ストレスチェックは、実施して終わりではありません。労働基準監督署への報告までが毎年の仕事なのに、書き方も期限も分かりにくいですよね。この記事で、報告の流れを一気に整理します。
この記事でわかること
- 報告義務の対象(常時50人以上)と法的根拠・提出期限の考え方
- 報告書の書き方と、2025年1月から原則義務化された電子申請の手順
- 報告を忘れたときの罰則と、50人未満の事業場の扱い(2028年義務化後)
結論から先に:常時50人以上の事業場には、ストレスチェック結果の報告義務があります。提出先は所轄の労働基準監督署、頻度は1年以内ごとに1回です。書類名は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」。2025年1月からは電子申請が原則です。
ストレスチェックの労基署報告とは?対象と法的根拠
ストレスチェック結果の報告は、労働安全衛生規則第52条の21にもとづく常時50人以上の事業場の義務です。
まず、書類の正体から確認しましょう。心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書とは、ストレスチェックと面接指導の実施状況を労働基準監督署へ届け出る書類です。ストレスチェックの実施そのものは、労働安全衛生法第66条の10で事業者に義務付けられています。
報告の単位は会社全体ではなく事業場ごとです。支店や工場が複数ある場合は、50人以上の事業場ごとに、それぞれの所轄労働基準監督署へ提出します。なお、1年に複数回実施した年でも、報告は1回分で足ります。
相談者高ストレス者が多かった年に報告すると、会社に不利になりませんか?



なりません。報告書に書くのは受検人数などの実施状況だけで、個人の結果や点数は一切載せません。安心して提出してください。
報告義務の全体像を表にまとめます。この4点を押さえれば、基本は十分です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象事業場 | 常時50人以上の労働者を使用する事業場 |
| 提出頻度 | 1年以内ごとに1回 |
| 提出先 | 事業場を所轄する労働基準監督署 |
| 提出方法 | 電子申請が原則(当面は書面も可) |
提出期限はいつまで?スケジュール管理のコツ
報告書の提出期限に「毎年◯月末まで」という一律の定めはありません。1年以内ごとに1回の提出が求められます。
期限が固定されていないぶん、かえって忘れやすいのがこの報告です。前回の提出から1年以上あいてしまうと、その時点で義務を果たせていない状態になります。決め手は、社内で固定した「提出月」。衛生委員会の年間計画に、実施月とセットで組み込んでください。
私がサポートセンターで各社の報告時期をお手伝いしてきた経験では、定期健康診断の報告と同じ月にまとめる会社が最もスムーズです。書類仕事を1回に集約でき、出し忘れの防止にもなります。
「実施も報告も、今年こそ余裕を持って終わらせたい」という方は、費用感だけでも先に確認してみてください。60秒で概算が分かります。
報告書の入手方法と書き方のポイント
報告書の様式は厚生労働省のサイトから無料で入手できます。記入するのは、実施年月や在籍労働者数などの実施状況です。
記入項目は多くありません。実施内容をそのまま書き写せば完成します。主な記入欄は次のとおりです。
- 検査の実施年月と、対象年(いつの分の報告か)
- 在籍労働者数・検査を受けた労働者数
- 検査の実施者(産業医などの医師・保健師や外部委託機関)
- 面接指導を実施した医師の人数・面接指導を受けた労働者数
産業医欄には記名が必要です。産業医がストレスチェックに直接関与していない場合も記名は求められるため、事前にひと声かけておくと安心です。実際に支援する中でありがちな勘違いの例ですが、ストレスチェックの実施者を担った弊社の医師名を記名されることがありました。この場合の産業医は事業場が契約している「産業医」です。なお、2020年8月28日から産業医の押印は不要になりました。
対象事業場は、その年にストレスチェックを実施できなかった場合でも報告書の提出が求められます。「未実施だから出さない」は二重の法令違反となる可能性があります。実施状況を正直に記入して提出してください。
電子申請のやり方は?2025年1月から原則義務化
厚生労働省の案内のとおり、ストレスチェック報告書は2025年1月1日から電子申請が原則義務化されています。
「電子申請」と聞くと身構えてしまうかもしれません。実際は、画面の案内に沿って入力していく作りで、紙より記入ミスに気づきやすい仕組みです。流れは次の3ステップです。
e-Govとは、国の手続きをオンラインで行える電子申請窓口です。入力した内容は、e-Govを介して所轄の労働基準監督署へ送信できます。初回はアカウントの準備があるため、提出月の前に済ませておきましょう。
申請後は受付状況を確認し、控えをPDFなどで保管します。翌年の報告時に前年の控えがあると、入力が数分で終わります。
経過措置として、電子申請が困難な場合は当面のあいだ書面での提出も認められています。実際にご案内した担当者の方からは、初回はアカウント準備に手間取ったものの、2年目からは短時間で申請できたという声を多くいただきます。
報告を忘れたらどうなる?罰則と気づいたときの対処法
報告を怠った場合や虚偽の報告は、労働安全衛生法第120条により50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。



