこの拡大の対象です。
厚生労働省「令和5年度ストレスチェック実施状況」によると、対象事業場の実施率は83.6%です。一方で50人未満の事業場では実施率が約30%にとどまります。契約先から実施状況を聞かれる前に、前倒しで整えておくと安心です。
最新の制度情報は厚生労働省のストレスチェック制度ページで確認できます。条文を確認したい方はe-Gov法令検索の労働安全衛生法を参照してください。
警備員のストレス要因は何が多い?
警備員のストレス要因は、夜勤を含む不規則なシフト、一人配置の孤独感、通行人や入居者からのクレーム対応の3つが代表的です。


施設警備は夜勤と日勤が交互に入り、生活リズムが崩れがちです。交通誘導やイベント警備では、炎天下や寒風の中で長時間立ち続けます。体の疲れが、そのまま心の疲れに重なる仕事だといえます。
私が警備会社の担当者の方と話していて印象的なのは、「隊員の不調に気づいたときには退職を決めていた」という後悔の声です。一人現場が多く、上司や同僚が変化に気づきにくい構造が背景にあります。
数字にも表れています。厚生労働省「令和7年度過労死等の労災補償状況」によると、仕事のストレスによる精神障害の労災請求件数は4,958件で、前年度から1,178件増えました。ストレスチェックとは別の統計ですが、職場のメンタルヘルス対策が業種を問わず迫られている状況が分かります。セルフケアや相談窓口の情報は、厚生労働省のポータルサイトこころの耳でも公開されています。
ストレスチェックは、こうした見えにくい負担を数値で見える化する仕組みです。集団分析とは、結果を部署や職種ごとに集計して職場単位の傾向をつかむ方法を指します。隊別・現場別の集計ができれば、負担の偏りが具体的に見えてきます。詳しくは集団分析の解説記事で紹介しています。
警備業でストレスチェックを実施する流れ【5ステップ】
警備業のストレスチェックは、実施体制づくりから集団分析まで5つのステップで進めます。
全体像を先につかんでおくと、繁忙期の年末年始やイベントシーズンを避けて受検期間を設定できます。契約更新の時期と重ねない段取りも組みやすくなるでしょう。
実施者となる医師・保健師などを確保し、実施規程を整えます。産業医のいない50人未満の営業所は、外部機関の実施者を活用できます。
対象者名簿を作り、目的と結果の取り扱いを全隊員に案内します。月例研修や現場の朝礼、業務連絡アプリなど複数の経路で伝えると確実です。
現場の実情に合わせて受検方法を選びます。受検期間は2週間〜1か月ほど確保し、夜勤明けやシフトの谷間でも受けられるようにします。
結果は実施者から本人へ直接通知します。高ストレス者とは、点数が一定基準を超えて心身の負担が大きいと判定された人のことです。本人の申出があれば、医師による面接指導の実施が求められます。
隊別・現場別の傾向を分析し、配置や休憩の改善につなげます。50人以上の事業場は労働基準監督署への実施報告が求められます。
高ストレスと判定された隊員への声かけや面接指導の進め方は、高ストレス者対応の解説記事にまとめています。なお2026年6月には集団分析の実施方法に関する省令改正も行われました。制度は今も動いているため、最新情報の確認を続けてください。
警備業ならではのつまずきポイントと対処法
警備業のストレスチェックでつまずきやすいのは、現場の分散・受検方法のミスマッチ・シフトによる回収遅れの3点です。


つまずき①:隊員が営業所に集まらない
施設警備・交通誘導・機械警備と、隊員の勤務場所はばらばらです。営業所で一斉に受検する方式は、警備業ではまず成立しません。
現実的なのは、月例研修や給与明細の手渡しなど「隊員が必ず接点を持つ機会」に合わせた配布・回収です。実際に、調査票を現場ごとの封筒で隊長経由で回す運用に変えた会社では、回収が1か月から2週間に縮んだ例を見てきました。
つまずき②:ベテラン隊員にWeb受検だけでは進まない
警備業は60歳以上のベテラン隊員が多く活躍する業界です。スマホ操作に不慣れな方へWeb受検だけを案内すると、未受検のまま止まりがちです。



年配の隊員から「スマホの画面は細かくて無理だ」と言われてしまいました。紙だけに戻すべきでしょうか…?



