毎年のストレスチェック。実務を任されて、少し戸惑っていませんか。
「実施事務従事者として、何をどの順でやるのか」。ここが意外と整理されていません。
この記事では、準備から結果の通知、面接指導の手配までを5つのステップに分けて、やさしく整理します。総務・人事のご担当者が、迷わず動けるようになる内容です。
この記事でわかること
- 実施事務従事者の役割と、実施者との違い
- 準備から報告までの具体的な5ステップの流れ
- 担当者が特に気をつけたい守秘義務と選任のルール
- 実務の負担を軽くする外部委託の考え方
結論から先に:実施事務従事者の流れは、①事前準備 ②受検の案内 ③受検・回収 ④結果の通知と保存 ⑤面接指導・報告の手配、という5段階です。個人情報を扱うため、守秘義務を守りながら実施者を支える事務が中心になります。
実施事務従事者とは?実施者との違いを整理
実施事務従事者とは、ストレスチェックの調査票の回収やデータ入力など、個人情報を扱う事務を担う担当者のことです。
まず、よく混同される2つの役割を切り分けましょう。実施者と実施事務従事者は、担う仕事がはっきり違います。
実施者とは、ストレスチェックを実施する医師・保健師などの専門職です。医師・保健師のほか、所定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師が担えます。高ストレス者の判定など、専門的な判断を行います。
実施事務従事者とは、その実施者を事務面で支える担当者です。特別な資格は必要ありません。調査票の配布・回収、データ入力、結果の送付といった、個人情報にふれる事務を担当します。
ざっくり言うと、専門的な判断は実施者、その周りの事務は実施事務従事者、という分担です。私たちが支援してきた現場でも、この2つを混同したまま任命し、あとで慌てるケースをよく見かけます。
役割の定義や「なれる人・なれない人」の線引きは、次の記事でさらに詳しくまとめています。

実施事務従事者は具体的に何をする?流れを5ステップで
実施事務従事者の業務は、事前準備・受検の案内・受検と回収・結果の通知・面接指導の手配という流れで進みます。
1年のサイクルで動く仕事です。各ステップで「担当者が実際に手を動かすこと」を具体的に見ていきましょう。

衛生委員会などで実施方法を審議し、実施規程を整えます。実施者と実施事務従事者を選任し、担当者の氏名を社内に周知します。担当者名簿の作成も、この段階での仕事です。
対象となる従業員へ、受検の案内文を配布します。実施期間や受検方法、結果の取り扱いを丁寧に伝えると、受検率が上がります。未受検者へのリマインドも担当者の役割です。
Web受検ならシステム上で、紙受検なら回答用紙で集めます。ここからが個人情報を扱う核心部分です。回答内容を人事担当が見られない状態で、実施者へ渡す仕組みが求められます。
実施者による判定のあと、結果を本人へ直接通知します。結果の記録は、事業者が5年間保存することが求められます(労働安全衛生規則)。本人の同意なく、事業者が結果を閲覧することはできません。
高ストレス者から申出があれば、医師による面接指導を手配します。面接指導は、申出からおおむね1か月以内の実施が求められます(労働安全衛生法第66条の10)。あわせて集団分析の準備や、労働基準監督署への報告書提出のサポートも行います。
面接指導の具体的な進め方は、下記の記事で流れを追って解説しています。

「準備の段取りだけでも相談したい」。そんなときは、下記からお気軽にお問い合わせください。
実施事務従事者が特に注意すべき2つのこと
実施事務従事者が最も注意すべきは、守秘義務の徹底と、人事権を持つ人を任命しないことの2点です。
どちらも、担当者を守り、従業員の安心につながる大切なルールです。順番に確認します。
①守秘義務:実施事務従事者は、業務で知った労働者の秘密を漏らしてはならないと定められています(労働安全衛生法第104条)。違反した場合の罰則も設けられています。個人結果は、施錠できる場所やアクセス制限のある環境で管理してください。
②もう一つが、担当者の人選です。人事について直接の権限を持つ人は、実施の事務に従事できません。
相談者人事部長を担当にしようと思っていたのですが、問題ありますか?



そこは要注意です。解雇や昇進など、人事を決める権限を持つ立場の方は担当になれません。従業員が「評価に響くかも」と不安になり、正直に答えられなくなるためです。一般の総務担当の方などを選びましょう。
資格の有無より、この「人事権の壁」を外すことが選任のポイント。名簿を作る前に、必ず確認しておきたい点です。










