画面越しでは、社員の疲れた表情までは見えにくいものです。在宅メンバーの心の状態がつかめず、モヤモヤしていませんか。この記事では、対象者の考え方からWeb受検の手順、高ストレス者への対応までを整理します。
この記事でわかること
- テレワーク中の社員がストレスチェックの対象になる条件
- 出社なしで完結するWeb受検の進め方(4ステップ)
- 在宅の高ストレス者への面接指導と集団分析の活かし方
結論から先に:テレワーク中の従業員も、常時雇用されていればストレスチェックの対象です。勤務場所は関係ありません。パソコンやスマホによるWeb受検を使えば、案内から結果通知まで出社なしで実施できます。
テレワーク中の社員もストレスチェックの対象になる?
テレワーク中の従業員も、事業場に常時雇用されていればストレスチェックの対象です(労働安全衛生法第66条の10)。対象かどうかは「どこで働くか」ではなく、雇用関係で決まります。
ストレスチェックとは、仕事による心理的な負担の程度を年1回調べる検査です。2015年から事業者に実施が義務付けられてきました。フルリモートの社員も、所属する事業場の人数に含めて数えます。
相談者うちは部署ごと在宅勤務です。オフィスに出てこない社員も人数に入れるのでしょうか?



入れます。継続して雇っていれば、勤務場所が自宅でも対象です。テレワーク中心の会社ほど、受検方法の設計が受検率を左右しますよ。
50人以上の事業場は義務、50人未満も2028年4月から
義務かどうかは、事業場ごとの人数で判断します。常時50人以上の事業場には、すでに毎年の実施義務があります。根拠は2025年5月公布の改正労働安全衛生法です。2028年(令和10年)4月1日からは、50人未満の事業場にも義務が広がります。
厚生労働省「令和5年度ストレスチェック実施状況」によると、対象事業場の実施率は83.6%です。一方で、50人未満の事業場の実施率は約30%にとどまっています。テレワーク主体の小規模な会社こそ、早めの準備が安心につながります。
制度の最新情報は厚生労働省のストレスチェック制度ページで確認できます。条文はe-Gov法令検索の労働安全衛生法を参照してください。
なぜテレワークのストレスは気づきにくいのか?
テレワークでは周囲が表情や声の変化を見られないため、不調の発見が対面勤務より遅れやすくなります。本人すら疲れに気づかないまま、限界まで働いてしまうケースも珍しくありません。
在宅特有のストレス要因は、大きく3つに整理できます。
- 雑談が減り、孤独感が強まる
- 仕事と生活の境目が曖昧になり、休んだ気がしない
- 「サボりと思われていないか」という評価への不安
実際、「テレワークが精神的にきつい」という検索は今も一定数あります。厚生労働省「令和7年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害の労災請求件数は4,958件でした。前年度より1,178件の増加です。心の不調は、どの職場にも起こりうる身近なリスクといえます。
厚生労働省「こころの耳」の研修動画でも、テレワークでは「メンバーがそれぞれ異なる場所で働いているため、変化に気づきにくい」と指摘しています。オンラインの雑談で話しやすい環境を作る工夫も紹介されていました(参照: テレワーク下におけるラインによるケア)。
私も総務担当の方から「在宅の社員の休職は前触れが見えなかった」という声を何度も聞いてきました。顔色という情報源を失った職場では、様子見に頼る管理は通用しません。
だからこそ、年1回のストレスチェックは在宅社員の状態を数値で把握できる貴重な定点観測になります。


テレワークでのストレスチェックはWeb受検が基本
テレワーク下のストレスチェックは、パソコンやスマホで回答できるWeb受検なら出社なしで完結します。調査票の印刷も、回収の手間もありません。進め方は次の4ステップです。
実施者(医師・保健師など)と、実施事務従事者(案内や結果通知の事務を担う人)を決めます。Web受検を基本にしつつ、パソコンを使わない職種には紙の併用も検討してください。
受検用URLと案内文を、メールや社内チャットで届けます。制度の目的と「結果は本人にしか届かない」ことを添えると、安心して受けてもらえます。
期間中に2〜3回、全体向けに再案内します。個人を名指しせず、業務時間内に受検してよいことを明示するのがコツです。
結果はWeb上で本人へ直接通知します。高ストレス者には、医師による面接指導の申出方法もあわせて案内します。
大切なのは、在宅でも迷わず回答できる導線づくり。Web受検の仕組みはWeb受検の解説記事で詳しく紹介しています。未受検者を減らす工夫は受検率を上げる方法の記事も参考にしてください。
受検方法の設計に迷ったら、外部の実施機関に相談する方法もあります。従業員数と働き方を伝えるだけで、具体的な進め方の提案を受けられます。
在宅勤務の高ストレス者にはどう対応する?
高ストレス者から申出があった場合、医師による面接指導をおおむね1か月以内に実施することが求められます(労働安全衛生法第66条の10)。テレワークでも、この流れは変わりません。
厚生労働省は、情報通信機器を使った面接指導を一定の条件のもとで認めています。医師が表情や声の調子を確認できること、話の内容が周囲に漏れないことが条件の中心です。在宅のまま面接指導まで完了できます。



