毎年のストレスチェック、何月に、誰が、どこまでやるのか。頭の中はぼんやりしているのに、書類にまとめる段になると手が止まりますよね。兼務の総務担当者から、そんな相談を毎年いただきます。
解決策はシンプルです。実施計画書を1枚作れば、年間の段取りが一本の線でつながります。この記事では、記載項目・年間スケジュール例・作り方の順に、担当者の目線で解説します。
この記事でわかること
- 実施計画書とは何か、実施規程との違い
- 計画書に記載する7つの項目と、年間スケジュール例
- 誰が作るかの役割分担と、作成5ステップ
結論から先に:ストレスチェック実施計画書とは、その年の実施方法・時期・体制を1つにまとめた社内向けの計画です。衛生委員会等での調査審議を経て作成し、受検の3か月前までに固めておくと、年1回の実施を無理なく回せます。
ストレスチェック実施計画書とは?実施規程との違い
ストレスチェック実施計画書とは、その年の実施方法・時期・担当体制をまとめた年間の実行計画です。
ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10により、2015年12月から事業者に義務付けられています。労働安全衛生規則第52条の9では、実施頻度を1年以内ごとに1回と定めています。この「年1回」を計画的に回すための段取り表が、実施計画書という位置づけです。
混同しやすいのが実施規程との違いです。ざっくり言うと、規程は毎年変わらない「ルールブック」、計画書はその年だけの「実行スケジュール」。役割がはっきり分かれています。
| 項目 | 実施規程 | 実施計画書 |
|---|---|---|
| 性格 | 恒久的な社内ルール | その年の実行計画 |
| 更新頻度 | 体制変更時のみ | 原則、毎年 |
| 主な中身 | 実施方法・結果の取扱い | 時期・担当・段取り |
| 審議の場 | 衛生委員会等 | 衛生委員会等 |
規程づくりから見直したい場合は、ストレスチェック実施規程のひな形と作り方で詳しく解説しています。まず規程を固め、その上で毎年の計画書を作る流れが自然です。
相談者実施規程があれば、計画書は作らなくてもいいのでしょうか?



計画書の作成自体に罰則はありません。ただ、時期や担当を毎年決め直す会社ほど、実施計画書を1枚残しておくと引き継ぎで迷いませんよ。
実施計画書に記載する項目は?【7つの記載事項】
実施計画書には、目的・対象者・時期・実施体制・実施方法・結果の取扱い・面接指導と集団分析の7項目を盛り込みます。
厚生労働省の実施マニュアルが示す実施方法を、自社の実態に当てはめて埋めるイメージです。次の表の順に決めていけば、抜け漏れを防げます。


| 記載項目 | 決める内容 |
|---|---|
| ①目的 | 実施の趣旨・根拠(法第66条の10) |
| ②対象者 | 常時使用する労働者の範囲 |
| ③実施時期 | 実施月・受検期間(年1回以上) |
| ④実施体制 | 実施者・実施事務従事者・委託先 |
| ⑤実施方法 | 調査票(57項目など)・Web/紙 |
| ⑥結果の取扱い | 本人通知・保存(5年間)・守秘 |
| ⑦事後対応 | 面接指導の申出方法・集団分析 |
対象者の範囲でつまずく担当者が多い印象です。パート・アルバイトの扱いに迷ったら、ストレスチェックの対象者で判断基準を確認してください。
ポイント:⑥の結果の取扱いは、実施者や実施事務従事者に守秘義務がかかる部分です。誰が結果に触れるかを計画書の段階で明確にしておくと、後のトラブルを防げます。
実施計画書の年間スケジュールはどう組む?【標準モデル】
年間スケジュールは、受検月の約3か月前に準備を始め、受検後2か月以内に面接指導まで終えるのが標準的なモデルです。
私たちが支援する会社では、実施月を決めてから逆算する組み方が定着しています。繁忙期を避け、健康診断とずらすのがコツ。以下は実施月を10月に置いた場合の一例です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 7月 | 衛生委員会で計画を審議・実施者と委託先を確定 |
| 8月 | 従業員へ実施案内を周知・調査票を準備 |
| 9〜10月 | 受検期間(Web/紙)・未受検者へ再案内 |
| 11月 | 結果通知・高ストレス者へ面接指導の案内 |
| 12月 | 面接指導の実施・集団分析・記録の保存 |
実施月の決め方に正解はありません。とはいえ、年度末や決算期に重ねると受検率が落ちます。時期の考え方はストレスチェックの実施時期も参考になります。
「この逆算を毎年ひとりで回すのはしんどい」。そう感じたら、計画づくりの段階からお手伝いできます。迷ったら相談してください。最短3日で受検をスタートできる体制を整えています。
実施計画書は誰が作る?役割分担の決め方
実施計画書は、事業者の責任のもと、総務・人事の担当者が原案を作り、衛生委員会等で審議して確定します。
計画書づくりで鍵になるのが、実施者と実施事務従事者の切り分けです。実施者とは、検査や結果の判定を担う医師・保健師などの専門職のこと。実施事務従事者とは、案内配布やデータ入力などの事務を担う社内スタッフを指します。
- 事業者:実施の最終責任者。計画を承認する
- 実施者:医師・保健師など。検査と結果判定を担う
- 実施事務従事者:総務・人事など。事務を担う
注意したいのは、人事権を持つ管理職は実施事務従事者になれない点です。評価に関わる立場の人が結果を扱うと、不利益取扱いの疑いを生むためです。産業医がいない事業場では、外部委託で実施者を確保する会社が増えています。産業医がいない場合の進め方もあわせて確認してください。
実施計画書の作り方【5ステップ】
実施計画書は、実施月の決定から周知まで、5つのステップで完成します。
順番を守れば、初めての担当者でも迷いません。私たちの経験では、たたき台を作らずに衛生委員会へ諮った会社ほど、議論が空回りしています。まず原案、それから審議です。
繁忙期と健康診断を避けて実施月を仮決めし、対象となる労働者の範囲を確認します。
実施者・実施事務従事者・委託先を決め、7つの記載事項に沿って原案を作ります。
原案を衛生委員会等に諮り、時期や方法を調査審議します。決定内容を議事録に残します。
審議結果を反映し、事業者の承認を得て計画書を確定します。実施規程との整合も確認します。
実施の目的・時期・受検方法を全従業員へ案内します。案内文の準備もこの段階です。
周知に使う文面は、ゼロから書くと時間がかかります。ストレスチェックの案内文の例文を土台にすると早いです。
実施計画書でよくあるミスと対策
よくあるミスは、面接指導の期限を計画に入れ忘れることです。
高ストレス者から面接指導の申出があった場合、事業者はおおむね1か月以内に医師による面接指導を実施することが求められます。受検後の予定を空けておかないと、この期限に間に合いません。


