ストレスチェックの調査票を選ぶ際、23項目版、57項目版、80項目版といった選択肢があり、多くの担当者が項目数の違いや特徴について疑問を抱くことがあるのではないでしょうか。今回は、ストレスチェックの目的に加え、それぞれの回答項目の違いや特徴をご紹介します。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックについて、まずその目的について考えてみましょう。ストレスチェックは、従業員が自分自身のストレス状態に気づき、メンタルヘルス不調を未然に防止し、事業者が職場全体のストレス状況を把握して働きやすい環境を整備することを目的としています。従業員と事業者が共同で職場環境の改善に取り組むことは、より健康で生産的な職場を実現するために必要不可欠です。
ストレスチェックに必要な3領域
ストレスチェックの調査票には、必ず含まれるべき3つの質問領域があります。
- 仕事のストレス要因に関する領域
- 心身のストレス反応に関する領域
- 周囲のサポートに関する領域
まずは、仕事のストレス要因に関する領域。この領域では、過去に経験したストレス要因についての質問が並んでいます。次に、心身のストレス反応に関する領域。こちらは現在のストレス反応についての質問が中心で、ストレスの程度を把握します。最後に、周囲のサポートに関する領域。今後のストレス緩和につながる可能性を見る質問で構成されています。これらの質問項目を点数化し、ストレスチェックの受検結果から高ストレス者を判定します。
回答項目の特徴について
ストレスチェックの調査票に特に指定はありませんが、厚生労働省が推奨する職業性ストレス簡易調査票を使用することが推奨されています。ここからは、それぞれの回答項目の特徴についてご紹介します。
23項目
23項目版の調査票にはストレスチェックを調査するのに必要な質問項目が最低限含まれているため、職場のストレス状況を簡易的に把握することができます。しかし、集団分析を活用するには質問項目数が少なく、職場環境の改善には向いていません。高ストレス者の選定には有効であるものの、職場環境改善策を検討するには、より多くの質問項目が含まれた調査票を使用することをお勧めします。
57項目
最も多くの事業場で使われているのが57項目版の調査票です。先程ご紹介したストレスチェックに必要な3領域についての質問を幅広く含んでおり、個人のストレス反応がわかる内容になっています。5分程度で回答できる点が特徴です。
80項目
より詳細に職場環境を分析したい場合には、80項目版の調査票が利用されます。57項目版は個人のストレス反応を把握することを目的としており、集団分析を活用した職場環境改善につながりにくいという課題があります。80項目版は57項目版に加えて、ワークエンゲージメントやマネジメント、ハラスメントなど職場環境改善に必要な質問項目が多く含まれているため、より具体的な改善策を検討することが可能となります。
どの調査票を使えばいい?
ここまでそれぞれの回答項目の特徴をご紹介してきましたが、結局どの調査票を選ぶかは迷う所だと思います。考慮すべき主なポイントは次のとおりです。
- 職場のストレス環境においてどれだけの尺度で分析したいか
- 職場環境改善にどれだけ取り組みたいか
ストレスチェックが目指す従業員のメンタルヘルスの不調を未然に防ぐためには、ストレスの高い人を早期に発見することが重要です。個人のストレス状態のみを知りたい場合は、23項目の調査票で問題ありません。しかし、ストレスチェックで職場の課題を明確にし、集団分析でより詳細な改善要素を抽出したい場合は、職場全体をカバーする57項目や80項目などの項目数の多い調査票を使用することが望ましいでしょう。
当センターでは、集団分析でより詳細な改善要素を抽出することが可能であるという点から、80項目の調査票をおすすめします。
外国籍の従業員に対するストレスチェックについて
日本において外国人労働者が増加する中、彼らが抱える労働災害の件数も増加しています。外国籍の従業員も同様にストレスチェックの対象者となりますので、ストレスチェックの受検が必要です。
さらに、メンタルヘルス不調や労働災害を未然に防止するためにも、外国語版の調査票が必要になります。当センターでも英語、ベトナム語に対応した調査票の作成が可能なので是非お問い合わせください。
関連記事:この場合は受検対象?―ストレスチェックの受検対象者とは?
まとめ
今回は、ストレスチェックの目的に加え、それぞれの回答項目の違いや特徴をご紹介しました。
それぞれの回答項目の特徴を踏まえた上で、職場環境に最も適した調査票を活用してストレスチェックを行っていきましょう。