高ストレスの通知を受けた在宅の社員が、面談のためだけの出社をためらっています。



オンラインの面接指導で対応できます。家族に聞こえない場所と時間を本人と相談して決めてください。出社を条件にすると、申出そのものが減ってしまいます。
ストレスチェックの結果は、本人の同意がない限り会社側は見られません。「誰が高ストレスか」を探るような運用は法令違反となる可能性があります。
高ストレス者への対応全体の流れは、高ストレス者対応の解説記事にまとめています。申出が出やすい環境づくりから確認したい方は、あわせて読んでみてください。
集団分析でテレワークの職場ストレスを見える化する
集団分析とは、ストレスチェックの結果を部署などの集団ごとに集計し、職場環境の改善につなげる分析です。個人が特定されない形で、組織の傾向をつかめます。
テレワークの多い部署と出社中心の部署を比べると、負担の偏りが数字で見えてきます。「在宅組は上司の支援を感じにくい」と分かれば、1on1を増やすなど打ち手も具体的になります。厚生労働省も2026年6月30日に、集団分析に関する労働安全衛生規則の改正を公表しました。活用を後押しする動きが続いています。


「こころの耳」のセルフケア動画では、仕事をする場所と時間の枠を決め、着替えや腕時計でオンオフを切り替える方法が紹介されています(参照: テレワーク下におけるセルフケア)。集団分析の結果を共有するとき、こうしたセルフケア情報を添えるのも良い方法です。
私自身、在宅で働く日は始業前に着替えて腕時計を着けます。この小さな儀式だけで、頭の切り替えがずいぶん楽になりました。分析結果の共有は、こうした具体的な工夫を全社に広げるきっかけになります。
集団分析の読み方と活用手順は、集団分析の解説記事で詳しく解説しています。
外部委託ならテレワーク対応はどこまで楽になる?
外部委託すると、受検案内の配信から結果通知、高ストレス者の面接指導の手配までを一括で任せられます。担当者に残る作業は、対象者名簿の準備と日程の調整くらいです。
当センターは500〜20,000名規模まで、100社以上のストレスチェック実施をお手伝いしてきました。9割以上のお客様が翌年も継続してくださっています。9年連続で経済産業省の健康経営優良法人にも認定されました。Web受検と紙受検の併用、英語・ベトナム語にも対応しています。
外部委託の価値は、担当者が未受検者の”追いかけ役”から解放されること。準備期間も最短3日で受検を始められます。委託先を比較する視点は実施機関の選び方の記事で整理しています。
テレワークのストレスチェックでよくある質問
総務・人事の担当者からよくいただく質問をまとめました。
- リモートワーク症候群とは何ですか?
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在宅勤務の長期化に伴う心身の不調を指す通称で、医学的な診断名ではありません。肩こりや不眠、気分の落ち込みなどが典型的な症状です。不調が2週間以上続く場合は、産業医や医療機関に相談してください。
- 在宅勤務はメンタル不調になりやすいですか?
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孤独感や長時間労働が重なると、不調のリスクは高まります。一方で通勤がなくなりストレスが減る人もいて、個人差の大きい働き方です。年1回のストレスチェックで、一人ひとりの状態を定点観測することが有効です。
- 全員テレワークの会社でも紙で受検できますか?
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できます。調査票と返信用封筒を自宅へ郵送すれば、パソコン操作が苦手な従業員にも対応できます。Web受検と紙受検の併用も可能なので、働き方に合わせて選んでください。
- テレワーク中の従業員がなかなか受検してくれません。どうすればいいですか?
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受検期間中に全体へ2〜3回リマインドし、業務時間内に受けてよいことを明示してください。受検自体は従業員の義務ではありませんが、会社からの受検勧奨は問題ありません。普段使うチャットツールでの案内が効果的です。
- 高ストレスと判定された在宅勤務者への面接指導はオンラインでできますか?
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できます。厚生労働省は、情報通信機器を使った医師の面接指導を一定の条件下で認めています。本人のプライバシーが守られる場所と時間を確保したうえで実施してください。
まとめ|テレワークでもストレスチェックは出社なしで回せる
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- テレワーク中の従業員も対象。2028年4月からは50人未満の事業場にも義務が広がる
- Web受検なら案内から結果通知まで出社なしで完結する
- 面接指導はオンライン対応が可能。集団分析で在宅特有の負担も見える化できる
顔が見えない分だけ、テレワークのメンタルケアには仕組みが必要です。毎年の実施を無理なく回したい方は、迷ったら相談してください。従業員数と受検方法のご希望を伺えれば、最短3日で始められる体制をご提案します。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












