仕事のストレス判定図の見方|健康リスクを読み解く

仕事のストレス判定図の2つのグラフと健康リスク値の見方を読み解くイメージ

集団分析の結果に出てくる「仕事のストレス判定図」。見方がわからず、数字だけ眺めて終わっていませんか。毎年のストレスチェック、正直この図の読み方まで手が回らないですよね。この記事では、2つの判定図と健康リスクの読み方を、現場目線でやさしく整理します。

この記事でわかること

  • 仕事のストレス判定図が何を示す図なのか
  • 「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」の具体的な見方
  • 健康リスク値(標準値100)の意味と総合健康リスクの計算方法
  • 読み取った結果を職場環境の改善につなげる手順
目次

仕事のストレス判定図とは

仕事のストレス判定図とは、職場全体のストレス状況を2つのグラフで「見える化」する集団分析の道具です。

ストレスチェックで使う「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の回答を集計し、部署やグループ単位で平均点を出します。その平均点を全国の標準集団と比べ、健康問題の起こりやすさを数値で表したものが判定図です。ざっくり言うと、自分の会社のストレス状態を全国平均と比べる「健康診断の偏差値」のようなものと考えてください。

厚生労働省のストレスチェック制度では、集団ごとの分析が事業者の努力義務とされています。判定図は、その集団分析を進めるうえで中心になる図です。個人の結果ではなく、あくまで集団(部署)の傾向を示す点が特徴になります。

判定図の土台になる調査票

判定図のもとになるのは、国が標準ツールとして示す「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」です。仕事の量的負担、仕事のコントロール、上司の支援、同僚の支援など、職場のストレス要因を尋ねる設問群が含まれます。この4つの尺度が、2枚の判定図の軸になります。

判定図の集計は、厚生労働省のストレスチェック制度のページで配布されている実施プログラムでも自動的に作成できます。算出のルールは国が定めた基準にもとづくため、どのツールで出しても考え方は共通です。

仕事のストレス判定図が職場全体のストレス状況を2つのグラフで見える化する仕組みを示すイメージ

2つの判定図の見方を分けて理解する

仕事のストレス判定図は「量-コントロール判定図」と「職場の支援判定図」の2枚で1セットです。

2枚はそれぞれ別の角度から職場を見ています。1枚目は仕事そのものの負担、2枚目は人間関係の支えを表します。まずは図の軸が何を示すのかを押さえると、点の位置の意味が一気に読みやすくなります。

量-コントロール判定図の見方

量-コントロール判定図は、仕事の量と、自分で仕事を進められる裁量のバランスを示します。

横軸が「仕事の量的負担」、縦軸が「仕事のコントロール(裁量度)」です。仕事の量が多く、かつ自分で進め方を決めにくい状態が、最もストレスが高いと考えられています。図の中には全国平均を示す基準線が引かれ、自社の集団がどの位置にあるかが点で示されます。

点が基準線より「量が多い・コントロールが低い」側に寄っているほど、その部署は負担が高い状態です。量が多くても、裁量が大きければストレスは緩和されると読み取ります。

職場の支援判定図の見方

職場の支援判定図は、まわりからの支えがどれくらいあるかを示します。

横軸が「上司の支援」、縦軸が「同僚の支援」です。困ったときに相談できる上司や同僚がいる職場ほど、点は支援の多い側に位置します。支援が乏しい側に寄るほど、孤立しやすくストレスが高まりやすい職場だと読み取れます。

私が現場でお手伝いした会社でも、量的負担はそれほど高くないのに、上司の支援だけが極端に低い部署がありました。数字をたどると、その年に管理職が一度に入れ替わっていたのです。判定図は、こうした「言葉になりにくい職場の変化」を浮かび上がらせてくれます。

相談者

2枚の図、結局どっちを先に見ればいいんでしょうか…。両方バラバラに数字が出ていて混乱します。

ストレスチェックサポートセンター

まず2枚を別々に眺めて、それから次の「総合健康リスク」で1つにまとめると整理しやすいですよ。量と支援、どちらが課題かが見えてきます。

健康リスク値の見方|標準値100が基準

健康リスク値は、全国の標準集団を「100」としたときの相対的な健康問題の起こりやすさを表します。

判定図のそれぞれに「健康リスク」という数値が付きます。100が全国平均で、数値が大きいほど健康問題のリスクが高い職場という意味です。たとえば健康リスクが120なら、標準集団より健康問題の起こりやすさが約20%高い、と読み取ります。