昨年分を出し忘れていたことに気づきました…。今から出しても大丈夫でしょうか。



大丈夫です。気づいた時点で、すぐに作成して提出してください。放置して労働基準監督署からの指摘を待つのが、いちばん良くない対応です。
出し忘れに気づいたら、直近の実施分をすみやかに報告します。未実施のまま1年が過ぎていた場合は、まず実施の段取りを組むところから。実施と報告をセットで立て直せば、遅れは取り戻せます。罰則の全体像は、こちらの記事で詳しく解説しています。
50人未満の事業場は報告が必要?2028年義務化後の扱い
常時50人未満の事業場に、労働基準監督署への報告義務はありません。2028年4月の実施義務化後も、報告義務は課さない方針が国の検討会で示されています。
ここは混同しやすいポイントです。2025年5月に、改正労働安全衛生法が公布されました。令和10年(2028年)4月1日からは、50人未満の事業場にも実施が義務化されます。一方で労基署への報告は、小規模事業場の負担軽減の観点から義務の対象外とされる見込みです。
関連する改正も動いています。厚生労働省は2026年6月30日、集団分析の実施方法について労働安全衛生規則の改正を公布しました。個人を特定できない方法で実施することを定めるもので、今まで実施マニュアル上でのみ示されていたルールを明記した形です。施行は令和9年(2027年)4月1日です。実施後の実務は、高ストレス者への対応や医師による面接指導の記事もあわせて確認してください。
報告書の作成まで任せたいなら外部委託も選択肢
実施から報告書の作成準備までを外部委託すれば、担当者の手元に残る作業は最終確認と提出だけになります。
ストレスチェックサポートセンターは、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定された運営会社が、数名〜6,000名規模まで100社以上の実施を支援してきました。リピート率は9割以上です。報告書に転記する実施人数などの集計もお渡しするので、記入で迷うことがなくなります。
Web受検・紙受検・併用のいずれにも対応し、最短3日で受検を始められます。毎年の報告まで見据えた運用に迷ったら、まず相談してください。現状の体制を伺ったうえで、無理のない進め方を一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
労働基準監督署への報告について、担当者の方からよく届く質問にお答えします。
- ストレスチェックの結果は、労基署への報告で個人が特定されますか?
-
されません。労働基準監督署へ報告する「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」に記載するのは、受検人数などの実施状況だけです。個人の回答内容や高ストレス判定の結果は、本人の同意なく会社にも提供されません。
- ストレスチェックの労基署報告はいつまでに提出すればいいですか?
-
法令上の一律の締切日はなく、1年以内ごとに1回の提出が求められます。前回の提出から1年以内が実務上の目安です。「毎年◯月に提出」と社内で固定し、衛生委員会の年間計画に組み込む管理をしてください。
- 報告書の提出を忘れたらどうなりますか?
-
労働安全衛生法にもとづく報告義務への違反として、50万円以下の罰金が科される可能性があります。出し忘れに気づいた時点で、すみやかに作成して所轄の労働基準監督署へ提出すれば立て直せます。放置がいちばん危険です。
- 複数の事業場がある場合、本社でまとめて提出できますか?
-
提出の単位は事業場ごとで、常時50人以上の各事業場が、それぞれの所轄労働基準監督署へ提出します。電子申請を使えば、本社の担当者が各事業場分の手続きをオンラインで進められるため、郵送や持参の手間は省けます。
- 報告書に産業医の押印は必要ですか?
-
押印は2020年8月28日から不要になりました。ただし産業医の記名は引き続き必要です。産業医がストレスチェックの実施者でない場合も記名が求められるため、報告書を作る前にひと声かけておくとスムーズです。
まとめ:報告は「提出月の固定」と「電子申請」で仕組み化
常時50人以上の事業場は、ストレスチェックの実施状況を1年以内ごとに1回、所轄の労働基準監督署へ報告する義務があります。様式は厚生労働省のサイトから入手でき、2025年1月からは電子申請が原則です。
今日やることは2つ。提出月を決めて年間計画に書き込むこと、そしてe-Govアカウントの有無を確認することです。報告まで含めた毎年の運用を軽くしたい方は、実施代行の活用も検討してください。見積りは無料です。
本記事は、9年連続で経済産業省「健康経営優良法人」に認定され、3〜20,000名規模・100社以上のストレスチェック実施を支援してきたストレスチェックサポートセンター編集部が、厚生労働省など公的資料に基づいて作成しています。
シー・システム株式会社は「健康経営優良法人2026(中小規模法人部門 ネクストブライト1000)」に認定されています。













