ストレスチェックを実施したものの、結果が出た後に何をすればいいのか分からない。高ストレス者への対応を考えると、正直不安になりますよね。
この記事では、事後措置の全体の流れと会社の義務の範囲を整理します。総務・人事の担当者が迷わず動けるよう、実務の順番で解説していきます。
この記事でわかること
- 事後措置のうち「義務」と「努力義務」の区別
- 結果通知から就業上の措置までの5ステップ
- 不利益取扱いなど、やってはいけない対応
結論から先に:ストレスチェックの事後措置とは、結果通知後に会社が行う医師の面接指導と就業上の措置のことです。高ストレス者から申出があったとき、会社には面接指導の実施が求められます(労働安全衛生法第66条の10)。
ストレスチェックの事後措置とは?どこまでが義務?
ストレスチェックの事後措置とは、検査結果を本人へ通知した後に事業者が行う、面接指導・医師からの意見聴取・就業上の措置の総称です。
「検査をして終わり」では、制度の目的を果たせません。労働安全衛生法第66条の10は、検査の実施だけでなく、その後の対応までを一連の流れとして定めています。
義務になる対応と努力義務の対応
事後措置には、法律上の義務と努力義務が混在しています。まずはこの区別を押さえると、優先順位に迷いません。
| 対応 | 法律上の位置づけ |
|---|---|
| 結果の本人通知 | 義務(実施者が直接通知) |
| 申出者への医師の面接指導 | 義務 |
| 医師からの意見聴取 | 義務 |
| 就業上の措置 | 義務(必要と認めるとき) |
| 集団分析・職場環境改善 | 努力義務(強化の流れあり) |
| 労働基準監督署への報告 | 義務(50人以上・年1回) |
ざっくり言うと、「高ストレス者から申出があったら医師につなぐ」までが会社の必須ラインです。集団分析は努力義務ですが、後述のとおり国は活用を強く後押ししています。
2028年からは50人未満の事業場も対象に
厚生労働省によると、2025年5月公布の改正労働安全衛生法により、2028年(令和10年)4月1日から労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。
小規模な会社ほど、検査後の対応を担う人員が限られます。事後措置の型をいま作っておくことが、拡大への一番の備えになります(参考: 厚生労働省 ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策)。
相談者高ストレス者が出たら、会社は全員と面談しないといけないんでしょうか?



いいえ、医師の面接指導が必要なのは「本人から申出があった高ストレス者」だけです。まずは申出を受け付ける窓口と流れを決めておきましょう。
事後措置の全体像|結果通知から就業上の措置まで5ステップ
ストレスチェックの事後措置は、①結果通知、②面接指導の申出、③医師による面接指導、④医師からの意見聴取、⑤就業上の措置、の5ステップで進みます。
それぞれに期限の目安が決まっているのが特徴です。厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」に沿って、順番に確認しましょう。
結果は実施者(医師・保健師など)から本人へ直接通知されます。本人の同意がない限り、会社は個人の結果を見られません。通知が滞っていないかだけ、実施者側に確認してください。
面接指導を希望する高ストレス者は、結果通知後おおむね1か月以内に申出を行います。会社側は、申出の窓口・方法をあらかじめ社内に周知しておくとスムーズです。
厚生労働省の実施マニュアルでは、面接指導は申出からおおむね1か月以内の実施が目安とされています。産業医がいない会社は、外部の医師や地域産業保健センターの活用も選択肢です。
面接指導の後は、就業上の措置の要否について医師から意見を聴きます。こちらも面接指導後おおむね1か月以内が目安です。面接指導の記録は5年間の保存が求められます。
医師の意見を踏まえ、労働時間の短縮、深夜業の回数減、配置転換などを必要に応じて行います。措置の内容は本人とよく話し合い、一方的な決定は避けてください。


面接指導の詳しい進め方は、面接指導の流れを解説した記事で確認できます。高ストレス者の基準そのものを知りたい方は、高ストレス者の解説記事もあわせて読んでみてください。
「流れは分かったけれど、自社だけで回せる気がしない」という方は、体制づくりから相談できます。迷ったら、まず現状を聞かせてください。
高ストレス者が申出をしないときはどうする?
高ストレス者への面接指導は本人の申出が前提のため、会社が受診を強制することはできませんが、申出を勧める「勧奨」は認められています。
実務で最も多い悩みが、この「申出が出ない」問題です。厚生労働省の実施マニュアルでは、高ストレス者の目安は受検者のおおむね10%程度とされていますが、実際に申出をする人はその一部にとどまります。
私がサポートで関わった製造業のお客様では、実施者名義の勧奨文書に「申出しても上司には伝わらない」と明記しただけで、申出が前年のゼロ件から複数件に増えました。ポイントは、安心して手を挙げられる空気づくり。
- 勧奨の通知は実施者・実施事務従事者の名義で出す
- 申出方法はメール・Webなど上司を介さない経路にする
- 面接指導以外の相談窓口も同時に案内する
社外の相談先としては、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータル「こころの耳」が無料で使えます。そもそも受検してもらえないという段階の悩みには、受検率を上げる方法の記事が参考になります。
事後措置でやってはいけない対応
面接指導の申出をしたことを理由とする解雇・降格・不利益な配置転換は、労働安全衛生法第66条の10で禁止されています。
事後措置は従業員の健康を守るための仕組みです。運用を誤ると、制度への信頼が一気に崩れます。特に次の3点は要注意です。
①申出や結果を理由にした不利益取扱い、②本人の同意なく結果を社内共有すること、③結果を人事評価に流用すること。この3つは法令違反や信頼失墜につながる可能性があります。
結果を扱う実施事務従事者には守秘義務があります。誰がどこまで結果を見られるのかは、条文で確認しておくと安心です(参考: e-Gov法令検索 労働安全衛生法)。



