高ストレスの従業員に、医師や専門家による面接指導を受けてもらったのはいいものの、
どのように対策を行えばいいか分からないという上司や担当者の方も多いのではないでしょうか?今回は、高ストレス者の従業員に対しての就業上の措置についてご紹介します。
この記事を読むことで、以下のことが分かります。
・法律に基づく就業上の措置について
・就業上の措置を行う際に必要なポイントや注意点
・就業上の措置を行うことでもたらされる効果
高ストレス者とは?
厚生労働省の『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』によると、高ストレス者とは
①調査票のうち、『心身のストレス反応』の評価点数の合計が高い者
②調査票のうち、『心身のストレス反応』の評価点数の合計が一定以上の者であって、かつ、『仕事のストレス要因』及び『周囲のサポート』の評価点数の合計が著しく高い者
とされています。
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法律に基づく就業上の措置
就業上の措置とは、労働者の健康や安全を守るために、事業者が行うべき措置や従業員が受けるべき権利です。具体的には、以下のような内容が含まれます。
- 従業員の健康診断や適性検査の実施
- 労働時間や休憩時間、休日などの適正な管理
- 職場の環境や設備の改善や整備
- 危険物や有害物の取り扱いや保管の規制
- 災害や事故の予防や対策
- 従業員の教育や指導、監督
- 従業員の意見や要望の聴取や反映
- 従業員の健康保持や増進のための支援
労働安全衛生法に基づく就業上の措置は、従業員と事業者双方にとって重要なものです。従業員は、自分の健康や安全を守るために、法律で定められた権利を主張することができます。事業者は、従業員の健康や安全を確保することで、生産性や品質の向上、人材の確保や育成、社会的信頼の獲得などにつながります。
また、事業場では、衛生委員会や産業医などの専門家と連携して、労働環境の改善や問題解決に取り組むことが求められます。労働安全衛生法に基づく就業上の措置は、職場で働くすべての人々にとって必要不可欠なものです。
就業上の措置を行うための流れ
ここからは、就業上の措置を行うための流れについて紹介します。
就業上の措置を行うための流れは、以下のようになります。
高ストレスの従業員から就業上の措置の申出があった場合、または事業者が就業上の措置が必要と判断した場合、事業主は労働者と面談し、その就業能力や希望などを把握します。
事業者は、従業員の意見を尊重しつつ、医師や専門家などの協力を得て、就業上の措置の内容や方法を検討します。その際、労働基準法や労働安全衛生法などの関係法令や協定を遵守することが必要です。
事業者は、就業上の措置の内容や方法を従業員に説明し、同意を得ます。同意が得られた場合、事業者は就業上の措置を実施します。同意が得られなかった場合、事業者は再度検討し、従業員と協議します。
事業者は、就業上の措置の実施状況や効果を定期的に確認し、必要に応じて見直しや改善を行います。また、従業員から就業上の措置の変更や解除の申出があった場合、事業者は速やかに対応します。
就業上の措置を行う際に注意すべきポイント
就業上の措置を行う際に注意すべきポイントとして、以下の三つが挙げられます。
個別性
就業上の措置は、対象の従業員の状況に応じて個別に行うことが望ましいでしょう。一律的な基準や方法ではなく、個々の事情や希望を把握し、適切な対応を行うことが重要です。
協働性
就業上の措置は、高ストレスの従業員だけでなく、職場の上司や同僚、関係部署などとも協力して行いましょう。高ストレスの従業員の状況や、配慮する内容を共有し、理解と支援を得ることが必要です。また、対象の従業員も可能であれば自らの状況や希望を積極的に伝え、協力的な姿勢を示すと良いでしょう。
継続性
就業上の措置は、一度行ったからといって終わりではなく、定期的に見直しや評価を行うことが重要です。対象者の従業員の状況は変化する可能性があるため、適宜調整や改善を行うことが必要です。また、対策を講じた効果や問題点を把握し、改善策を考えることも大切です。
就業上の措置がもたらす効果
ここからは、就業上の措置を行うことによって期待できる効果について紹介します。
仕事への取り組み方の改善
高ストレス者は、仕事に対してネガティブな感情を抱いていることが多く、モチベーションが低下しやすい傾向があります。就業上の措置を行うことで、高ストレス者がよりポジティブな状態で仕事に取り組めるようになり、仕事への取り組み方が改善されることが期待できます。
雇用の安定化
高ストレスの従業員が適切な措置を受けることで、働きやすい環境が整い、仕事に対するモチベーションや満足度が高まります。これにより、離職率が低下し、人材の確保や育成にかかるコストが削減されます。
業務違反リスクの軽減
就業上の措置を実施することで、業務が集中することによる長時間労働などを未然に防止することができ、事業場内での違反行為を減少させることに繋がります。
まとめ
今回は、高ストレスの従業員に対しての就業上の措置についてご紹介しました。
適切な就業上の措置を行い、職場環境改善に努めていきましょう。