ストレスチェックの集団分析における健康リスクとは?数値の見方を解説

集団分析における「健康リスク」とは?

この記事でわかること

  • 集団分析で最初に目にする「総合健康リスク」が示す意味
  • 健康リスク(A)と健康リスク(B)の計算方法と見方
  • 数値を職場環境の改善につなげる3つの比較ステップ

集団分析の結果票を開いて、「総合健康リスク120」と書かれていても、何をどうすればいいのか戸惑いますよね。総務・人事のご担当者から、いちばん多くいただく質問がこの数値の読み方です。この記事では、ストレスチェックの健康リスクを、担当者の目線で噛み砕いて整理します。専門用語はそのつどやさしい言葉に言い換えます。

目次

ストレスチェックの「健康リスク」とは?

健康リスクとは、その職場で体調を崩して休職する人が、どれくらい出やすいかを数値化した指標です。

ストレスチェックは、2015年から労働安全衛生法第66条の10にもとづき、事業者に実施が義務づけられています。集団分析は、その結果を部署などのまとまりで集計し、職場の状態を見える化する手法です。

集団分析の結果票を開くと、まず目に入るのが「総合健康リスク」という数値です。これは、日本の平均的な事業所を基準(全国平均を100)として、その部署で休職者が発生する確率を点数にしたものです。数字が大きいほど、心身の不調が出やすい職場だと読み取れます。

総合健康リスクの数値の見方(100が全国平均)

総合健康リスクは、全国平均の100を基準に、職場のリスクが何パーセント高いか低いかを表します。

100を超える部署は、全国平均と比べて休職者が出やすい状態です。逆に100を下回れば、平均より出にくい状態だと判断できます。具体的な読み方を表にまとめました。

ストレスチェックの総合健康リスクを全国平均100と比較して読み解く図
総合健康リスクの値 読み取り方
120 休職者が発生する確率が全国平均より20%高い
100 全国平均と同じ水準
80 休職者が発生する確率が全国平均より20%低い

たとえば、ある部署の総合健康リスクが120だったとします。これは「平均的な職場より、心身の不調による休職が2割ほど起こりやすい」というサインです。数値そのものに良し悪しの合格ラインはありません。あくまで全国平均や社内の他部署と比べるための「ものさし」として使ってください。

健康リスク(A)と健康リスク(B)の計算方法

総合健康リスクは、健康リスク(A)と健康リスク(B)という2つの数値を掛け合わせて算出します。

計算式は、総合健康リスク=健康リスク(A)×健康リスク(B)÷100です。AとBはそれぞれ職場の別々の側面を表しており、どちらも全国平均は100に設定されています。中身を整理しました。

健康リスク(A)=職場のストレス要因

健康リスク(A)は、仕事の「量的負担」と「コントロール度(仕事の裁量)」から算出される数値です。

仕事の量が多すぎたり、自分のペースで進められなかったりする職場ほど、この数値は高くなります。ざっくり言うと、「仕事のしんどさ」を表す指標です。残業が慢性化している部署や、業務の進め方を本人が決めにくい部署で上がりやすい傾向があります。

健康リスク(B)=職場のサポート

健康リスク(B)は、「上司の支援」と「同僚の支援」から算出される、職場の支え合いの度合いを表す数値です。

困ったときに相談できる上司がいるか、助け合える同僚がいるか。こうした人間関係のサポートが弱い職場ほど、この数値は高くなります。私が現場でお手伝いするなかでも、業務量は同じなのにBの差で総合リスクが大きく開く、という場面を何度も見てきました。

この健康リスクAとBの関係は、厚生労働省が示す「仕事のストレス判定図」でも、2つの軸として図示されています。量的負担とコントロールの軸(A)、上司・同僚の支援の軸(B)を重ねて、職場の位置を一目で確認できる仕組みです。

健康リスクの数値を職場改善に活かす3ステップ

総合健康リスクは、単独の数値で良し悪しを決めるのではなく、3つの比較を通して課題を見つけることが大切です。

先ほどお伝えしたとおり、「何点以上なら対応が必要」という公的な基準はありません。だからこそ、比べる相手を決めて読み解くと、打ち手が見えてきます。次の順番で進めると整理しやすくなります。

  1. 全国平均(100)と対象部署の数値の差を把握する(全国平均との比較)
  2. 社内で総合健康リスクが比較的高い部署を見つける(社内での比較)
  3. 同業他社の高ストレス者率や総合健康リスクと見比べる(同業他社との比較)

3つの比較で「どの部署の、AとBどちらに課題があるか」が見えてきます。Aが高ければ業務量や裁量の見直し、Bが高ければ相談体制やコミュニケーションの改善、というように打ち手の方向が変わります。職場環境の改善を具体的に進める手順は『ストレスチェックの集団分析の活かし方』でも詳しく紹介しています。

