店舗が離れていて、スタッフのシフトもバラバラ。ストレスチェックの案内が全員に届かない——小売業の担当者さまから、そんな相談をよくいただきます。毎年の実施、正直大変ですよね。この記事では、小売業ならではの進め方のコツを整理します。
この記事でわかること
- 小売業のストレスチェック義務と、店舗ごとの対象者の数え方
- 多店舗・シフト制でも受検率を上げる具体的な方法
- 導入5ステップと、店舗別の集団分析の活かし方
結論から先に:小売業では、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとにストレスチェックの実施が義務です。人数の算定にはパート・アルバイトも含まれます。2028年4月1日からは、50人未満の事業場にも義務が拡大されます。
小売業でストレスチェックは義務?対象の数え方
常時50人以上の労働者を使用する事業場には、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。根拠となるのは労働安全衛生法第66条の10です。小売業も例外ではありません。
ストレスチェックとは、労働者のストレス状況を質問票で調べる検査のことです。2015年に制度が始まり、結果は本人に直接通知されます。会社が本人の同意なく結果を見ることはできません。
店舗ごと?会社ごと?「事業場単位」の考え方
義務かどうかの判定は、会社全体ではなく「事業場」単位で行います。事業場とは、場所的に独立して業務が行われる単位のことです。小売業では、原則として店舗ごとに1つの事業場として数えます。
ただし、規模が著しく小さく独立性がない売店などは例外です。本部など直近上位の組織とまとめて、1つの事業場として扱われます。自社の店舗がどちらに当たるか迷うときは、所轄の労働基準監督署に確認してください。
パート・アルバイトは50人に入るのか
50人の算定には、継続して雇用しているパート・アルバイトも頭数として含まれます。週2〜3日勤務の学生アルバイトも、雇い続けていれば算定対象です。「正社員は20人だから関係ない」という判断は危険です。
一方、受検の対象者は少し異なります。契約期間1年以上で、週の労働時間が正社員の4分の3以上の人が対象の目安です。4分の3未満でも、おおむね2分の1以上働く人には実施が望ましいとされています。
2028年4月からは50人未満の店舗も義務化へ
2025年5月に、改正労働安全衛生法が公布されました。この改正で、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。施行日は2028年4月1日です。厚生労働省のストレスチェック制度ページでも周知が始まっています。
1店舗あたり10〜30人の小売チェーンは、まさにこの拡大の対象です。いまは努力義務の店舗も、施行を待たずに体制づくりを始めてください。
相談者うちは1店舗20人くらいの店ばかりなので、関係ない話だと思っていました…。



2028年4月からは小さな店舗も対象になります。義務化の直前は駆け込みで委託先も混み合うので、早めの準備が安心ですよ。
小売業のストレス要因は?データと現場から見る実態
厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査」によると、仕事で強い不安やストレスを感じる労働者の割合は82.7%です。働く人の8割以上が、何らかのストレスを抱えながら仕事をしています。
小売業の現場には、他の業種とは違うストレス要因があります。代表的なものは次の4つです。
- 接客・クレーム対応による感情面の負荷
- 土日祝・セール期に集中する繁忙
- 早番・遅番が混在するシフト勤務と不規則な休日
- 人手不足による1人あたりの業務量増加
私が店舗の担当者さまから相談を受ける中でも、「クレーム対応の後に体調を崩すスタッフがいる」という声は少なくありません。顧客からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントへの対策を企業に求める動きも強まっています。
だからこそ、ストレスチェックを「毎年の義務」で終わらせないでください。店舗の負荷を見える化する道具として使う価値があります。セルフケアの情報は、厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」も役立ちます。
多店舗・シフト制でも受検率を上げるには?
小売業で受検率を上げる鍵は、紙とWebの併用と、シフトに合わせた受検期間の設定です。店舗の実情に合わない方法を選ぶと、案内が届いても受検まで進みません。
多店舗の小売業でつまずきやすいのは、次の3点です。
- 店舗に事務用PCが少なく、Web受検が進まない
- シフトが不規則で、案内や督促が全員に届かない
- パート・アルバイトの入れ替わりが早く、名簿管理が追いつかない
対策の軸は、受け方の選択肢を増やすことです。スマホ対応のWeb受検なら、バックヤードや休憩時間に数分で回答できます。スマホ操作が苦手な方には紙の調査票を併用します。受検期間は2〜4週間ほど確保し、シフトの谷間でも受けられるようにしてください。
| 受検方法 | 向いている店舗 | 注意点 |
|---|---|---|
| Web(スマホ) | 若いスタッフが多い店舗 | 個人スマホ利用のルール整備 |
| 紙 | ベテラン層・PC環境がない店舗 | 回収・封緘の手間がかかる |
| 併用 | 年齢層が幅広い多店舗チェーン | 名簿の一元管理が必須 |
私がお手伝いしたある小売のお客様は、開店前のミーティング後に受検時間を10分だけ確保していました。小さな工夫ですが、受検率は目に見えて変わります。ポイントは、店舗の動きに合わせた受け皿づくり。具体的な引き上げ策は受検率を上げる方法とWeb受検の進め方も参考にしてください。
「自社だけで全店舗分を回すのは難しそう」と感じたら、実施ごと外部に任せる方法もあります。店舗数と人数が分かれば、概算はすぐに出せます。
小売業でのストレスチェック導入5ステップ
導入は、体制づくりから店舗別の集団分析まで、5つのステップで進めます。全店舗を一斉に動かすため、順番を崩さないことが大切です。
実施者(医師・保健師など)と実施事務従事者を決めます。店舗ごとにパート・アルバイトを含む対象者名簿を作り、人数を確定させます。
セールや棚卸しと重ならない時期を選びます。紙とWebの併用など、店舗の環境に合わせた受検方法をここで決めます。
店長経由で全スタッフに案内します。朝礼での声かけ、休憩室へのポスター掲示、シフト表への受検期間の記載が効果的です。
受検状況を見ながら未受検者へ督促します。結果は本人へ直接通知し、高ストレス者から申出があれば医師の面接指導につなぎます。
結果を店舗別・職種別に分析し、負荷の高い店舗から改善策を打ちます。シフトの見直しや応援体制づくりが代表例です。
集団分析の結果の読み方は集団分析の基本と活用方法で詳しく解説しています。なお、集団分析については2026年6月30日に労働安全衛生規則が改正されました。特定の個人を識別できない方法で実施することが規定され、2027年4月1日に施行されます。
店舗運営を止めずに進める外部委託という選択肢
外部委託を使うと、案内文の作成から受検管理、結果通知、面接指導の勧奨までを一括で任せられます。本部の担当者が各店舗を回って督促する必要はなくなります。



