1つの事業場に50人以上従業員がいる事業所は法律でストレスチェックを実施することが義務づけられています。ストレスチェックは、従業員のメンタルヘルス管理や職場環境の改善に役立つ重要な取り組みです。しかし、従業員にストレスチェックの意義や重要性を伝えなければ、受検率が上がらないかもしれません。
今回は、ストレスチェックの案内文の作成ポイントと、実際に使える例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
案内文の作成ポイント
ストレスチェックの案内文を作成する際の主なポイントは下記です。
- なぜ実施するのかを明確にする
- 実施期間や受検方法を明示する
- 個人情報の取り扱いを明記する
- 分析結果の目的用途を記載する
- 従業員に伝わりやすい周知方法を選択する
それぞれご紹介していきます。
なぜ実施するのかを明確にする
ストレスチェックの案内文を作成する際は、従業員に対して明確な実施目的を伝えることが大切です。ストレスチェックの主な目的は、メンタルヘルス不調の一次予防と、実施結果に基づく就労環境の改善です。
従業員には、ストレスチェックが労働安全衛生法に基づく重要な検査であることを周知する必要があります。また、ストレスチェックがメンタルケアや職場環境改善に役立つことを伝えることで、より多くの従業員が積極的に受検するようになるでしょう。
実施期間や受検方法を明示する
ストレスチェックを受検する際には、実施期間や受検方法、所要時間、業務との兼ね合いなど、具体的な情報を案内文に記載することが重要です。具体的な日時や場所を示すことで、従業員がストレスチェックを受検するための障壁を下げることができます。これによって、ストレスチェックを受検する人数を増やし、メンタルヘルスの向上につなげることができます。
個人情報の取り扱いを明記する
ストレスチェックを実施する場合の個人情報の取り扱いについては、案内文に記載しておくべきポイントです。個人情報がどのように扱われるかが不透明な状態では不安を感じ、受検を拒否する従業員が出てきても不思議ではありません。そのため、案内文にはストレスチェックで収集されたデータの利用方法や個人情報の取り扱いについて明確に記載し、従業員が不利益を被らないことを明示する必要があります。従業員も安心してストレスチェックを受検してくれるようになり、受検率も向上するでしょう。
分析結果の目的用途を記載する
ストレスチェックの結果を利用して報告書を作成する場合、案内文に集団分析や報告書作成に使用されることを明示することが重要です。また、回答者の個人情報は匿名化され、個人が特定されないように処理されることも併せて記載することが大切です。ストレスチェックの結果を集団分析や報告書作成に活用することを明らかにしておくことで、従業員に対する説明責任を果たし、ストレスチェックの実施に対する信頼性を高めることができます。
ストレスチェックの集団分析は、組織全体のメンタルヘルス状況を把握することができ、職場環境改善に役立ちます。
関連記事:【解説】集団分析における「仕事のストレス判定図」とは?
従業員に伝わりやすい周知方法を選択する
ストレスチェックの案内文を従業員に周知する際には、確実に確認できるような配布・掲示方法を用いることが大切です。例えば、事業場内専用のSNSで配信する、従業員がアクセスする頻度の高いページに案内文を掲示するなど、事業場に合った周知方法を選択すると良いでしょう。
案内文は管理職や役員にも説明する
ストレスチェックは、従業員に限らず、管理職や役員も受検対象となります。ストレスチェックの概要や目的を管理職や役員に説明する際には、実施結果が人事考課には使用されない旨を伝えましょう。また、従業員と同じく、ストレスチェックは労働安全衛生法に基づいた制度であることや、実施するメリットについても説明して理解を深めてもらいましょう。
管理職や役員がストレスチェックに対して共通の認識を持つことで、他の従業員が検査を受けやすくなります。
案内メール(例文)
下記はWEB受検のストレスチェックを実施する場合の案内メールの一例です。
株式会社○○
○○様(受検者名)
本検査は、セルフケアのさらなる充実化及び働きやすい職場環境の形成を目的として、
労働安全衛生法に基づき実施するものです。
ご多忙の中、恐縮ではありますが、期間内に受検いただきますようお願いいたします。
下記、URLにアクセスし個人のID及びパスワードを入力して受検下さい。
【ID及びパスワード】
ID:○○
パスワード:○○
【職業性ストレス簡易調査】
URL:○○
【ストレスチェック実施概要】
1.実施期間
○月○日(○)~○月○日(○)
2.対象者
正社員およびパート社員
3.実施方法
web形式(57項目 所要時間:約5分)
4.結果の取り扱いについて
回答いただいたストレスチェックの結果は、個人の健康管理を目的として、
産業医・保健師のみが確認し、必要に応じて面接指導推奨のご連絡を個別に差し上げます。
個人の結果が外部(上司・人事部門等)に漏れることは、一切ありません。
また、個人が特定できない集約データとして、公衆衛生向上の研究などに利用することがあります。
まとめ
今回は、ストレスチェックの案内文の作成ポイントや実際に配信するメールの例文をご紹介しました。適切でわかりやすい案内文を作成して、受検率向上に繋げて行きましょう。