集団分析を読むときの注意点(10人以上のまとまり)

集団分析は、原則として10人以上のまとまりで行います。人数が少ないと個人が特定される恐れがあるためです。

5人や3人といった小さな部署の数値をそのまま出すと、「誰の結果か」が推測できてしまいます。これは配慮が欠かせない部分です。人数が少ないときは、本人の同意を得るか、近い部署と合算して分析する工夫が求められます。

また、総合健康リスクはあくまで集団としての傾向です。個人のストレス状態を直接示すものではありません。高ストレス者への対応は、集団分析とは別の手続きとして丁寧に進める必要があります。高ストレスと判定された方への向き合い方は『高ストレス者への対応』にまとめました。

健康リスクの数値が高い職場への打ち手

数値が高い職場では、原因がAとBのどちらにあるかを切り分けてから、具体的な改善策に移ります。

数値を眺めるだけでは、職場は変わりません。集団分析で課題のあたりをつけたら、現場の声を聞きながら小さな改善を積み重ねていきます。受検率が低いと分析の精度も下がるため、まずは多くの従業員に受けてもらう工夫も欠かせません。受検率を上げる具体策は『ストレスチェックの受検率を上げる方法』で解説しています。

集団分析の結果は、厚生労働省の「こころの耳」でも、職場環境改善ツールとあわせて活用が推奨されています。数値を出して終わりにせず、翌年の数値の変化まで追うと、打ち手の効果を確かめられます。

健康リスクの分析も、外部委託で楽になります

集団分析の結果の読み解きから職場改善の助言まで、外部委託を使えば担当者の負担を大きく減らせます。

「数値は出たけれど、どう説明すればいいかわからない」という声を、私たちも数多くうかがってきました。担当者が用意するのは従業員リストのみ。受検の案内から集計、集団分析、結果の解説までを委託先が引き受けます。

ストレスチェックサポートセンターは、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、自社でも健康経営を実践してきた当事者です。導入実績は100社以上、数名~6000名規模まで対応してきました。リピート率は9割以上。個人情報はプライバシーマークのもと自社サーバーで管理しています。集団分析の結果説明まで含めた企業訪問や、Web会議での解説にも無料で対応していますので、数値の読み方に迷ったら気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

最後に、健康リスクの数値についてよくいただく質問にお答えします。

総合健康リスクは何点以上だと危険ですか?

公的な合格ラインや危険ラインは定められていません。100が全国平均なので、それを上回るほど休職リスクが高い傾向にある、と読み解きます。120なら平均より2割高い状態です。数値そのものより、全国平均や社内の他部署との差を見て、優先して手を打つ部署を決めてください。

健康リスクAとBはどう違いますか?

健康リスク(A)は仕事の量的負担とコントロール度から算出する「仕事のしんどさ」、健康リスク(B)は上司・同僚の支援から算出する「職場のサポート」を表します。Aが高ければ業務量や裁量、Bが高ければ相談体制に課題があると判断できます。

総合健康リスクの計算式を教えてください。

総合健康リスク=健康リスク(A)×健康リスク(B)÷100で算出します。AとBはそれぞれ全国平均が100に設定されており、職場のストレス要因とサポートの両面を掛け合わせて、休職の起こりやすさを点数化しています。

人数が少ない部署でも集団分析はできますか?

原則は10人以上のまとまりで行います。人数が少ないと個人が特定される恐れがあるためです。10人未満の部署は、本人の同意を得るか、近い部署と合算して分析する配慮が求められます。

数値が高い職場はどう改善すればよいですか?

まず健康リスクのAとBのどちらが高いかを切り分けます。Aが高ければ業務量や仕事の進め方の見直し、Bが高ければ上司・同僚の相談体制づくりが打ち手の中心です。翌年の数値の変化を追うと、改善の効果を確認できます。

まとめ

ストレスチェックの健康リスクは、職場で休職者がどれくらい出やすいかを示す数値です。総合健康リスクは全国平均を100とし、120なら平均より2割高い状態を意味します。総合健康リスクは、仕事のしんどさを表す健康リスク(A)と、職場のサポートを表す健康リスク(B)を掛け合わせて算出します。

数値に合格ラインはありません。全国平均・社内の他部署・同業他社という3つの比較で、課題のある部署とAかBどちらの問題かを見極めてください。そのうえで、業務量の見直しや相談体制づくりといった具体策に落とし込んでいきましょう。

数値の読み解きや職場改善の進め方に迷ったら、一人で抱え込む必要はありません。貴社の結果に即した活かし方を、一緒に整理していきましょう。

 

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編集・監修:ストレスチェックサポートセンター編集部

本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。

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