出向者のストレスチェックは、出向元と出向先のどちらが実施するのか。総務のご担当者から毎年のように寄せられる、悩ましいテーマです。この記事では、ケース別の扱いと実務の進め方を、やさしく整理してお伝えします。
この記事でわかること
- 出向者が対象になるかの判断基準
- 在籍出向・転籍出向・派遣社員のケース別の扱い
- 50人判定での出向者のカウント方法
- 迷わず進めるための実務手順
結論から先に:在籍出向の出向者は、指揮命令を行い常時使用する出向先が実施義務を負うのが原則です。転籍出向は雇用主である出向先、派遣社員は派遣元が実施します。迷ったときは「誰が指揮命令し、賃金を払い、労働時間を管理しているか」で判断してください。
ストレスチェックの出向者は対象になる?
出向者も、常時使用する労働者にあたれば実施義務の対象です。厚生労働省「ストレスチェック制度 実施マニュアル」でも、対象は雇用形態の名称ではなく勤務の実態で判断するとされています。
ポイントは、出向という形だけで対象から外れるわけではない、という点です。実際に働いている会社で常時使用されていれば、正社員と同じように受検の対象になります。まずは「どの会社の指揮命令で働いているか」を起点に考えると、整理がしやすくなります。
相談者出向者は「うちの社員ではない」気がして、毎年どう扱うか迷います。そもそも対象なのでしょうか。



はい、原則は対象です。籍の置き場所ではなく、実際に働いている実態で見ます。次の章で判断の軸を一緒に確認しましょう。
そもそもストレスチェックの対象者とは?
常時使用する労働者とは、継続して雇用され、所定労働時間が一定以上の人を指します。この定義が、出向者の判断の土台になります。
厚生労働省の実施マニュアルでは、次の2つをどちらも満たす人が対象とされています。期間の定めのない契約、または更新で1年以上使用される見込みがあること。そして、週の所定労働時間が同じ職場の通常の労働者の4分の3以上であること。パートやアルバイトでも、この条件を満たせば対象です。


ストレスチェックとは、労働者のストレス状態を質問票で把握し、不調を未然に防ぐための検査です。2015年12月から、労働安全衛生法第66条の10により、常時50人以上の事業場で事業者に実施が義務づけられています。制度の全体像は厚生労働省のストレスチェック制度のページでも確認できます。
出向者は出向元・出向先のどちらが実施する?
在籍出向では、指揮命令を行い常時使用している出向先が実施義務を負うのが原則です。出向の種類によって、判断が分かれます。
出向には大きく2つの型があります。在籍出向は、出向元に籍を残したまま出向先で働く形です。転籍出向は、出向元との雇用関係を終了し、出向先に籍を移す形になります。どちらに実施義務があるかは、この違いで考えると分かりやすいです。
出向先が指揮命令し、常時使用していれば、原則として出向先が実施します。賃金の一部を出向元が負担していても、労務管理の実態が出向先にあれば出向先の義務です。判断に迷う場合は、出向契約書で労働時間管理と指揮命令の所在を確認してください。
実務では、在籍出向の線引きで迷うご担当者が多い印象です。私たちが支援した現場でも、賃金の支払元と指揮命令元が分かれていて判断に困るケースが少なくありませんでした。そうした場合は、労働時間を管理している会社を基準に整理すると、現場の実感とずれにくくなります。
派遣社員・役員・休職者はどう扱う?
派遣社員のストレスチェックは、雇用主である派遣元が実施義務を負います。出向者とは扱いが異なるため、混同しないよう注意してください。
派遣先は、法律上の実施義務を負いません。ただし職場環境の改善につなげるため、集団分析は派遣先でも実施することが望ましいとされています。役員は原則として労働者ではないため、対象外です。使用人兼務役員など、労働者としての実態がある人は対象になります。
休職者の扱いには注意が必要です。実施の時点で休職している人は、無理に受検させなくても差し支えないとされています。復職後に、本人の状況を見て実施してください。
高ストレスと判定された人への対応は、別の記事で詳しく解説しています。あわせて高ストレス者への対応方法と医師による面接指導の流れもご確認ください。
50人未満の義務化で出向者のカウントはどうなる?
常時50人以上かどうかは、その事業場ごとに常時使用する労働者の人数で判定します。在籍出向の出向者は、常時使用していれば出向先の人数に含めて数えます。
この人数判定は、2028年の義務化で重みを増します。厚生労働省は、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、2028年(令和10年)4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックを義務化すると公表しています。出向者を含めて50人前後になる事業場は、早めの確認が欠かせません。
人数は会社全体ではなく、工場や支店などの事業場ごとに数えます。在籍出向で出向先が常時使用している人は出向先で、派遣社員は派遣元で数えるのが基本です。自社の人数が50人の前後にある場合は、出向者の扱い次第で義務化のタイミングが変わります。