2枚の図のリスクは、最後に1つの「総合健康リスク」へまとめます。計算式はシンプルです。

総合健康リスクの計算

総合健康リスク =(量-コントロール判定図の健康リスク × 職場の支援判定図の健康リスク)÷ 100

例:量-コントロールが115、職場の支援が110の場合 →(115 × 110)÷ 100 = 約127。標準集団より健康リスクが約27%高い職場と読み取ります。

総合健康リスク読み取りの目安
100前後全国平均と同程度。現状維持と経過観察
110〜120平均より高め。負担と支援の要因を点検
120以上優先的に職場環境改善へ着手したい水準

数値はあくまで目安です。120を超えたから即危険、というより、どの軸がリスクを押し上げているかを2枚の図で確認してください。原因が量なのか、支援なのかで、打つ手が変わります。

ストレスチェック制度の根拠は労働安全衛生法第66条の10です。集団分析と職場環境改善は事業者の努力義務として位置づけられています。

判定図とあわせて全国平均の水準を知りたい方は、受検率向上の取り組みや集団分析の基礎を解説した記事も参考になります。

自社の判定図をどう読めばよいか迷ったら、専門家の視点を一度入れるのも近道です。無料のお見積りから気軽にご相談ください。

判定図を読むときの3つの注意点

判定図は便利ですが、読み違えると誤った対策につながります。最低限おさえたい注意点が3つあります。

10人未満の小さな集団では、個人が特定される恐れがあります。原則として10人以上を1つの集団とし、人数が少ない場合は本人の同意を得るなど、取り扱いに配慮してください。

  • 数値の高低だけで個人を評価しない。判定図は集団の傾向を示す図であり、個人の優劣を測るものではありません。
  • 1年だけの数値で結論を急がない。前年と比べた変化や推移を見て、一時的なものか継続的な課題かを見極めます。
  • 図の数字を現場の実感とつき合わせる。数値が悪い理由は、業務量・人員配置・上司の交代など現場にしかない背景が隠れています。

高ストレスと判定された方への対応や、医師による面接指導の流れも、判定図の読み取りとあわせて確認しておくと安心です。詳しくは高ストレス者への対応面接指導の進め方の記事にまとめています。

判定図の結果を職場環境改善につなげる手順

判定図は、読んで終わりではなく職場環境の改善につなげてはじめて意味を持ちます。

難しく考える必要はありません。次の4ステップで進めれば、専門知識がなくても改善の入り口に立てます。

STEP
課題の部署を特定する

総合健康リスクが高い部署を抜き出します。120以上の集団があれば、まずそこを優先します。

STEP
どの軸が原因かを見る

2枚の図で、量的負担・コントロール・上司の支援・同僚の支援のどれが低いかを確認します。原因の軸を絞ります。

STEP
現場の声を聞いて打ち手を決める

該当部署にヒアリングし、業務の偏り解消や情報共有の場づくりなど、軸に合った具体策を1〜2個に絞って決めます。

STEP
翌年の判定図で効果を確かめる

翌年のストレスチェックで同じ部署の健康リスクが下がったかを見ます。数値の変化が、取り組みの答え合わせになります。

大事なのは、判定図を「現場をよくする入り口」と捉える姿勢です。産業医の野崎拓郎先生も解説動画のなかで、集団分析の結果にもとづいて職場環境の改善を行い、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことが制度の主な目的だと述べています(参照: 産業医・野崎拓郎氏の解説動画)。判定図は、その「未然に防ぐ」を具体化するための入り口になります。

厚生労働省のこころの耳でも、職場環境改善のツールや事例が公開されています。自社だけで進めにくいときは、こうした公的な資料も心強い味方になります。

仕事のストレス判定図の結果から課題部署を特定し職場環境改善へつなげる4つの手順を示すイメージ

自社で読み解くのが難しいときは外部委託も選択肢

判定図の集計や読み解きに不安があるなら、専門会社への外部委託で負担を大きく減らせます。

判定図は仕組みを理解すれば読めますが、全部署分の集計、解釈、改善提案までを兼務の担当者が抱えると、毎年かなりの工数になります。外部に任せれば、集計から職場環境改善のアドバイスまでをまとめて引き受けてもらえます。

私たちストレスチェックサポートセンターは、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、500〜20,000名規模まで100社以上の実施を支援してきました。翌年も継続いただくお客様が9割を超えており、判定図の読み解きと改善の伴走に強みがあります。

相談者

判定図の数字は出せても、改善まで一人でやり切る自信がなくて…。外部に頼むと何が変わりますか?

