メンタルヘルス相談窓口を社内に設置する手順と運用

社内にメンタルヘルスの相談窓口を設置し、従業員が安心して相談できる体制を整える手順を示すイメージ

「相談窓口を作りたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」。総務や人事のご担当者から、よくいただくお悩みです。専門家ではないのに任される場面も多く、正直、面倒に感じますよね。

この記事では、社内のメンタルヘルス相談窓口の設置手順を、担当者目線でやさしく整理します。読み終えるころには、次の一手がはっきり見えるはずです。

この記事でわかること

  • 相談窓口の設置が義務なのか、法的な位置づけ
  • ゼロから設置するための具体的な5ステップ
  • 「作っても使われない」窓口にしない運用の工夫
  • 社内で持つか、外部に委託するかの判断軸

結論から先に:メンタルヘルスの社内相談窓口は、設置そのものが直接の法的義務ではありません。ただしパワハラ相談窓口は2022年4月から全企業で義務です。労働契約法第5条の安全配慮義務の観点からも、心の不調を相談できる体制の整備が求められます。

目次

社内のメンタルヘルス相談窓口とは?いま設置が求められる理由

メンタルヘルス相談窓口とは、従業員が心の不調や仕事の悩みを早い段階で打ち明けられる、社内外の受け皿のことです。

ざっくり言うと、「つらいときに、まずどこへ話せばいいか」を決めておく仕組みです。不調のサインを早く拾えれば、休職や離職の予防につながります。担当者にとっては、対応の負担を分散できる点も大きなメリット。

いま設置の必要性が高まる背景には、法改正があります。厚生労働省によると、2025年5月に改正労働安全衛生法が公布されました。これに伴い、義務化の対象が広がります。2028年(令和10年)4月1日から、50人未満の事業場にもストレスチェックが義務になります。小規模な会社ほど、相談体制の整備が急務です(参照:厚生労働省 ストレスチェック制度/e-Gov 労働安全衛生法)。

相談窓口は、厚生労働省が示す「4つのケア」の土台にもなります。4つのケアとは、心の健康を守るための4本柱のことです。内訳は、セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケア。窓口は、この4本柱をつなぐ入口の役割を担います。

より詳しい体制づくりの考え方は、厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」でも公開されています(参照:厚生労働省 こころの耳)。

メンタルヘルスの社内相談窓口の設置は義務なの?

ハラスメントの相談窓口は2022年4月1日から全企業で義務ですが、心の健康相談の窓口そのものは直接の法的義務ではありません。

混同しやすいので、2つに分けて整理します。読者のみなさんが迷いやすいポイントです。

ハラスメント相談窓口は「義務」:改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、2022年4月1日から中小企業を含む全企業で、パワハラの相談窓口の設置が求められます。

メンタルヘルス相談窓口は「実質的に必要」:心の不調全般の相談窓口は直接の義務ではありません。ただし労働契約法第5条は、会社に安全配慮義務を課しています。不調を放置すれば、義務違反を問われる可能性があります。

つまり、ハラスメント窓口とメンタル相談窓口をまとめて整えるのが現実的です。実際に私たちが支援してきた現場でも、両方を1つの入口に集約した会社ほど、運用がスムーズでした。窓口が分かれていると、従業員が「どこに話せばいいか」で迷ってしまうためです。

相談者

うちは50人未満の小さな会社です。それでも窓口は必要でしょうか。

ストレスチェックサポートセンター

はい、小規模でも準備を進めておきたい状況です。パワハラ窓口はすでに義務ですし、2028年にはストレスチェックも義務になります。今のうちに小さく始めておくと、後がぐっと楽になりますよ。

罰則や未実施リスクの詳細は、ストレスチェックをやらない場合のリスクを解説した記事もあわせてご確認ください。

社内メンタルヘルス相談窓口を設置する5つのステップ

相談窓口の設置は、目的の明確化から社内周知まで、5つのステップで進めると迷いません。

順番に進めれば、専門知識がなくても形になります。まずは全体像をつかんでください。

社内メンタルヘルス相談窓口を設置する準備から周知までの流れを示すイメージ
STEP
目的と対象を決める

何のための窓口かを最初に決めます。ハラスメント、心の不調、働き方の悩みなど、扱う範囲を明確にします。対象は正社員だけか、パートや派遣も含めるかも決めておきます。

STEP
担当者と体制を決める

誰が一次対応するかを決めます。人事担当者に加え、産業医や保健師と連携できると安心です。担当者が1人だと属人化します。複数名でチームを組んでください。

STEP
受付方法を用意する

相談の入口を複数用意します。対面だけでなく、メールや専用フォーム、電話も選べると相談しやすくなります。とくに顔を合わせにくい悩みは、匿名で送れる経路が効果的です。

STEP
秘密保持のルールを定める

相談内容の取り扱いルールを文書化します。誰まで共有するか、本人同意をどう取るかを明記します。プライバシーが守られる保証こそ、窓口が使われる前提条件です。

STEP
社内に周知し研修する

窓口の存在を全従業員に伝えます。連絡先を掲示し、朝礼や社内報で繰り返し案内してください。あわせて管理職に、部下の変化に気づく研修を行うと、相談へつながりやすくなります。

高ストレス者への対応と窓口はセットで考えると効果的です。対応の流れは、高ストレス者への対応方法を解説した記事もご覧ください。

相談窓口が「あるだけで使われない」のはなぜ?

