ストレスチェックの「実施者」選定ガイド|産業医がいない場合の対処法と実務のポイント

ストレスチェック制度を導入・運用するにあたり、実務担当者様が最初に直面する疑問の一つが「実施者」の選定です。

「誰に依頼すればいいのか」「自社の社員でもなれるのか」など、法的な要件を満たしつつスムーズに実務を回すためのポイントを、専門業者の広報担当者の視点から分かりやすく解説します。2028年から義務化対象となる小規模事業所(従業員数50名未満)の担当者様も、ぜひ今のうちから全体の流れを把握しておきましょう。

目次

ストレスチェックの「実施者」とは?

ストレスチェックにおける「実施者」とは、検査の企画や結果の評価を行う主体のことです。労働者の健康管理に関わる専門的な役割であるため、法律によってなれる人が厳格に定められています。

実施者になれる専門家(資格要件)

厚生労働省の指針に基づき、実施者になれるのは以下の資格を持つ専門家に限られます。

  • 医師(産業医が望ましい)
  • 保健師
  • 厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士・公認心理師・歯科医師

受検者が専門的な質問票に回答したデータは、これらの有資格者によって分析・評価される必要があります。

実施者の主な役割

実施者の役割は、単に点数を計算することだけではありません。主に以下のような業務を担います。

  • 使用する質問票(職業性ストレス簡易調査票など)の選定・決定
  • 評価基準(高ストレス者を判定する基準)の選定・決定
  • 個人の検査結果の判定・評価
  • 高ストレス者に対する面接指導の必要性の判定

実務担当者が押さえるべき「実施者」運用のポイント

法律の要件をクリアするだけでなく、現場の実務を円滑に進めるために担当者が知っておくべき現実的なポイントが3つあります。

1. 「人事権を持つ人」は実施者や実施事務従事者になれない

もっとも注意しなければならないのは、解雇、昇進、異動といった直接的な人事権を持つ人は、実施者(および実務をサポートする実施事務従事者)になれないという点です。

厚生労働省の指針では以下のように定められています。

労働者の健康情報を取り扱う実施者や実施事務従事者には高い守秘義務が課せられており、人事に関して直接の権限を持つ者がこれらの業務を行うことは、労働者が不利益を被る懸念を生じさせ、正直な回答を妨げる原因となるため認められません。

これは、従業員が「結果が人事に響くかもしれない」と不安に思い、正直に回答できなくなるのを防ぐための重要なルールです。人事部や総務部の管理職ではなく、一般の担当者や外部の専門家を配置する必要があります。

2. 基本は「産業医」への依頼がスムーズ

すでに産業医を企業で選任している場合は、その産業医に実施者を依頼するのが最もスムーズです。社内の労務環境を日頃から把握しているため、結果を踏まえた高ストレス者へのアプローチや集団分析後の職場改善提案まで一気通貫で相談しやすいというメリットがあります。

3. 外部の専門業者や共同実施の活用

産業医がいない小規模な事業所や、産業医が契約上ストレスチェックの実施者を引き受けてくれない場合は、外部の専門機関に委託(WEB受検システムの利用など)するか、などの外部資源を活用することになります。外部委託する場合でも、委託先の医師や保健師が法律上の「実施者」となります。

ストレスチェックの「実施者」に関するよくある質問(FAQ)

Q. 実施者は、外部の専門業者に丸投げしても大丈夫ですか?

A. 法律上の「実施者」としての役割そのものを外部の医師や保健師に委託することは可能です。 ただし、丸投げにするのではなく、事前の準備段階(衛生委員会での審議など)や、高ストレス者への面接指導の案内といった社内実務については、社内の担当者(実施事務従事者)と外部の実施者がしっかりと連携をとって進める必要があります。

Q. 社内の「公認心理師」や「保健師」に実施者を頼んでも良いですか?

A. 資格要件を満たしており、かつ「人事権」を持たない従業員であれば、社内のスタッフであっても実施者に選任することができます。 ただし、社内の人間が実施者になると、従業員側が「プライバシーは本当に守られるのだろうか」と心理的抵抗を感じてしまうケースも少なくありません。その場合は、実務の運用規程をあらかじめ周知徹底するか、安全性を考慮して外部の専門業者を頼るのが現実的です。

Q. 実施者が行う「高ストレス者」の判定基準は会社が決めて良いのですか?

A. 最終的な決定は会社(衛生委員会など)で行いますが、必ず実施者(医師など)の意見を反映させなければなりません。 厚生労働省が示す「合計点数を使う方法」などの基準をベースにしつつ、自社の状況に合わせて実施者と相談しながら決定します。実施者の専門的な見解を無視して、会社が勝手に基準を操作することは認められていません。

Q. 実施者にかかる費用を抑える方法はありますか?

A. 外部委託によるコストが課題となる場合は、弊社にご相談ください。50名未満の事業所にも実施義務が課されるため、低価格で実施者を就任させるプランもご用意させていただきます。まずは一度お問い合わせください。

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