事業場外資源によるケアとは、従業員のメンタルヘルスを専門的にケアするために、事業場外の資源を使う方法です。例えば、病院や地方保険機関、従業員支援プログラム(EAP)などがあります。
今回は、事業場外資源によるケアの主な役割や種類などをご紹介します。現事業場でメンタルヘルス対策に課題がある担当者の方はもちろん、今後に備えて情報収集をしている方も、今回紹介する内容を参考にしてみてください。
事業場外資源によるケアとは?
先に述べたように、事業場外資源によるケアとはメンタルヘルスケアの一種で社外の専門機関を活用することを指しており、厚生労働省が推進している4つのメンタルヘルスケアの1つとして定められています。
主な役割
事業場外資源によるケアは、病院、クリニック、地域保健機関、従業員支援プログラム(EAP)などの専門的な知識を持つ機関を利用して行われます。
事業場外資源によるケアの主な役割は下記の通りです。
- メンタルヘルスの相談
- カウンセリング・診断
- 復職指導などメンタルヘルス対策全般の支援
また、従業員が相談内容を事業者側に知られたくない場合や、事業者が適切なメンタルヘルスケアを提供することが難しい場合にも、専門機関のアドバイスやサポートの活用が可能となっています。
主な種類
ここからは事業場外資源によるケアの代表的な種類についてご紹介します。
病院やクリニックなどの医療機関
病院やクリニックなどの医療機関では、従業員がメンタルヘルスケアの相談や治療を受けることができます。ただし、その場合は従業員自身が主体となります。
しかし、従業員の許可を得ることで、事業者も労働環境の改善や、従業員への接し方や配慮、就労の判定基準などについて、医療機関に相談することができるようになります。ただし、事前に従業員の許可を得る場合は情報取得の目的を明確に伝える必要があり、その情報は従業員本人から事業者に提出することが望ましいです。
地域保健機関
地域保健機関は、各都道府県に設置された保険機関の一種で、
- 精神保健福祉センター
- 保健所
- 地域産業保健センター
があります。
精神保健福祉センターは、精神保健福祉の相談や指導、社会復帰や社会適応の援助をしている機関です。保健所は、健康や衛生について幅広く取り扱っている機関で、結核や食中毒、メンタルヘルスケアにも対応しており、精神保健福祉センターよりも地域に密着した対応を行うことが特徴です。地域産業保健センターは、従業員50人未満の事業場に無料で産業保健サービスを提供しており、条件を満たすとメンタルヘルスの指導や援助を受けることができます。
従業員支援プログラム(EAP)
従業員支援プログラム(EAP)とは、従業員のメンタル不調を支援する社外の専門家です。日本では専門機関が少なく、一般的に病院や産業医サービスが社外EAPとして提供しています。EAPの活動には下記の様な内容があります。
- 一人ひとりに合わせたカウンセリング
- セミナーでのメンタルヘルス啓発や研修講師の派遣
- メンタルヘルス体制の整備
EAPは、事業場とは独立した外部機関であり、守秘義務があるため、従業員は安心して悩みを打ち明けることができます。近年は、社外EAPを導入する事業者が増え、従業員が利用しやすいよう、定期契約による電話相談やメール相談、オンライン面談などの窓口を設ける場合もあります。
まとめ
今回は、事業場外資源によるケアの主な役割や種類などをご紹介しました。
各事業場に当てはまる種類を精査して、メンタルヘルス対策に活用していきましょう。