注意:受検を拒否した従業員への不利益な取扱いは禁止されています。計画書に「未受検者への再案内」までは書いても、受検の強制と受け取られる表現は避けてください。
集団分析の予定を落とすミスも目立ちます。集団分析は、職場環境の改善につなげる努力義務とされる大切な工程です。活用の流れは集団分析の活用方法で確認できます。計画書の最後に、分析と改善策の検討まで日程を引いておくと安心です。
2028年の義務化拡大に向けた計画書の備え
厚生労働省によると、令和10年(2028年)4月1日から、労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。
これは2025年5月に公布された改正労働安全衛生法によるものです。これまで50人未満の事業場は努力義務でしたが、当分の間とされてきた猶予が終わります。小規模な会社ほど、今のうちに実施計画書のひな形を1つ持っておく価値があります。
初年度は、実施体制の確保がいちばんの壁です。産業医や保健師との契約がない事業場では、外部委託で実施者を確保する選択が現実的でしょう。準備の進め方は50人未満の義務化対応で解説しています。
当社は、経済産業省「健康経営優良法人」に9年連続で認定され、数名〜6,000名規模まで100社以上の実施を支援してきました。計画書づくりから受検、面接指導の手配まで一気通貫で伴走できるのが強みです。
まとめ|実施計画書で年1回の運用を軽くする
実施計画書は、年1回のストレスチェックを段取りよく回すための1枚です。記載する7項目を押さえ、実施月から逆算してスケジュールを引けば、担当が替わっても運用は止まりません。
ポイントは3つ。実施規程と役割を分けること、面接指導と集団分析の日程まで入れること、衛生委員会等での審議を通すことです。この3点を外さなければ、初めての担当者でも形になります。
年に一度の面倒を、少しでも軽くする。その先に、担当者が本来の仕事に向き合える時間が戻ってきます。計画づくりで手が止まったら、気軽に声をかけてください。
よくある質問(FAQ)
- ストレスチェック実施計画書とは何ですか?
-
その年のストレスチェックを、いつ・誰が・どのように実施するかをまとめた年間の実行計画です。実施方法・時期・体制・結果の取扱いなどを記載し、衛生委員会等での調査審議を経て確定します。年1回の実施を計画的に進めるための土台になります。
- 実施計画書と実施規程は何が違いますか?
-
実施規程は毎年変わらない社内ルール、実施計画書はその年だけの実行スケジュールです。規程で実施方法や結果の取扱いを定め、計画書で当年の時期や担当を決めます。まず規程を固め、その上で毎年の計画書を作る流れが自然です。
- 実施計画書の作成は義務ですか?
-
計画書という書面そのものの作成に罰則はありません。ただしストレスチェックは労働安全衛生法第66条の10で義務とされ、実施前に衛生委員会等での調査審議が求められます。審議内容を1枚にまとめておくと、実施漏れや引き継ぎのミスを防げます。
- 実施計画書には何を書けばよいですか?
-
目的・対象者・実施時期・実施体制・実施方法・結果の取扱い・事後対応の7項目が基本です。特に実施者と実施事務従事者の役割分担、面接指導の申出方法、集団分析の予定は書き漏らしやすいので必ず含めてください。
- 実施計画書は誰が作成しますか?
-
事業者の責任のもと、総務・人事の担当者が原案を作り、衛生委員会等で審議して確定するのが一般的です。人事権を持つ管理職は実施事務従事者になれないため、結果に触れる担当は評価に関わらない人を選びます。産業医がいない場合は外部委託で実施者を確保できます。
- 50人未満の会社も実施計画書が必要ですか?
-
令和10年(2028年)4月1日から、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化されます。義務化後は50人未満でも実施が必要になるため、今のうちに実施計画書のひな形を用意しておくと、初年度の準備がスムーズです。
参考にした公式情報
本記事は、以下の公的機関の情報をもとに作成しています。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












