この記事でわかること
- ✅ 高ストレス者の意味と、どう選ばれるのか(選定基準)
- ✅ 高ストレス者の割合の目安と、面接指導〜就業上の措置の流れ
- ✅ 放置したときのリスクと、外部委託で対応を楽にする方法
ストレスチェックの結果で「高ストレス者」が出たとき、何をすればいいか迷いますよね。基準の決め方も、面接指導の進め方も、初めてだと分かりにくいものです。この記事では、高ストレス者の選び方から会社の対応までを、総務・人事の方にもわかるように整理します。専門用語はそのつど噛み砕いて説明します。
高ストレス者とは?まず意味を整理します
高ストレス者とは、ストレスチェックの結果からストレスが特に高いと判定された人のことです。
ストレスチェックは、従業員のストレス状態を質問票で測る仕組みです。労働安全衛生法第66条の10にもとづき、常時50人以上の事業場に毎年の実施が義務づけられています。その回答を採点し、一定の基準を超えた人が高ストレス者となります。
ざっくり言うと、ストレスの点数が高い人が高ストレス者として選ばれる、というイメージです。ただし「何点以上を高ストレスとするか」は、国が一律に決めているわけではありません。ここが多くの担当者のつまずきどころ。次の章で具体的に見ていきます。
参考: 厚生労働省 ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策
高ストレス者を測る3つの領域【質問票の中身】
高ストレス者の判定には、ストレスを3つの領域に分けて尋ねる質問票を使います。
国が示す標準的な様式が「職業性ストレス簡易調査票」(57項目)です。設問への回答を3つの領域に整理します。中身を知っておくと、結果の見方がぐっとわかりやすくなります。
| 領域 | 何を測るか |
|---|---|
| 仕事のストレス要因 | 仕事の量や負担、裁量の大きさなど、ストレスの原因 |
| 心身のストレス反応 | 気分の落ち込み・不安・疲労など、現れている反応 |
| 周囲のサポート | 上司や同僚、家族から得られる支えの程度 |
高ストレス者の判定で軸になるのは、真ん中の「心身のストレス反応」です。反応が強く出ている人を中心に、要因とサポートの状況を加味して選びます。質問票の構成を理解しておくと、次に説明する選定基準も読み解きやすくなります。
高ストレス者の選定基準【評価点数の合計】
高ストレス者は、ストレスチェックの評価点数の合計をもとに、2つの考え方で選ばれます。
厚生労働省の『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』では、次のいずれかに当てはまる人を高ストレス者としています。

| 選定パターン | 内容 |
|---|---|
| パターン① | 「心身のストレス反応」の評価点数の合計が高い人 |
| パターン② | 「心身のストレス反応」が一定以上で、かつ「仕事のストレス要因」と「周囲のサポート」の合計が著しく高い人 |
採点には、回答を点数化する素点換算法などが用いられます。難しく聞こえますが、要は「決めた配点に沿って合計点を出す」作業です。会社ごとに評価方法をそろえておく点がポイントになります。
そして重要なのは、基準となる点数を最終的に決めるのは事業者であるという点です。衛生委員会での調査審議や、実施者(産業医など)の助言をふまえて決定します。基準の設定しだいで、高ストレス者を多くも少なくも調整できます。
補足的な面談で選ぶ方法もあります
点数だけでなく、面談を加えて選定する方法も認められています。これを補足的面談といいます。
数値では拾いきれない状態を、対話で確認する狙いです。早急な対応が必要かを見極めたいときにも役立ちます。衛生委員会の体制づくりは、『衛生委員会』の記事もあわせてご覧ください。
高ストレス者の割合はどのくらい?
高ストレス者の割合は、厚生労働省のモデル基準でおおむね受検者の1割程度が目安とされています。
あくまで標準的な基準を用いた場合の目安です。前述のとおり基準は事業者が決めるため、実際の割合は会社ごとに変わります。社員100人なら10人前後が該当しうる、という規模感をつかんでおくと準備がしやすくなります。
割合が想定より多い場合は、職場環境そのものにストレス要因が偏っている可能性があります。個人への対応と並行して、集団分析で部署ごとの傾向を見てください。分析の活かし方は『集団分析』の記事で解説しています。
逆に、基準を厳しくしすぎると本当に支援が必要な人を見落とすおそれがあります。「該当者を減らす」ことが目的ではありません。大切なのは、適切な人に支援を届ける基準に整えること。数字の調整ではなく、従業員を守る視点で設計してください。
高ストレス者への対応の流れ【面接指導】
高ストレス者には、本人の申出にもとづいて医師による面接指導を行います。
ここで押さえたいのは、面接指導が本人の申出を起点に始まる点です。会社が結果を見て勝手に進めるものではありません。基本の流れを整理します。

- ストレスチェックの結果を本人に通知する
- 結果をもとに実施者が面接指導対象者を選定する
- 面接指導対象者が面接指導を希望し、会社へ申し出る
- 申出からおおむね1か月以内に、医師の面接指導を実施する
- 医師の意見をふまえ、必要な就業上の措置を検討する
面接指導は、診断や治療を行う場ではありません。医師は本人の勤務状況や心身の状況を確認し、働き方への意見を出します。そのため担当医は、必ずしも精神科医である必要はありません。面接指導の詳細は『面接指導』の記事で解説しています。
なお、本人が申出をためらうケースもあります。申出を理由にした不利益な取り扱いは禁止されています。安心して手を挙げられる雰囲気づくりも、会社の役割といえます。
面接指導を申し出やすくする工夫
申出のハードルを下げるには、案内の仕方と安心感づくりがカギになります。
制度を用意しても、本人が手を挙げなければ面接指導は始まりません。「申し出ると評価に響くのでは」という不安が、申出をためらわせます。会社側でできる工夫を整理しました。
- 結果通知に、申出の方法と窓口をわかりやすく明記する
- 申出を理由に不利益な扱いをしないと、はっきり伝える
- 人事を介さず、産業医や外部窓口へ直接申し出られる経路を用意する
- 申出期限(おおむね1か月)を過ぎても相談できる窓口を残す
ちょっとした配慮で、申出率は変わります。私たちが支援する現場でも、申出経路を複線化した会社ほど、必要な人に面接指導が届いている印象です。受検率や運用の工夫は『受検率を上げる』の記事もあわせてご覧ください。
就業上の措置とは?医師の意見をどう活かすか
就業上の措置とは、面接指導の結果をふまえて働き方を調整する対応のことです。
具体的には、労働時間の短縮や業務内容の変更、配置の調整などが挙げられます。措置の内容を判断する材料を出せるのは医師のみです。会社は医師の意見を尊重して対応を決めます。
決め方にもコツがあります。医師と本人だけで決めるほか、管理監督者と人事責任者を加えた四者面談という形もあります。
本人がマネジメント業務を担っている場合などは、四者面談が有効です。措置の実施やその後のフォローが、関係者の合意のうえで円滑に進みます。二次予防・三次予防の体制づくりにもつながります。
私たちが支援する現場でも、「関係者を早めに巻き込んだ会社ほど復帰がスムーズだった」と感じる場面が多くあります。
高ストレス者を放置するとどうなる?