面接指導を受けた社員の扱いを、上司にどこまで伝えていいのか迷います…。



上司へ伝えるのは「医師の意見に基づく措置の内容」だけで十分です。検査結果や面談の中身そのものは共有しない、と線引きしてください。
集団分析を職場環境改善につなげる
集団分析は現在努力義務ですが、厚生労働省は2026年6月30日に集団分析の実施方法に関する労働安全衛生規則の改正を公表しており、活用への流れが強まっています。
集団分析とは、部署や課などの集団ごとに結果を集計し、職場単位のストレス傾向を見える化する手法です。個人が特定されないため、本人の同意がなくても会社が確認できます。
高ストレス者への個別対応が「守り」なら、集団分析は「攻め」の事後措置です。残業や人間関係など、部署ごとの課題が数字で見えるので、翌年の改善計画に直結します。具体的な読み方は集団分析の活用方法の記事で解説しています。


事後措置の負担を減らすなら外部委託も選択肢
事後措置のうち、結果通知・申出受付・面接指導の調整・集団分析までは外部委託でき、会社に残る中心業務は「医師の意見を踏まえた措置の決定」だけになります。
兼務の担当者が結果の管理から面談調整まで抱え込むと、通常業務が止まります。私自身、年末の繁忙期に申出対応が重なって疲弊していた総務の方を何人も見てきました。仕組みごと外に出すのは、逃げではなく合理的な判断。
ストレスチェックサポートセンターは、数名〜6,000名規模まで100社以上の実施を支援し、リピート率は9割以上です。9年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定された運営体制で、個人情報は自社サーバーで管理しています。
最短3日で受検を始められるため、「今年の実施が迫っているのに事後措置の体制がない」という駆け込みのご相談にも対応できます。
よくある質問
ストレスチェックの事後措置について、担当者からよく寄せられる質問をまとめました。
- ストレスチェックの事後措置は義務ですか?
-
高ストレス者から申出があった場合の医師による面接指導と、その後の意見聴取・就業上の措置は労働安全衛生法第66条の10に基づく義務です。一方、集団分析と職場環境改善は現時点では努力義務とされています。
- ストレスチェックの結果は職場でバレますか?
-
個人の結果は実施者から本人に直接通知され、本人の同意がない限り会社には提供されません。結果を扱う実施事務従事者にも守秘義務があるため、上司や同僚に無断で知られることはない仕組みです。
- ストレスチェックで面談を勧奨されるのはどんな人ですか?
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実施者が高ストレスと判定し、医師の面接指導が必要と認めた人が勧奨の対象です。厚生労働省の実施マニュアルでは、高ストレス者の目安は受検者のおおむね10%程度とされています。勧奨されても、申出をするかどうかは本人の自由です。
- ストレスチェックの受検は強制できますか?
-
受検は労働者の義務ではないため、強制はできません。ただし会社側には実施義務があるので、目的やプライバシー保護の仕組みを丁寧に説明し、受検を勧めることが求められます。
- ストレスチェックを実施した後、労働基準監督署への報告は必要ですか?
-
常時50人以上の労働者がいる事業場は、検査と面接指導の実施状況を年1回、労働基準監督署へ報告することが求められます。様式は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を使います。
まとめ|事後措置は「流れの型」を作れば怖くない
ストレスチェックの事後措置は、結果通知から就業上の措置までの5ステップを型として持てば、毎年同じ手順で回せます。期限の目安は「申出も面接指導も意見聴取も、それぞれおおむね1か月以内」。ここだけ覚えておけば大きく外しません。
2028年4月には50人未満の事業場にも義務が広がります。高ストレス者対応に追われる前に、申出の窓口と医師との連携体制を整えておくことが重要です。
「自社の体制で足りているのか不安」という段階のご相談でも構いません。100社以上の実施を支えてきた経験から、御社に合う事後措置の回し方を一緒に考えます。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。