本部の人事は私ひとりです。全店舗分をさばける自信がありません…。



受検管理や督促はお任せいただけます。担当者さまは店舗との日程調整に集中でき、負担はぐっと軽くなりますよ。
当センターは、9年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定されています。500〜20,000名規模まで100社以上の実施を支援し、リピート率は9割以上です。Web・紙・併用のすべてに対応し、最短3日で受検を開始できます。
英語・ベトナム語での受検にも対応しているため、外国人スタッフが多い店舗でも受検が止まりません。委託先を比べる観点は委託先の選び方にまとめています。高ストレスの判定が出た方への対応は高ストレス者への対応方法を参考にしてください。
小売業のストレスチェックでよくある質問
小売業の担当者さまから実際によくいただく質問をまとめました。気になるところから確認してください。
- 小売業はストレスが多い業種ですか?
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厚生労働省の令和5年労働安全衛生調査では、仕事で強いストレスを感じる労働者は全体で82.7%です。小売業は接客やクレーム対応、シフト勤務など特有の負荷が重なりやすい業種です。だからこそ、ストレスチェックでの実態把握が役立ちます。
- アルバイトやパートもストレスチェックの対象ですか?
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契約期間が1年以上で、週の労働時間が正社員の4分の3以上あるパート・アルバイトは受検対象です。4分の3未満でも、おおむね2分の1以上勤務する方には実施が望ましいとされています。50人の人数算定には短時間勤務者も含まれます。
- 店舗ごとの人数が50人未満なら実施しなくてよいですか?
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現在は50人未満の事業場は努力義務です。ただし改正労働安全衛生法により、2028年4月1日からは50人未満の事業場にも実施義務が拡大されます。小規模店舗が中心のチェーンも、いまから準備を始めると安心です。
- 繁忙期と重なる場合、実施時期はいつがよいですか?
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年末年始やセール、棚卸しなどの繁忙期を外した閑散期に受検期間を設けるのが基本です。小売業では2〜4週間ほどの受検期間を確保し、シフトの谷間でも受けられるようにすると受検率が安定します。
- 高ストレス者が出た場合、店舗ではどう対応すればよいですか?
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高ストレス者本人から申出があった場合、医師による面接指導の実施が求められます。結果は本人にのみ通知されるため、店長が結果を聞き出すことはできません。相談しやすい窓口を用意し、申出を妨げない雰囲気づくりが会社側の役割です。
- 外国人スタッフが多い店舗でも受検できますか?
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多言語対応の実施機関を選べば受検できます。当センターは英語・ベトナム語での受検に対応しています。外国人スタッフが多い店舗でも全員が同じ時期に受検でき、母国語なら回答の正確さも高まります。
まとめ|小売業のストレスチェックは「仕組み」で解決
小売業のストレスチェックは、店舗ごとの人数把握と、シフトに合った受検方法の設計で結果が決まります。最後に要点を確認しましょう。
- 義務の判定は店舗(事業場)単位。パート・アルバイトも人数に含む
- 2028年4月1日から50人未満の事業場にも義務が拡大
- 受検率の鍵は紙とWebの併用と、2〜4週間の受検期間
- 店舗別の集団分析まで使えば、シフトや応援体制の改善材料になる
全店舗分の名簿づくりや督促を、本部の担当者ひとりで抱え込む必要はありません。外部の力を借りれば、担当者さまの時間は店舗のフォローに使えます。人が人らしく働ける売り場づくりの第一歩。迷ったら、店舗数と人数だけ教えてください。概算のお見積りは無料です。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。