出向者を含むストレスチェックを進める手順
出向者を含む実施は、対象者の確定から始めると迷いません。次の3ステップで進めてください。
出向契約書を確認し、指揮命令と労働時間管理の所在を整理します。在籍出向者は出向先、派遣社員は派遣元、と振り分けて対象者名簿を作ってください。
二重実施や漏れを防ぐため、どちらが実施するかを出向元と事前にすり合わせます。結果の取り扱いと守秘の範囲も、この段階で決めておくと安心です。
外国人の出向者がいる場合は、言語の壁が受検率の課題になりがちです。当社は英語とベトナム語に対応し、Web受検・紙受検・併用のいずれにも対応しています。9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、数名〜6,000名規模まで100社以上の実施を支援してきました。出向者が混在する複雑な体制でも、整理からお手伝いします。
委託先の選び方に迷う場合は、ストレスチェック代行の選び方も参考になります。自社実施か外部委託かで迷う段階から、気軽にご相談ください。
出向者のストレスチェックに関するよくある質問
ご担当者から多い質問を、ケース別にまとめました。自社の状況に近いものから確認してください。
- ストレスチェックは出向者も対象になりますか?
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出向者も、常時使用する労働者にあたれば対象です。在籍出向では、指揮命令を行い常時使用している出向先が実施するのが原則です。籍の場所ではなく、実際の勤務実態で判断します。
- 在籍出向者は出向元と出向先のどちらが実施しますか?
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原則は出向先です。出向先が指揮命令を行い、労働時間を管理して常時使用している場合、出向先が実施義務を負います。賃金を出向元が一部負担していても、労務管理の実態が基準になります。
- 派遣社員は出向者と同じ扱いになりますか?
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いいえ、扱いが異なります。派遣社員のストレスチェックは、雇用主である派遣元が実施します。派遣先に法律上の実施義務はありませんが、集団分析は派遣先でも行うことが望ましいとされています。
- 出向者は50人のカウントに含めますか?
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在籍出向の出向者を常時使用している場合は、出向先の事業場の人数に含めて数えます。50人前後の事業場では、出向者の扱い次第で義務化の対象時期が変わります。事業場ごとに人数を確認してください。
- 休職中の出向者も受検させる必要がありますか?
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実施の時点で休職している人は、無理に受検させなくても差し支えないとされています。復職後に、本人の体調を確認したうえで実施してください。復職直後の負担にならないよう配慮が求められます。
- 2028年の義務化で出向者の対応は変わりますか?
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判断の軸そのものは変わりません。ただし2028年4月から50人未満の事業場も義務化されるため、出向者を含めて50人前後になる事業場は新たに対象となる可能性があります。早めの人数確認が安心です。
まとめ
出向者のストレスチェックは、籍ではなく勤務の実態で判断します。在籍出向は原則として出向先、転籍出向も出向先、派遣社員は派遣元。この3つを押さえておけば、毎年の対応で迷いにくくなります。
判断の軸は、指揮命令・賃金・労働時間管理が誰にあるか。2028年の義務化を控え、出向者を含む人数の確認は今のうちに進めてください。制度の詳細は労働安全衛生法(e-Gov法令検索)や厚生労働省「こころの耳」でも確認できます。体制づくりに迷ったら、一緒に整理していきましょう。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