高ストレス者を放置すると、本人の健康悪化と会社の法的リスクの両方が高まります。
不調が進めば、長期の休職や離職につながりかねません。職場に残るメンバーの負担も増え、生産性の低下を招きます。採用や教育のコストという形で、見えにくい損失も積み上がります。
法的な観点も見過ごせません。企業には従業員の心身の健康に配慮する安全配慮義務があります。面接指導の機会を適切に設けなかった結果、健康被害が生じれば、責任を問われる可能性も否定できません。
未実施や対応不備のリスクは、『ストレスチェックの罰則』の記事でも整理しています。「気づいていたのに動かなかった」状況をつくらないことが、会社を守る近道になります。
高ストレス者対応を外部委託で楽にする
面接指導までの一連の対応は、外部委託でまとめてサポートを受けられます。
高ストレス者対応には、結果通知・申出受付・医師との日程調整など、細かな実務が伴います。自社だけで回すと担当者の負担は小さくありません。担当者が用意するのは受検者リストのみという体制にできれば、繁忙期でも安心です。
ストレスチェックサポートセンターには、パートナー医師や精神保健福祉士が多数在籍しています。事前準備から医師の面接指導まで、トータルで支援できる体制です。
実績面でも、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、導入は100社以上。500〜20,000名規模まで対応してきました。リピート率は9割以上で、個人情報はプライバシーマークのもと自社サーバーで管理しています。迷ったら、まず相談してください。
会社が高ストレス者対応でやるべきこと【チェックリスト】
会社の役割は、選定・通知・申出受付・面接指導・措置の5段階で整理できます。
迷ったときは、この順番に立ち返れば大きく外しません。担当者が押さえるポイントをまとめました。
- 衛生委員会で選定基準を審議し、事業者として決定する
- ストレスチェックの結果を、本人へ確実に通知する
- 申出の窓口と方法を案内し、不利益取扱いをしないと周知する
- 申出があれば、おおむね1か月以内に医師の面接指導を実施する
- 医師の意見をふまえ、必要な就業上の措置を講じる
ここまでを毎年回すのは、兼務の担当者には負担が小さくありません。仕組みづくりに不安があれば、前述の外部委託も現実的な選択肢になります。
よくある質問(FAQ)
最後に、担当者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
- 高ストレス者の基準点数は会社が自由に決めてよいのですか?
-
衛生委員会での調査審議と実施者の助言をふまえたうえで、事業者が決定します。厚生労働省のマニュアルに標準的な基準が示されているため、まずはそれを参考に検討するのが安心です。
- 高ストレス者は必ず面接指導を受けなければいけませんか?
-
いいえ。面接指導は本人の申出にもとづいて行われます。希望しない場合に強制はできません。ただし、申し出やすい雰囲気づくりや、相談窓口の案内は会社側で整えてください。
- 高ストレス者であることを上司に知られませんか?
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本人の同意なく結果を会社へ提供することは禁止されています。面接指導を申し出た場合に限り、必要な範囲で情報が共有されます。プライバシーへの配慮が前提です。
- 高ストレス者の割合が多いときはどうすればよいですか?
-
個人への対応と並行して、集団分析で部署ごとの傾向を確認してください。特定の職場にストレス要因が偏っていることがあります。環境改善が、翌年の割合を下げる近道になります。
- 50人未満の会社でも高ストレス者対応は必要ですか?
-
必要になります。令和10年(2028年)4月1日からは、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。2025年5月公布の改正労働安全衛生法による変更です。今から準備を進めておくと安心です。
まとめ
高ストレス者とは、ストレスチェックの評価点数の合計が基準を超えた人を指します。基準は厚生労働省のマニュアルを参考に、最終的には事業者が決定します。割合の目安はおおむね1割程度です。
対応の柱は、本人の申出にもとづく面接指導と、医師の意見をふまえた就業上の措置です。放置は本人の健康にも会社のリスクにも直結します。早めに体制を整えることが、大切な従業員と会社の双方を守ります。
実務の負担が大きいと感じたら、外部委託という選択肢もあります。準備から面接指導まで、一緒に進める伴走者として活用してください。長時間労働者・高ストレス者の面接指導は、厚生労働省の『こころの耳』でも解説されています。


