ストレスチェックは2015年12月より、従業員数50名以上の事業場で義務化されました。ストレスチェックとは、企業で働く従業員が自身のストレスと向き合い、セルフケアに取り組んだり、ストレス度が高い場合には医師に相談する等、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための検査のひとつです。
厚生労働省が今年の3月に公開している新しいマニュアル「ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて」では、ストレスチェック実施の目的を以下のように明記しています。
ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し、労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を主な目的としています。
しかし、ストレスチェック担当者や実際に受検した労働者の中には、「ストレスチェックを実施しても意味がない」と考えている方もいるのではないでしょうか?
今回は、マニュアルに掲載されている工夫例を交えながら、どうすればストレスチェックを意味のあるものにできるのかをご紹介させていただきます。
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ストレスチェックの目的
ストレスチェックの目的2つをご紹介します。
まず一つ目は従業員のメンタルヘルスに関する問題を未然に防止することです。ストレスチェックの結果を従業員にフィードバックすることで、彼ら自身がストレスに気づき、適切な対策を講じることを促します。
もう一つは企業がストレスチェックの結果を元に職場環境を改善し、働きやすい環境を整備することです。
企業は、従業員が医師による面接指導を希望した場合、必要に応じて医師の意見に基づいて就業上の措置を講じることが求められます。また、労働者が申し出たことを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
なぜ意味がないと感じるのか
ストレスチェック実施の目的をご紹介しましたが、それではなぜ「実施しても意味がない」と感じるのでしょうか?いくつか考えられる理由をご紹介します。
結果を活用できていない
企業がストレスチェックを実施する目的は、結果を集団単位で集計・分析して、職場における課題を特定し、職場環境を改善することです。
しかし、実際には、ストレスチェックを実施したり結果を分析したりしただけで、職場環境の改善に着手しない企業も多くあります。この状況が、「ストレスチェックには意味がない」と言われる原因の一つとなっています。
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受検率が低い
厚生労働省が実施した、ストレスチェックの実施状況調査レポートによると、ストレスチェックを従業員に実施することが義務付けられている企業でも、実際に受検した従業員は約80%程度であることが分かりました。
この理由として、企業がストレスチェックを実施することは法的に義務付けられているが、従業員が受検することは義務付けられていないことが挙げられます。
企業は従業員に対してストレスチェックを強制することはできません。そのため、従業員がストレスチェックを受けることに意義を見出せない場合、受検率が低くなる可能性があります。受検率が低いと、結果の集計や分析の信頼性が低下することになります。
厚生労働省
『ストレスチェック制度の実施状況(PDF)』
意味あるものにするには?
ここからは、ストレスチェックを意味あるものにするための対策をご紹介していきます。
①受検率の向上
まずは受検率の向上です。受検率を向上させるためにもストレスチェックを安心して受けられる環境を整え、従業員のために実施し、周知することが重要です。受検者が増えることで、正しい職場環境を把握し、改善すべき課題が明らかになるでしょう。
また、受検率を向上させるための策として、定期的な健康診断と同時にストレスチェックを実施する企業もあります。
労働者に違和感なく受け入れてもらうため、ストレスチェックは 6 月に全社員一斉に市内病院に出向いて実施する定期健康診断と併せて実施することとした。従来から午前中に健診を実施し、午後に健康教育(運動等)というプログラムとしていたため、午後のプログラムの冒頭にストレスチェック(15 分程度)を盛り込んだ。その結果、受検率は毎年 9 割を超えている。
②ストレスチェックに対する意識を変える
多くの従業員がストレスチェックを受けることについて理解していないため、ストレスチェックを実施する目的を「従業員の健康を守るために行う」という趣旨で説明することで、従業員が理解しやすくなるでしょう。従業員がより積極的に職場改善に取り組むようになり、その結果として生産性が向上する可能性があります。
この企業では、衛生推進者を各支店に配置したり、社内報でストレスチェックについて発信することで、従業員の理解を深めようとしています。
【課題】ストレスチェック制度開始当初は、個人結果を職場内で見せ合う等、ストレスチェック制度の趣旨があまり理解されていなかった。
【工夫】労働者にストレスチェック制度の趣旨を確実に周知できるよう、各支店に衛生推進者を配置し、社内の衛生推進者の会議や社内報を通じてストレスチェックの目的を周知した。
まとめ
ストレスチェックの効果は、取り組み方によって大きく異なります。もし業者に依頼して実施する場合、コストもかかるでしょう。ただ義務化されたからといって、単に実施するだけでは勿体無いです。ストレスチェックを適切に実施し、意味のあるものにして、より良い職場環境を実現しましょう。
当センターのストレスチェックサポートではご担当者様にご用意していただくのは受検者リストのみ!
業務負担の軽減ができますので、ぜひご相談ください。