どちらかに寄せる必要はありません。若手はスマホでWeb受検、ベテランは紙の調査票と、同じ実施の中で選べる併用方式が警備業には一番なじみますよ。
紙受検なら、待機時間や休憩中に数分で記入して封筒に入れるだけで完了します。Web受検の仕組みはWeb受検の解説記事を参考にしてください。
つまずき③:夜勤シフトで受検期間内に集まらない
24時間シフトの職場では、案内が全員に行き渡るまで時間がかかります。受検期間を短く設定しすぎると、夜勤専従の隊員が取り残されます。
期間は1か月を目安に長めへ。管制からの定時連絡で受検状況をひと声添えるだけでも、進み方は変わります。受検率を高める具体的な声かけは受検率向上の解説記事で紹介しています。
外部委託すると何が楽になる?
外部委託すると、実施者の確保から調査票の配布・回収、結果通知、集団分析までを一括で任せられます。
担当者に残る仕事は、名簿の準備と現場への声かけくらい。自社で行う場合との違いを整理しました。
| 作業 | 自社で実施 | 外部委託 |
|---|---|---|
| 実施者の確保 | 医師・保健師を自分で探す | 委託先の実施者が担当 |
| 調査票の配布・回収 | 担当者が現場ごとに管理 | 紙・Webとも委託先が管理 |
| 結果の集計・通知 | 担当者+実施者で対応 | 委託先が本人へ直接通知 |
| 個人情報の管理 | 社内で保管体制が必要 | 委託先が外部で管理 |
| 複数営業所のとりまとめ | 営業所ごとに別々の作業 | 全営業所を一括で実施 |
当センターは500〜20,000名規模まで100社以上の導入実績があり、紙受検・Web受検・併用のすべてに対応しています。複数営業所の一括実施や、最短3日での受検スタートにも対応可能です。外国人隊員が在籍する会社向けに、英語・ベトナム語の受検にも対応しています。
翌年も利用されるお客様は9割以上。運営会社は9年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定されており、プライバシーマークを取得した自社サーバーで個人情報を管理しています。
委託先を比べる際の視点は委託先の選び方の解説記事にまとめました。現場の分散具合や隊員の年齢構成はどの会社も違います。迷ったら、いまの運用の困りごとから相談してください。
警備業のストレスチェックに関するよくある質問
警備会社の担当者の方からよくいただく質問をまとめました。
- アルバイトや短時間勤務の警備員もストレスチェックの対象ですか?
-
契約期間が1年以上で、週の労働時間が正社員の4分の3以上ある隊員は対象に含めるのが基本です。日々紹介のスポット勤務など、常時使用にあたらない人は対象外と判断できます。迷う場合は雇用契約の実態で確認してください。
- ストレスチェックの結果を営業所長や隊長が見ることはできますか?
-
本人の同意がない限り、会社側が個人の結果を見ることはできません。結果は実施者から本人へ直接通知される決まりです。会社が受け取れるのは、個人が特定されない集団分析の結果に限られます。
- 夜勤専従の隊員にはいつ受検してもらえばいいですか?
-
受検のタイミングに法律上の指定はなく、勤務時間内の待機時間や夜勤明けを避けた出勤日で構いません。受検期間を1か月ほど確保し、紙とWebのどちらでも受けられるようにしておくと、夜勤シフトでも無理なく回せます。
- 高ストレスと判定された隊員が面談を拒否したらどうすればいいですか?
-
医師による面接指導は本人の申出が前提のため、強制はできません。申出しやすいよう、不利益な取り扱いをしない方針の周知と、申出窓口の明確化が会社側の役割になります。相談窓口の案内など、面談以外のケアの用意も有効です。
- ストレスチェックは意味がないって本当ですか?
-
受けっぱなしで終わらせると効果を感じにくいのは事実です。一方、集団分析まで行って配置やシフトの見直しにつなげれば、離職や不調の予防策として機能します。厚生労働省「令和5年度実施状況」でも実施率は83.6%に達しており、定着した制度といえます。
- 警備業でも労働基準監督署への報告は必要ですか?
-
常時50人以上の労働者がいる事業場は、業種を問わず年1回の実施状況報告が求められます。警備業も例外ではありません。50人未満の事業場は現時点で報告義務はありませんが、2028年の義務化に向けて最新の運用を確認してください。
まとめ:現場に合う受検方法を決めれば、警備業でも無理なく回せます
警備業のストレスチェックは、50人以上の事業場ではすでに義務、50人未満も2028年(令和10年)4月1日から義務になります。判断の単位は会社全体ではなく営業所ごと。まずは対象人数の棚卸しが最初の一歩です。
- 2028年4月から50人未満の営業所も義務化(労働安全衛生法第66条の10)
- 直行直帰・夜勤の現場は紙・Web併用と長めの受検期間が現実的
- 実施者の確保や回収管理が難しければ外部委託で一括対応
現場を守る隊員の心身は、警備品質そのものです。受検方法さえ現場に合っていれば、制度対応は淡々と回せます。段取りに迷ったら、営業所の数や隊員構成を聞かせてください。一緒に進め方を整えます。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