窓口が使われない最大の理由は、「相談したことが人事評価や周囲に伝わるのでは」という不安です。

社内の相談窓口が使われない典型的な失敗パターンと従業員の不安を示すイメージ

私たちが100社以上のご支援で見てきた中でも、設置しただけで放置された窓口は、ほとんど機能していませんでした。よくある失敗は、次の3つです。

  • 連絡先が周知されておらず、存在を知られていない
  • 相談内容が上司に筒抜けになりそうで怖い
  • 担当者が忙しく、相談しても対応が遅い

ある製造業のお客様では、窓口を作ったのに1年間で相談ゼロでした。理由を伺うと、「相談=評価が下がる」という空気があったそうです。仕組みだけでなく、安心して使える雰囲気づくりが欠かせません。

使われる相談窓口にする運用のポイント

使われる窓口の共通点は、「相談しても不利益がない」と全員が信じられることです。

運用で意識したい工夫を、いくつか挙げます。どれも大がかりな投資は不要です。

運用の3つのコツ

1つ目は、外部の専門窓口を併設し、社内に知られず相談できる経路を残すことです。2つ目は、相談実績を件数だけ社内に共有し、「使ってよい場所」だと伝えることです。3つ目は、年1回は運用を見直し、使いにくさを改善してください。

職場環境そのものの改善も、相談を減らす近道です。ストレスチェックの集団分析を使えば、部署ごとの課題が見えてきます。進め方は、集団分析の活用方法を解説した記事が参考になります。

社内窓口と外部委託、どちらを選ぶ?

相談を受ける人が社内にいない、または本音を話しにくい場合は、外部委託が向いています。

それぞれに長所があります。自社の状況に合わせて選んでください。

自社の事情を分かった上で相談に乗れるのが強みです。費用も抑えられます。一方で、担当者の負担や、社内の人には話しにくいという課題が残ります。

私たちストレスチェックサポートセンターは、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、リピート率は9割超です。プライバシーマークを継続取得し、個人情報は自社サーバーで管理します。英語・ベトナム語にも対応するため、外国人従業員が多い職場でも導入しやすい体制。

Web受検・紙受検・併用のいずれにも対応し、最短3日で受検を始められます。委託先の選び方は、代行サービスの選び方を解説した記事もあわせてご確認ください。

まとめ:小さく始めて、使われる窓口へ育てる

メンタルヘルスの社内相談窓口は、設置そのものより「使われる状態」を保つことが肝心です。

まずは目的と担当を決め、受付経路と秘密保持のルールを整え、社内に周知する。この5ステップから始めてください。パワハラ窓口はすでに義務であり、2028年にはストレスチェックも義務化されます。今から準備しておけば、慌てずに対応できます。

効率化の先には、従業員が安心して働ける職場と、担当者が本来の仕事に向き合える時間が待っています。迷ったら、まずは気軽にご相談ください。一緒に片づけていきましょう。

よくある質問(FAQ)

メンタルヘルスの社内相談窓口を設けるのは義務ですか?

心の健康相談の窓口そのものは、法律上の直接の義務ではありません。ただし労働契約法第5条の安全配慮義務があるため、実質的に整備が求められます。パワハラの相談窓口は、2022年4月から全企業で義務です。

ハラスメント相談窓口の設置は義務ですか?

はい、義務です。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、2022年4月1日から中小企業を含む全企業で、パワハラの相談窓口の設置が求められます。メンタル相談とまとめて整えると運用しやすくなります。

相談窓口の担当者は誰にすればよいですか?

人事や総務の担当者を中心に、複数名でチームを組むのが基本です。産業医や保健師と連携できると、より安心です。担当が1人だと属人化し、休職や退職の際に窓口が止まってしまいます。

社内に相談できる専門家がいない場合はどうすればよいですか?

外部の相談窓口を活用してください。産業保健総合支援センターなど公的な相談先もあります。専門家が対応する外部委託を使えば、社内の人には話しにくい悩みも安心して相談できます。

相談窓口を設置しても使われないときはどうすればよいですか?

まず、連絡先の周知と秘密保持ルールを見直してください。相談が不利益につながらないと伝わることが第一歩です。社内に知られず相談できる外部窓口を併設すると、利用のハードルが下がります。

相談窓口の設置に費用はどのくらいかかりますか?

社内だけで運用すれば直接の費用は抑えられますが、担当者の工数がかかります。外部委託の費用は規模やサービス内容で変わります。ストレスチェックとあわせて委託すると、費用と手間を分散できます。

この記事の編集・監修体制
信頼性の高い情報発信
編集・監修:ストレスチェックサポートセンター編集部

本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。

ストレスチェック支援実績
9年連続
健康経営優良法人に認定
3〜20,000名規模
受検人数を問わず、幅広く支援しております。
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一般企業から自治体まで、多数の支援実績がございます。
運営会社情報

シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。

健康経営優良法人2026 中小規模法人部門 ネクストブライト1000
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