ストレスチェックサポートセンター

集計と解釈をこちらで引き受けるので、担当者さまは「現場での対話」に集中できますよ。

外部委託のメリットや費用感をもっと知りたい方は、委託先の選び方の記事もあわせてご覧ください。下の資料からサービスの全体像を無料で確認できます。

全国平均と比べて「推移」で読むコツ

判定図は、1年だけの数値より「全国平均との差」と「前年からの推移」で読むと、ぐっと役立ちます。

健康リスクの基準は全国の標準集団=100です。自社が105なのか130なのかで、課題の大きさが見えてきます。さらに、同じ部署を毎年並べると、数値が上がり続けているのか、落ち着いてきたのかという「動き」が読み取れます。私の経験では、単年で120を超えた数字より、3年連続でじわじわ上がっている110台のほうが、現場の疲れが根深いことが多いと感じています。

比べ方のコツを、よく使う3つの視点で整理します。

  • 全国平均との差:100を基準に、自社の総合健康リスクが何ポイント高いかを見る
  • 部署間の差:同じ会社の中で、特にリスクが高い部署と低い部署を比べる
  • 前年との差:同じ部署の昨年と今年を並べ、上昇か改善かの方向を確かめる

数値が全国平均より高くても、過度に不安を抱える必要はありません。差と推移を手がかりに、優先順位をつけて一歩ずつ職場を整えていけば十分です。判定図は、その順番を教えてくれる道具だと考えてください。

仕事のストレス判定図に関するよくある質問

判定図の見方について、担当者の方からよくいただく質問をまとめました。

仕事のストレス判定図の計算式は?

2枚の図それぞれに健康リスク値が出ます。総合健康リスクは「量-コントロールの健康リスク × 職場の支援の健康リスク ÷ 100」で求めます。

健康リスクの全国平均はどのくらいですか?

標準集団を100とするのが基準です。自社の数値が100に近ければ全国平均並み、120を超えると平均より健康問題が起こりやすい職場と読み取ります。

判定図は何人から作成できますか?

個人が特定されないよう、原則10人以上の集団で作成します。10人未満の場合は本人の同意を得る、複数部署をまとめるなどの配慮が求められます。

量-コントロール判定図と職場の支援判定図の違いは?

前者は仕事の量と裁量のバランス、後者は上司・同僚からの支援の度合いを示します。2枚を組み合わせて総合健康リスクを算出します。

判定図はエクセルでも作れますか?

職業性ストレス簡易調査票の回答があれば作成できます。厚生労働省の実施プログラムを使えば自動で集計でき、外部委託では読み解きや改善提案まで任せられます。

数値が悪かった部署は、問題があるということですか?

数値が高い=即問題、ではありません。一時的な繁忙や人事異動が影響することもあります。前年との変化と現場の実感をつき合わせて判断してください。

まとめ|判定図は職場改善の地図として使う

仕事のストレス判定図は、職場のストレスを2つの軸で見える化し、改善の優先順位を教えてくれる地図です。

量-コントロール判定図で仕事の負担と裁量を、職場の支援判定図で人間関係の支えを読み取ります。2枚を総合健康リスク(標準値100)でまとめ、120を超える部署から手を打つ。この流れを覚えておけば、数字に振り回されずに次の一手を決められます。

大切なのは、判定図を「評価のための数字」ではなく「働く人が少し楽になるためのきっかけ」として使うことです。読み解きに迷ったら、専門家と一緒に確認すれば負担はぐっと軽くなります。

判定図の見方や集団分析、職場環境改善まで、自社だけで抱え込まずに進めたい方は、お気軽にご相談ください。

この記事の編集・監修体制
信頼性の高い情報発信
編集・監修:ストレスチェックサポートセンター編集部

本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、500〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。

ストレスチェック支援実績
9年連続
健康経営優良法人に認定
3〜20,000名規模
受検人数を問わず、幅広く支援しております。
100社以上
一般企業から自治体まで、多数の支援実績がございます。
運営会社情報

シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。

健康経営優良法人2026 中小規模法人部門 ネクストブライト1000
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